●調停【ちょうてい】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
調停
ちょうてい
conciliation; Schlichtung
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知恵蔵
調停
(土井真一 京都大学大学院教授 / 2007年)
出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
デジタル大辞泉
ちょう‐てい〔テウ‐〕【調停】
1 対立する双方の間に立って争いをやめさせること。仲裁。「いさかいを
2 紛争当事者の間に第三者が介入して、双方の互譲と合意のもとに和解させること。民事調停・家事調停など。
3 労働争議に際し、労働委員会に設けられる調停委員会が労使双方の主張を聞いて調停案を作成し、その受諾を勧告して争議の解決を図ること。→斡旋(あっせん) →仲裁
出典:小学館
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世界大百科事典 第2版
ちょうてい【調停】
[民事上の調停]
裁判所の関与する調停のうち,身分上の紛争につき家庭裁判所の行う家事調停以外の,一般の財産上の紛争につき通常裁判所の行う調停のみをここで説明する。民事調停は,民事紛争を,当事者が互いに譲り合い,条理にかない,実情に即した合意により解決することを目的とする手続である(民事調停法1条)。
出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)
調停
ちょうてい
一般的には種々の紛争解決にあたり、第三者が紛争当事者間を斡旋(あっせん)仲介して、当事者が互いに譲り合うことにより合意に達するように努め、その結果、争いを解決させることを目的とした行為をいう。そこで国家機関などが、調停にあたり、法定の手続により処理し、当事者が利用できるように設置したのが調停制度である。法律上は、「調停」の名称を付した紛争解決のための手続をいう。たとえば、民事上の調停(民事調停法、家事事件手続法第3編)、労働法上の調停(労働関係調整法17条以下)、自治紛争上の調停(地方自治法251条)などのほか、国際間の紛争については国際法上の調停などがある。
[内田武吉・加藤哲夫 2016年5月19日]
民事上の調停
民事の調停手続は、裁判所に設けられた調停委員会の仲介によって、当事者間に紛争解決のための合意を成立させる手続である。民事の調停は広義の非訟事件に属するので、特別の定めがある場合を除いて、調停に関してはその性質に反しない限り、「非訟事件手続法」(平成23年法律第51号)第二編の規定が準用される(民事調停法22条)。つまり民事の調停には、「民事調停法」(昭和26年法律第222号)に規定されている民事調停と、「家事事件手続法」(平成23年法律第52号)に規定されている家事調停がある。家事調停は後述のごとく、家庭裁判所に設けられた調停委員会が一般に家庭に関する事件について行う調停であり、これ以外の民事事件については民事調停が行われる(たとえば、民事調停法第2章特則では、宅地建物調停、農事調停、商事調停、鉱害調停、交通調停、公害等調停などにつき規定を置いている)。
民事事件について、紛争の解決を訴訟に求めるか調停に求めるかは当事者の意思に任されている。しかし裁判所が適当と認めるときは、職権をもって事件を調停に付することもできる(民事調停法20条)。民事調停手続においては、裁判官のなかから地方裁判所が指定する調停主任1人と学識経験者のなかから指定された2人以上の調停委員により構成された調停委員会(同法5条~8条)が紛争解決の仲介をする。その手続については厳格な定めはなく、調停の内容も法律に依拠したものでなくてもよい。「当事者の互譲により、条理にかない実情に即した解決を図ることを目的」(同法1条)としているからである。調停の結果、当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、その記載は裁判上の和解と同一の効力を有する(同法16条)。また、裁判所は、調停委員会の調停が成立する見込みがない場合でも、相当であると認めるときは、当該調停委員会を組織する民事調停委員の意見を聴き、当事者双方のために衡平に考慮し、いっさいの事情をみて、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、事件の解決のために必要な決定をすることができる(同法17条)。しかしこの決定は、当事者または利害関係人から適法な異議の申立てがあったときは、その効力を失う(同法18条)。
人事についての争いなどの家庭に関する事件は、通常の民事事件とは異なった性質をもっているので、公開の法廷で争わせることを適当としない場合が多い。そこで、家庭に関する事件については、家事事件手続法で家事審判手続と家事調停手続を規定して、家庭裁判所がこれを管轄している。審判事項は家事事件手続法第2編第2章および別表に列挙されているが、それには事件の性質上から、調停による解決に適しない事項(同法別表第1)と、調停による解決も可能である事項(同法別表第2)の2種類に分けている。そして審判事項は、家庭裁判所の裁判官により審判によって決着がつけられるが、同法別表第2に定められている事件に関しては、家庭裁判所はいつでも職権で調停に付することができる。つまり、人事に関する訴訟事件その他一般に家庭に関する事件については、同法別表第1に定められている事件を除いて、すべて調停を行うことができる。また、このような事件について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に調停の申立てをしなければならない(同法257条=調停前置主義)。この調停は、裁判官1人および家事調停委員2人以上によって組織された調停委員会によって行われる(同法248条)。以上のように民事上の調停については、当事者がそれを受諾するか否かの自由を有するとともに、調停条項はかならずしも法律に依拠したものである必要はない点に特色がある。
