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認知機能リハビリテーション【にんちきのうリハビリテーション】

最新 心理学事典

にんちきのうリハビリテーション
認知機能リハビリテーション
cognitive rehabilitation
統合失調症をはじめとする重度精神疾患severe mental illnessをもつ当事者は,①注意・記憶・実行機能といった,神経心理学的検査で測定可能な認知機能に障害をもっていること,②認知機能障害は,幻覚や妄想などの陽性症状や,意欲の低下などの陰性症状よりも,社会生活能力や予後に大きな影響を与えていることが,近年の研究から明らかになっている。精神科領域における認知機能リハビリテーションは,主に統合失調症をもつ当事者の認知機能障害を改善するための心理社会的リハビリテーションプログラムである。認知機能リハビリテーションは,認知リハビリテーション,認知矯正療法,認知補償療法ともよばれる。

 認知機能リハビリテーションの手法は,もともと高次脳機能障害のリハビリテーション分野で発展した手法である。認知機能リハビリテーションでは,コンピュータプログラム上のゲームや認知課題を通じて,注意・記憶・実行機能のトレーニングを行なう。認知機能リハビリテーションで用いられる課題は,参加者の動機づけを高め,楽しみながら課題に取り組むための工夫がなされている。用いる課題やセッション数については,統一された方法はないが,マガークMcGurk,S.R.らの方法では,週2~3回,1回45~60分,計24セッション,12週間で行なう構造になっている。認知機能リハビリテーションでは,トレーナー(セラピスト)の役割が非常に重要である。トレーナーは,参加者が課題を遂行する中で,認知機能を高められるように動機づけを行なったり,無誤謬学習errorless learningができるように無理のない課題設定や必要に応じてヒントを出したりして,参加者のモチベーションを高めていく。また認知機能リハビリテーションでは,取り組んだ課題のプロセスをグループで振り返るセッション(言語グループセッション)が,非常に重要なコアコンポーネントを占めている。

 認知機能障害のプロフィールは個々の当事者によって差があるため,当事者自身が,自分自身の認知機能から見た長所・短所を自己モニタリングできるようになる必要がある。また,コンピュータプログラム遂行中に用いた認知機能が,実生活のどのような場面で必要になるのか,どのように工夫すれば,実生活で認知機能障害をカバーできるのか,などを話し合い(ブリッジング),実生活への般化を促していくことも必要である。精神疾患に対する認知機能リハビリテーションの目的は,認知機能をトレーニングして,ゲームの成績を上げることではなく,当事者自身の認知機能に関するセルフモニタリング(メタ認知)能力を高め,セルフコントロール能力を高めることである。

 認知機能リハビリテーションは,あくまで当事者の就労・就学・地域生活を長期的に支援していくための一つの方法である。したがって,認知機能リハビリテーションの適用については,当事者個々人のニーズに基づく柔軟なケースマネジメントの一環として提供される必要がある。 →統合失調症
〔山崎 修道・荒木 剛〕

出典:最新 心理学事典
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