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資本逃避【しほんとうひ】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

資本逃避
しほんとうひ
capital flight
キャピタル・フライトとも呼ばれる。自国通貨価値下落し,または交換性が制限または禁止されるおそれがあるとか,政治・経済的な不安ないしはこれを招来するような政策の変更が予想されるような場合に,危険回避のために自国通貨を外貨資金に換えること。外国為替,外国証券の買入れ,金の輸出,購入,無為替輸出などの方法があるが,いずれもきわめて流動性が高く,しかもその移動が一時的かつ大量に行われることから,ホット・マネー (国際短期浮動資金) とも呼ばれる。日本では 1930年7月に為替不安から資本逃避が活発となり,32年に「資本逃避防止法」が制定された。これは日本における為替管理法りである。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵

資本逃避
国際情勢の緊迫や国内の政治・経済情勢の不安定化、税制強化などによって生じる資産価値減少や流動性の低下などのリスクを回避するために、国内に滞留していた資金が国外のより安全な地域へと移動すること。1980年代のラテン・アメリカ、90年代初期のロシアなどが挙げられる。ロシアの場合は、国内の政治的不安から、居住者が民間資金の一部を海外へ移したためといわれるが、不正な手段で取得したを国内当局の手が届かないところへ移動させた部分も大きい。アジア通貨危機では、インドネシアの富裕華僑が、保有外貨をシンガポールなどのオフショア・センターに移した。
(絹川直良 国際通貨研究所経済調査部長 / 2007年)

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

デジタル大辞泉

しほん‐とうひ〔‐タウヒ〕【資本逃避】
通貨価値の下落、為替管理の強化、政治的不安などが予想される場合、その不利益を避けるため、自国通貨を通貨価値がより安定している他国の通貨に換えること。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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大辞林 第三版

しほんとうひ【資本逃避】
政治的・経済的条件の変化によって一国の貨幣価値の大幅な下落が予想される場合、その危険や損害を避けて、資金がその国から安全な他国に移動すること。また、株式などの高リスクの金融資産から国債などのより低リスクの資産へと動くこと。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

資本逃避
しほんとうひ
capital flight
短期資本の国際的移動は普通、利子率や為替(かわせ)相場の変動による差益を得ることを目的に行われる。しかし、資本逃避はこうした積極的な収益の追求ではなく、資産の保全、安全性の確保、つまり不慮の資本損失を回避するための資本移動である。たとえば、ある国において平価の切下げ、為替管理の強化、インフレなどにより通貨価値の減価が予想される場合、または戦争の危惧(きぐ)、政治的不安により資産の凍結・没収などで資産の安全性が脅かされるおそれがある場合などに、通貨価値の安定したより安全な他国の通貨に乗り換えることがしばしば行われる。こうした資本逃避は、流動的で、かつ一時的に大量の資金移動がなされるので、為替需給に大きな変動を及ぼし、その国の国際収支に大きな負担を強いる。そしてまた、為替相場の変動・混乱によって国際金融市場の攪乱(かくらん)をもたらし、通貨の不安定化をよりいっそう促進する。
 1930年代には、世界各国で通貨価値の不安定化が起こり、資本逃避がしばしば行われた。各国とも種々の対策を講じたが、日本でも1932年(昭和7)には資本逃避防止法を制定し、さらに翌1933年にはこれにかえて外国為替管理法を制定、資本逃避を取り締まるために厳しい為替管理を行った。第二次世界大戦後においても、ポンド危機、ドル危機などに際して資本逃避が行われ、その資金は投機的な資金とともにホット・マネーとして国際間を移動し、国際通貨不安を増幅する一要因となっている。
 2008年9月、アメリカの証券会社リーマン・ブラザーズの倒産を機に、世界は金融危機と同時不況の深刻な経済危機に突入した。アメリカ国内の住宅バブルの崩壊とサブプライムローンの破綻(はたん)によって大きな損失を被ったアメリカ資本は、損失の穴埋めと投資先の不良債権化を恐れていっせいに本国に資本を引き上げ、逃避を始めた。外国資本に大きく依存して発展してきたアイスランドやハンガリーなどの新興国は、資本流出・逃避により国家破綻の危機にみまわれた。[秋山憲治]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

しほん‐とうひ ‥タウヒ【資本逃避】
〘名〙 政治的、経済的不安などで資産の減価・凍結・没収などの危険が予想される場合などに、不利益を避けるために自国貨資金を安全な他国の通貨に乗り換えること。〔現代術語辞典(1931)〕

出典:精選版 日本国語大辞典
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