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論理実証主義【ろんりじっしょうしゅぎ】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

論理実証主義
ろんりじっしょうしゅぎ
logical positivism
特に L.ウィトゲンシュタインの影響のもとに,ウィーン学団が展開した哲学思想とその運動。認識の根拠は経験による検証であり,命題の意味とはその検証の方法にほかならない。したがって検証不可能な形而上学の命題は無意味であると主張。自然に関するすべての認識は,一つの言語で表現され,したがって科学の統一は可能である。学者の任務は言語学的であり,哲学は言語の批判,すなわち言語の分析と分類を行い,理論ではなく活動であるとした。 1938年ナチスの迫害で学団のメンバーは大部分がアメリカなどへ亡命し,運動は国際的となったが,主義そのものは論理経験論へと解消した。

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デジタル大辞泉

ろんり‐じっしょうしゅぎ【論理実証主義】
ウィーン学団に始まった実証主義哲学。マッハの実証主義を受け継ぎ、前期ウィトゲンシュタインの決定的影響のもとに成立した。知識の基礎を経験に求め、形而上学を否定し、哲学の任務は科学において用いられる言語の論理的分析であるとした。→ウィーン学団

出典:小学館
監修:松村明
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世界大百科事典 第2版

ろんりじっしょうしゅぎ【論理実証主義 logical positivism】
〈ウィーン学団Wiener Kreis〉およびその共鳴者の哲学に与えられた名称。
[成立と展開]
 1895年ウィーン大学に〈帰納科学の哲学〉という講座が新設され,物理学者のマッハがその初代教授となり,その後この講座はボルツマンへと引き継がれていく。この講座を中心としてウィーン大学において,近代自然科学に接近した経験主義的な哲学傾向がしだいに醸成された。このような状況の中で,1922年シュリックがこの講座を引き継いだ。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

ろんりじっしょうしゅぎ【論理実証主義】
シュリックを中心として1920年代末に創始されたウィーン学派の哲学およびその影響下にある哲学思潮。ラッセル・ウィトゲンシュタインに始まる論理分析の方法を駆使して、伝統的形而上学の問題のほとんどを検証不可能で無意味なものとして退け、哲学の課題を科学において用いられる言語の論理分析と意味の明確化に限ろうとする立場。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

論理実証主義
ろんりじっしょうしゅぎ
logical positivism英語
positivisme logiqueフランス語
logischer Positivismusドイツ語
ウィーン学団およびこれと近い関係にあったベルリン学派のライヘンバハ、イギリスのエイヤーらの思想をさすことば。ウィーン学団が解散し、またウィットゲンシュタインが人工言語よりも日常言語を重んずるようになってから、かつての論理実証主義者の思想も大きく変わった場合が多い。この変化後の思想を分析哲学とよぶが、いまでも、分析哲学とは違った傾向の哲学者は、分析哲学まで含めて、「論理実証主義」という呼び名を使うようである。実は、論理実証主義者は党派性や体系性を好まないので、その思想内容をひと口にまとめていうことはむずかしいが、経験科学を重んずること、言語分析の方法を重視すること、形而上(けいじじょう)学に対して否定的であることが、共通の特色であるといえよう。また、現在でもなお人工言語の役割を重視する分析哲学者がアメリカなどにいて、彼らは論理的再構成主義者とよばれることがある。
 さて、分析哲学より前の論理実証主義者の多くは、当時のラッセルたちの論理主義の数学基礎論の成功に目を奪われ、命題はすべてその正しさが命題の構造だけから一義的に決まるもの、いわゆる「分析的命題」と、その正否の決定に経験が必要な「総合的命題」とに分かれること、この2種類の命題の区別は、普通の言語表現による場合はかならずしもはっきりしないが、論理記号に適当に述語記号をいくつか付け加えて得られる人工言語によってすべてを表現しようとすれば、この区別は命題の表現の形からただちに明らかになること、また、この人工言語で表現できないような命題は、普通のことばでは書くことができるにしても実質的な内容を欠くものであること、を主張した。その主張の仕方が性急であったため、独断的な点、不整合な点を指摘されることになった。ウィーン学団はナチス・ドイツによるオーストリアの合併以後、政治的な弾圧を受けて解散状態になったが、そのような外的事情がなくとも、いま述べた独断性と不整合性のゆえに、論理実証主義は滅びる運命にあったのだと考える人も多い。事実、かつての論理実証主義者のなかに、この二つの欠点を指摘する批判者が現れたのだった。
 しかし、1950年代になり、フランスの数学者の一団が、論理主義数学基礎論のプログラムの一つ、数学の諸概念を集合論の概念だけを用いて定義することを、ラッセルたちよりも行き届いた形で着々と実現し始めてから、人工言語によって多くの物事を表現しようとする考え方は、哲学以外の分野で力を得るようになった。この傾向の哲学への逆輸入の結果の一つが、先に述べた、アメリカを中心とする論理的再構成主義である。
 また、コンピュータの出現以後、コンピュータに処理できることばで人間の心の働きを記述しようとする認知科学が誕生した。コンピュータに処理できることばとは、結局、論理的な人工言語にほかならない。しかも、コンピュータの利用の可能生は予想外に大きいので、いままで日常言語を使って行われてきたことの大部分は人工言語に移せるのではないかと予想する人も多い。
 このような事実をさして、「論理実証主義の復興」ということがある。少なくとも現代の状況に照らしてこの主義の主張を再吟味することには意味があるとはいえよう。[吉田夏彦]
『A. J. Ayer ed. Logical positivism (1959, The Free Press)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

ろんり‐じっしょうしゅぎ【論理実証主義】
〘名〙 シュリックを中心として一九二四年頃結成されたウィーン学団およびその同調者たちの哲学。実証主義と記号論理学とを結びつけ、哲学の仕事はもっぱら思考の明晰化ということにあり、特に科学の言語の論理的分析にあるとする立場。記号論理学の研究を発展させた。

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