●西原借款【にしはらしゃっかん】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
西原借款
にしはらしゃっかん
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デジタル大辞泉
にしはら‐しゃっかん〔‐シヤククワン〕【西原借款】
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世界大百科事典 第2版
にしはらしゃっかん【西原借款】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
西原借款
にしはらしゃっかん
寺内正毅(まさたけ)内閣下の1917~1918年(大正6~7)に、中国北京(ペキン)政府に供与された借款のうち、対中国国際借款団(当時は英・仏・露・日の四国団)の規制の外で、経済借款の名目でまとめた借款。正規の外交ルートによらず、寺内首相の私設秘書の西原亀三(かめぞう)が、首相および勝田主計(しょうだかずえ)蔵相の意向を受けて交渉にあたり契約をまとめたので、この名がある。通常次の8件、総額1億4500万円をいう。第一次交通銀行借款500万円、第二次交通銀行借款2000万円、有線電信借款2000万円、吉会(きっかい)(吉林(きつりん)―会寧(かいねい)間)鉄道借款前貸し1000万円、黒吉林鉱(こくきつりんこう)(黒竜江(こくりゅうこう)・吉林両省の森林・鉱産物)借款3000万円、満蒙(まんもう)四鉄道(長春(ちょうしゅん)―洮南(とうなん)間、吉林―開原(かいげん)間、洮南―熱河(ねっか)間、洮熱線一地点から海港まで)借款前貸し2000万円、山東二鉄道(済南(さいなん)―順徳(じゅんとく)間、高密(こうみつ)―徐州(じょしゅう)間)借款前貸し2000万円、参戦借款2000万円。別に兵器代借款3200万円を含める説もある。
当時の中国国内は、北京の段祺瑞(だんきずい)政権に対して、広東(カントン)軍政府を中心とする南方勢力が対立していた。この借款は、第一次世界大戦中に日本に流入した外資を中国に投資して、段祺瑞政権による中国統一を援助すると同時に、経済利権の確保をねらったものであった。原資には、大蔵省預金部資金と政府保証興業債券収入をあて、日本興業銀行(現、みずほ銀行、みずほコーポレート銀行)、朝鮮銀行、台湾銀行の3銀行を通じて供与された。しかし投資の大半は、南北争乱中の段政権の政費に費消され、段派の失墜で回収不能となった。日本では担保不確実な焦付(こげつき)債権として、また中国では高利(八分内外)の国恥借款として非難を浴びた。1926年、焦付債権は公債に肩代りされて日本国民の負担となった。一方中国では国民政府が成立し、段祺瑞政権の負債には責任がないと債権の棚上げを主張し、西原借款は全額回収されなかった。
[大森とく子]
『北村敬直編『夢の七十余年――西原亀三自伝』(平凡社・東洋文庫)』▽『勝田龍夫著『中国借款と勝田主計』(1972・ダイヤモンド社)』
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精選版 日本国語大辞典
にしはら‐しゃっかん ‥シャククヮン【西原借款】
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旺文社世界史事典 三訂版
西原借款
にしはらしゃっかん
第一次世界大戦中,列強の後退に乗じて中国に独占的地位を築こうとして日本はいわゆる援段政策をとり,銀行・鉄道事業などを中心に総額1億4500万円の借款を与えた。中国民衆からは侵略政策と反対され,列強からも非難を受け,大部分は未償還に終わった。
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旺文社日本史事典 三訂版
西原借款
にしはらしゃっかん
中国の反革命勢力を援助することで日本の優位を確立しようとして,民間人西原亀三を仲介として実施。交通銀行・鉄道・参戦借款など総額1億4500万円を,興業銀行・朝鮮銀行・台湾銀行から無担保で貸し付け,その大半は回収不能。この借款は,中国の混乱を助長するものとして内外の強い非難をあびた。
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