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視程観測【していかんそく】

日本大百科全書(ニッポニカ)

視程観測
していかんそく

肉眼や計器を用い、目標物までの見通しがきく距離を観測し、その距離を用いて地表付近の大気の混濁の程度を表すこと。視程とは観測場所からどの程度見通しがきくかを示す気象用語で、目標物を認めることができる最大の距離のことである。通常、観測した距離を記録する場合は視程階級が用いられる。気象庁視程階級表によると、50メートル未満から最大で50キロメートル以上までの距離を、0から9の10階級に当てはめている。視程を低下させる要因は、霧、もやなどの自然的なもののほか、人工的につくりだされた大気汚染物質があり、視程観測によって得られる結果は、気象解析や天気の決定、交通機関の運行、大気汚染の監視、航空機が離着陸する際の情報などに使用されている。

 目視の視程観測は、あらかじめ目標物を選択してから行う。昼間の視程の目標物は、空を背景にして黒っぽいもので、水平に近い方向にあるものを選ぶ。その大きさは観測場所に立った状態で、鉛直方向、水平方向ともに視角で0.5度以上5度以下のものとする。夜間に観測する際の目標物は、ビルの窓から見える電灯や街灯などがわかりやすく、集光されていない中程度の光源が適している。目標が光源のときは、可能であれば光度を記録しておく。このような条件を参考として、方角が偏らないようになるべく多くの目標を選び、目標の名称と形状、方角、直線距離、海抜、地面からの高さなどを事前に記録しておく。観測場所を基点に、これらの要素を記録した視程目標図を作成しておくと便利である。

 計器を使った観測には視程計が用いられる。通常は光を出す投光部とその光を受ける受光部を設置し、投光した光が空気によってどの程度減衰や散乱をしているかを計測する。結果は気象光学距離(MOR=Meteorological Optical Range)で示す。MORは受光した光の強さが、投光した元の光の強さの5%になったときの距離で、目視の視程観測による結果と近い値が得られる。霧などが発生し、道路の状況把握が必要なとき、視程や風向、風速などを測る計器を搭載した視程障害観測車を導入して計測する方法もある。このような視程計による計測は、一定した測定結果が得られるものの、測定する空間が狭く限られるため、目視の観測とは結果が異なる場合が少なくない。視程観測は目的を考慮した観測方法の選択が重要である。

 一例をあげると、東京都武蔵野市の成蹊(せいけい)気象観測所(成蹊学園に所属する私立の気象観測所)が、東南東約17キロメートルの東京タワー、西方約50キロメートルの秩父(ちちぶ)連峰、西南西約83キロメートルの富士山の目視による視程観測を1963年(昭和38)1月から行っている。これによると、大気汚染が社会問題となっていた1965年には、富士山を観測することができたのは1年間で22日間であったが、1984年には90日間、2010年(平成22)には116日間と増加している。

[編集部]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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