[内田武吉・加藤哲夫 2016年5月19日]
労働法上の調停
斡旋、仲裁と並ぶ労使紛争の調整手続の一つ。労働委員会に設けられる調停委員会が、労使双方から事情を聴取するなど事実調査を行ったのち、調停案を作成し、労使双方にこの受諾を求めることによって労使紛争を調整する手続である。斡旋が、労使双方の主張を明確にし、当事者間の話し合いをとりなすことによって紛争を解決しようとする方法であるのと比べて、調停は、調停案を作成して解決を図る点に特徴がある。ただし実際には、斡旋の場合も「斡旋案」を提示して紛争の解決を図ることも多く、事実上、斡旋と調停との差異はほとんどなくなってきているといわれる(斡旋の調停化)。このため労働関係調整法上の手続のうち、調停は仲裁より利用されているとはいうものの、要件が緩やかな斡旋に比べて利用される割合はたいへん低い。調停委員会が作成した調停案は、労使が受諾したとき初めて拘束力をもつ。この点、いったん仲裁手続の開始に同意すれば、仲裁委員会の判断にかならず拘束される仲裁と異なる。
調停委員会は、公益、労働者、使用者の三者を代表する委員から構成される。労使を代表する調停委員は同数でなければならないとされ(労働関係調整法20条)、実際には公・労・使各1名の調停委員によって調停委員会が構成されるのが普通である。この点、仲裁委員会が公益委員または特別調整委員のみから構成されるのと異なる。しかし斡旋の場合、都道府県労働委員会段階では斡旋員に公・労・使各1名が指名されることが大多数であるため、この点でも実際上調停委員会と同じ構成となっている。調停委員は、労働委員会の会長が、労働委員会の公・労・使の各委員および特別調整委員のなかから指名する。
調停が開始されるのは、
(1)労使双方が調停申請した場合
(2)労働協約の定めに基づいて、労使双方または一方が調停申請した場合
(3)公益事業で、労使の一方が調停申請した場合
(4)公益事業に関して労働委員会が職権で調停開始を決議した場合
(5)公益事業、または公益に著しい障害を及ぼす事件について、厚生労働大臣または知事が調停請求した場合
である。
(1)(2)のように労使双方の自発的意思に基づいて(調停申請は一方がしても、事前に労働協約で合意している場合も含めて)調停が開始される場合を任意調停といい、(3)~(5)のように、当事者の一方または双方の意思を問わずに調停が開始される場合を強制調停という。強制調停は、前述のように公益事業または公益に著しい障害を及ぼす場合のほか、特定独立行政法人等および地方公営事業についても認められている(行政執行法人の労働関係に関する法律27条、地方公営企業労働関係法14条)。
調停委員会は、調停申請などがあった日から15日以内に調停案を作成するものとされ、作成された調停案は、当事者に示されて10日以内の期限を付して受諾が勧告される(労働関係調整法26条、同施行令10条)。必要な場合には調停案は公表され、世論の力に訴えることもある。
[木下秀雄・吉田美喜夫]
自治紛争上の調停
普通地方公共団体(都道府県・市町村)相互間またはその機関相互間(たとえば、議会と執行機関、執行機関相互間など)に紛争がある場合に、自治紛争調停委員によりなされる調停制度(地方自治法251条)。都道府県またはその機関が当事者になるものについては総務大臣、それ以外の者が当事者になるものについては都道府県知事が、当事者の申請に基づき、または職権により調停に付する。これには強制力はない。このほか、市町村の境界に関する争論、地方公営企業の経営に関する地方公共団体の間の紛争、市町村合併に伴う争論の調停については、それぞれ別個の制度がある。
[阿部泰隆]
国際法上の調停
国際紛争を平和的に解決するために、とくにそのために設けられた独立の機関が紛争当事国の主張の調和を図ることをいう。仲介(居中調停(きょちゅうちょうてい))が第三国の介入による紛争解決方法であるのに対し、調停は独立の委員で構成される機関の介入による方法である。また国際裁判が原則として法を基準として行われ、判決が法的拘束力を有するのに対して、調停はかならずしも法を基準とせず、かつ解決案は単なる勧告にとどまる。調停の機関たる委員会は、紛争のつど設置されることも、常設的に設置されていることもある。
国際調停の構想が登場したのは、アメリカの締結した1911年のノックス条約や、1913年のブライアン条約が最初であるが、1924年ごろから多くの調停条約が結ばれ、1928年の国際紛争平和的処理一般議定書のなかでも、調停制度は重要な地位を与えられた。実際に調停に付された紛争は多くはないが、ふたたび調停制度を評価する傾向がみられる。たとえば海洋法条約では、紛争の強制的解決手続と並んで、ある種の紛争については当事国の選択により調停による解決手続を認め、条約法条約では条約の無効や終了に関する紛争については調停委員会に付託するものとされ、また、国際人権規約(B規約)では、人権委員会によって解決されない紛争については特別調停委員会に付託するものとされている。
[石本泰雄]
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精選版 日本国語大辞典
ちょう‐てい テウ‥【調停】
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