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複塩【ふくえん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

複塩
ふくえん
double salt
2種以上のが結合した形式の塩の一種で,に溶かすと個々の成分イオンに解離するものをいう。たとえばカリウムミョウバン KAl(SO4)2・12H2O は水に溶けると K+,Al3+,SO42- に解離する。これに対し,たとえば K2[PtCl4] は K+ と [PtCl4]2- に解離するので,複塩ではない。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

ふく‐えん【複塩】
2種以上の塩(えん)が結合した形式で表される化合物で、水に溶かすと成分イオン解離するもの。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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世界大百科事典 第2版

ふくえん【複塩 double salt】
2種以上の塩が結合した形式で書ける化合物のうち,それぞれの成分イオンがそのまま存在するものをいう。たとえばKCl・MgCl2はKMgCl3とも書けるが,[MgCl3]のような錯イオンが存在するわけではなく,K,Mg2+,Clのような独立したイオンが存在すると考えられる。したがって,これは複塩であるといえる。これに対しK2[PtCl4]は,2KCl・PtCl2とも書けるが,Pt2+やCl,あるいはPtCl2などの存在は認められず,Kと錯イオン[PtCl4]2-が存在することがわかっており,これは錯塩であって複塩ではない。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

複塩
ふくえん
double salt

2種以上の塩が結合した形で表現される化合物(固体)のうち、各成分イオンがそれぞれのままで存在するものをいう。たとえばカーナル石KCl・MgCl2の中には、K+、Mg2+、Cl-のみがあり、[MgCl3-のような原子団(錯イオン)はないから典型的な複塩である。一方、塩化白金酸カリウムK2PtCl6は、形式上2KCl・PtCl4と書けるが、この中にはCl-、Pt4+は存在せず、K+と[PtCl62-しかないので複塩とはよべない。

 通常、複塩とよばれてきたもののなかにも、X線結晶解析の進展により構造が明らかにされると、複雑な錯イオンを含むものが、つまり錯塩であることが判明した例は少なくない。水分子の配位したアクアイオンも錯イオンに含める広義の定義を採用すると、複塩の典型とされてきたカリウムミョウバンKAl(SO4)2・12H2Oすら実は[K(OH2)6][Al(OH2)6](SO4)2の構造となっている錯塩である。したがって錯塩と複塩との区別に一線を画することは困難である。

[山崎 昶]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

ふく‐えん【複塩】
〘名〙 二種以上の塩が一定の割合でつくられている塩で、水にとかすとそれぞれのイオンに解離するものをいう。ミョウバンなど。〔鉱物字彙(1890)〕

出典:精選版 日本国語大辞典
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化学辞典 第2版

複塩
フクエン
double salt

2種類以上の塩からなる高次化合物を分類するのに,溶解したときにその成分イオンに完全に分かれるものを複塩,そうでないものを錯塩定義してきた.また,安定なものを錯塩,不安定なものを複塩としたこともあった.しかし,代表的な複塩とされていたミョウバンが,結晶解析の結果 [Al(H2O)6]3+ という錯イオンを含み,水に溶解したときも [Al(OH)(H2O)5]2+ という錯イオンになることがわかったので,上記の定義では不十分であり,結晶中に錯イオンを含まない高次化合物を複塩とする定義がもっとも妥当と思われる.すなわち,NH4HgCl3は,結晶中ではHgCl2とNH4Clとの付加物で,水に溶解したときに存在する [HgCl3] や [HgCl4]2- の錯イオンを含まない.また,ドロマイトMgCO3・CaCO3も同様である.

出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
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