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証明(訴訟法)【しょうめい】

日本大百科全書(ニッポニカ)

証明(訴訟法)
しょうめい

刑事訴訟法では、要証事実に対する証拠の効果をいう。近代以前には、有罪か無罪かを決定する証明の有無を、法が定める証拠の存否により決定する法定証拠主義がとられ、とくに自白が重視されたため、拷問を許容することとなった。そこで、近代以降は、証拠を法定することにかわって、証拠の価値(証拠価値)は裁判官の自由な判断にゆだねることとされた。刑事訴訟法も、「証拠の証明力は、裁判官の自由な判断に委(ゆだ)ねる」(同法318条)との規定を置いて、このような自由心証主義を採用することを宣言している。

 被告事件について犯罪の証明があれば、原則として、判決で刑の言渡しをし(同法333条1項)、被告事件が罪とならず、または被告事件について犯罪の証明がないときは、無罪の判決をする(同法336条)。

 証明には、厳格な証明、自由な証明、疎明の3種がある。

 厳格な証明とは、証拠能力があり、かつ適法な証拠調べを経た証拠(厳格な証拠)による証明をいい、罪となるべき事実(同法335条1項)の存在や違法阻却事由、責任阻却事由の不存在を証明するためには、すなわち被告人が有罪であることを証明するためには、検察官はこれを厳格な証拠によって、合理的な疑いを超える確信を裁判官に抱かせる程度まで証明しなければならない。処罰条件たる事実、刑の加重の理由となる前科の存在を証明する場合も同様である。

 これに対して、自由な証明とは、厳格な証拠による証明を必要としない場合をいう。たとえば親告罪について有効な告訴があるかどうかというような訴訟法的事実については自由な証明で足りる。

 さらに、疎明とは、いちおう確からしいという推測を裁判所に与える程度に証明することをいう。疎明を要する場合は法律に規定されている。たとえば、第1回公判前の証人尋問の請求をするには、検察官は、その証人尋問を必要とする理由、およびそれが犯罪の証明に欠くことができないものであることを疎明しなければならない(同法227条2項)。

[内田一郎・田口守一]

 民事訴訟法における証明とは、当事者が裁判の基礎となる事実の存否について、裁判官に確信を抱かせることを目的として、証拠を提出することをいう。裁判官がある事実の証明があったと判断するために必要な具体的確信の程度は、社会の通常人が日常生活上疑いを抱かずに真実であるとして、その判断に従って行動するであろう程度である。確からしいというだけでは不十分である。証拠調べの結果それだけの程度の確信を抱くことができないときは、真否不明として立証責任の問題となる。

[内田武吉]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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