●身分制議会【みぶんせいぎかい】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
身分制議会
みぶんせいぎかい
Estates-General; Assembly of Estates; Ständeversammlung
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デジタル大辞泉
みぶんせい‐ぎかい〔‐ギクワイ〕【身分制議会】
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世界大百科事典 第2版
みぶんせいぎかい【身分制議会 Ständeversammlung[ドイツ]】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
身分制議会
みぶんせいぎかい
Ständeversammlung ドイツ語
中世末期以降のヨーロッパ諸国において、身分制社会を土台とし、身分別に編成された議会をさし、近代的民主制国家が成立し、人民主権の原則にたつ代議制議会にとってかわられるまで続いた。等族会議ともいう。
[平城照介]
形態
身分制議会としては、イギリスのパーラメント、フランスの三部会、ドイツ(神聖ローマ帝国)の帝国議会や各領邦国家における領邦議会、スペインのコルテス、ロシアのゼムスキー・ソボール(全国会議)などがあげられる。身分制議会には、フランスの三部会やドイツの帝国議会と領邦議会の大部分のように、聖職者、貴族、市民の三部会制をとるタイプと、ハンガリーや北欧諸国のように、高級聖職者および大貴族の上院と、騎士身分の下級貴族および市民で構成される下院という二院制をとるタイプとに区別される。イギリスのパーラメントは二院型であるが、下院の構成員(いわゆる庶民Commons)は早くから各州の代表という性格をもち、厳密にいうと身分制議会というよりは、近代的代議制議会への移行型という特徴を有していた。またオーストリアのチロールの領邦議会のように、農民代表の出席を認めた例外的ケースもある。
[平城照介]
起源
身分制議会の起源は、封建国家において国王の招集する宮廷会議にある。封建制度の下で国王の直属封臣は、国王に対し「助言と援助」の義務を負っていた。具体的にいえば、「助言」とは国王の招集に応じて会議に出席し、諮問に答える義務を意味し、「援助」とは軍役奉仕のほか、国王が要求する援助金(タイユ)を提供する義務を意味した。ただこの段階では、まだ国王は宮廷会議の招集を義務づけられておらず、会議の構成員も一定ではなく、国王はそのつど必要と考える者を招集したにすぎない。中世後期のヨーロッパ諸国では、王権の強化・上昇という現象が認められるが、それは国王の任務の増大を伴い、その遂行を可能とする財政を確立することが必要となってきた。封建制の原則では、国王の財政は主として王領地収入によってまかなわれ、それ以外には前述の援助金に頼るより方法がなかったが、13世紀末以降、公共のことに関係する問題については、国王は王領地収入以外に一般的課税によることができるという原則がしだいに認められるようになった。しかし他方、「すべての人に関係することは、すべての人によって承認されねばならぬ」という封建的法観念も根強く残っていたので、国王は課税のたびに、直接課税対象となる直属封臣や都市などの承認を獲得せねばならなかった。この課税承認を契機として、国王の諮問機関にすぎなかった宮廷会議は、しだいに会議体としての組織を整え、市民の代表をも加えた、封建諸身分の会議へと発展し、王権の側でも個別的折衝によって課税の承認を獲得するより、会議に諮るほうが便宜であったため、必要に応じてこのような会議を招集することが慣行となり、中世末期以降、身分制議会は国制のなかに確固とした根を下ろし、封建国家は身分制国家へと転換するに至った。
[平城照介]
機能と限界
一般にヨーロッパにおける近代以前の国家は、封建国家、身分制国家、絶対主義の国家という三段階を経過して発展したといわれる。身分制議会自体は、封建国家の末期から絶対主義時代に至るまで存続したのであるが、それが政治的にもっとも重要な機能を果たしたのは、身分制国家においてである。身分制議会の主要な機能は課税承認権であったが、諸身分は課税の承認と引き換えに、身分的特権の拡大を要求することがしばしば行われ、議会は王権の利害と諸身分の利害との角逐の場の観を呈した。さらに諸身分は国事全般への発言権を絶えず拡大しようと努めたので、王権の恣意(しい)を制限し、拘束するという機能を果たした。たとえば、君主家門の内紛、君主の子女の結婚などは、本来は君主の家の私事に属する事柄であったが、他面これは領土の変更などを引き起こす可能性を含む事柄でもあり、そのため身分制議会の介入や承認を必要とするという慣行が確立していった結果、国家の公的性格が明確化していくという結果をも生んだ。もちろん身分制議会は、代議制議会のように全国民の利害を代表したわけではなく、あくまでも諸身分の利害を反映したにすぎず、しかも異なった身分間の利害はかならずしも一致していなかったので、国王はそれを利用して身分制議会の政治的拘束力を排除することが可能であり、それに成功した例もまれではなかった。そこに身分制議会の内包する限界があったわけである。
[平城照介]
衰退
絶対主義の国家が成立し、君主が恒常的租税の導入と常備軍の設置に成功した結果、身分制議会の政治的機能は大幅に後退し、議会も招集されることがまれになるか、フランスの全国三部会のように、まったく招集されないという事態さえ生じた。絶対主義absolutismの君主権力の特徴を「法の拘束から解き放されている」Ab solutus regibusと表現するときの「法の拘束」とは、身分制議会による王権の政治的拘束を意味していたのである。
[平城照介]
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精選版 日本国語大辞典
みぶんせい‐ぎかい ‥ギクヮイ【身分制議会】
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旺文社世界史事典 三訂版
身分制議会
みぶんせいぎかい
Estates (イギリス)
Assembleé d'états (フランス)
Stände (ドイツ)
市民勢力の伸張を反映して,聖職者・貴族の代表に新しく上層市民の代表を加えて構成。課税審議権をもち,王権を財政面から抑制した。封建諸侯と対抗するため,初めは王と市民は協力することが多かったが,のちに対立することとなった。イギリスの模範議会をはじめ,14世紀にフランスの三部会,ドイツ(神聖ローマ帝国)の帝国議会・領邦議会,16世紀にスペインのコルテスなど,各国で成立した。
出典:旺文社世界史事典 三訂版
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