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転移RNA【てんいアールエヌエー】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

転移RNA
てんいアールエヌエー
transfer RNA; tRNA
転移リボ核酸運搬 RNAとも,可溶性 RNA(soluble RNA; sRNA)とも呼ばれる。あらゆる生物の細胞内に存在するヌクレオチド数 80±10個ぐらいの,比較的小型の RNAで,蛋白質合成の際にアミノ酸を結合して mRNA (メッセンジャー RNA) のところに運んで連結させる役割を果す。 tRNA分子は部分的に塩基対が対合していて,全体として,平面化して描くとクローバーの葉型になり,これがさらに折れ曲ってL字状になっている。各アミノ酸に対応する異なる tRNAがあり,アミノ酸のコドン (遺伝暗号) と対応する相補的な塩基配列分子中の一部にあって,ここで mRNA上に結合する。 tRNAの3′末端はどれも共通して CCAの塩基配列をもっているが,アミノ酸活性化酵素が分子の特異性を見分けて,正しい tRNAとアミノ酸の組合せを常に結合させることにより,遺伝暗号の指示どおりのポリペプチド鎖形成が保証される。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

てんい‐アールエヌエー【転移RNA】
たんぱく質の生合成において、特定のアミノ酸と結合して、伝令RNAリボゾームの結合体に運ぶリボ核酸。リボゾーム上で、アミノ酸を伝令RNAの情報通りに配列、たんぱく質が組み立てられる。トランスファーRNA。tRNA。運搬RNA

出典:小学館
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日本大百科全書(ニッポニカ)

転移RNA
てんいあーるえぬえー
transfer RNA
細胞内に大量に存在するRNA(リボ核酸)の一種で、アミノ酸を結合し、タンパク質の合成の場(リボソーム)に供給する。転移RNAという名称は、この働きに由来し、運搬RNA、トランスファーRNAともよばれる。欧文表記のtransfer RNAから、tRNAと略記する。遺伝情報の翻訳、すなわちメッセンジャーRNA(mRNA)のヌクレオチド配列をアミノ酸に置換する操作を行う。遺伝暗号(コドン)と相補性のある三ヌクレオチド(アンチコドン)を含む約70~100ヌクレオチドからなり、分子量約2万~3万、分子沈降速度定数から4S-RNAともよばれる。それぞれのtRNAはアミノアシルtRNA合成酵素により遺伝暗号に対応したアミノ酸を結合することができる。リボソーム上でmRNAのコドンとtRNAのアンチコドンが対応し、tRNAに結合していたアミノ酸が重合してタンパク質が合成される。20種類のアミノ酸それぞれに対して数種類のtRNAがあり、リボソームを構成するRNA(リボソームRNA、rRNA)とともに細胞内のRNAの大部分を占めている。とくにリボソームRNAに比べ低分子量で細胞抽出液を分別する可溶性画分(かようせいかくぶん)にあることから、可溶性RNA(soluble RNA略してsRNA)ともよばれている。
 1965年アメリカのR・W・ホリーら(1968年にノーベル医学生理学賞受賞)によって酵母のアラニン特異的tRNAのヌクレオチド配列が決定され、1970年にはH・G・コラーナのグループによって大腸菌のチロシン特異的tRNAの遺伝子が完全合成された。現在では、さまざまな生物種から得られた各種のtRNAのヌクレオチド配列が知られ、いずれもクローバーの葉型の二次構造を組むことができる。1973~1974年にイギリスのA・クルーグらおよびアメリカのリッチAlexander Rich(1924― )らは独立に酵母のフェニルアラニン特異的tRNAのX線結晶回折を行い、クローバーの葉型の構造はさらに二つ折りたたまれL字型であることを明らかにした。翻訳開始のコードはメチオニンであることが多く、メチオニン特異的tRNAのうち、翻訳開始に携わるものをとくに開始tRNA(イニシエーターtRNA、initiator tRNA)という。[菊池韶彦]
『B・ルーウィン著、菊池韶彦他訳『エッセンシャル遺伝子』(2007・東京化学同人) ▽菊池洋編『RNAが拓く新世界』(2009・講談社サイエンティフィック)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

てんい‐アールエヌエー【転移RNA】
〘名〙 リボ核酸の一つ。アミノ酸の運搬に働く。トランスRNA。tRNA。→リボ核酸。〔生命を探検する(1964)〕

出典:精選版 日本国語大辞典
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化学辞典 第2版

転移RNA
テンイアールエヌエー
transfer RNA

略称tRNA.トランスファーRNAともいう.タンパク質合成の際に,特異なアミノ酸と結合してメッセンジャーRNA(mRNA)の塩基配列に合うように,アミノ酸をペプチドのなかに繰り込む(transfer)作用をもっているリボ核酸(RNA)を転移RNAという.tRNAは分子量2.5×104 前後で,ヌクレオチド数として70~90個からなり,沈降定数は約4 Sを示す.tRNAはDNA上に細菌では40以上ものシストロンをもち,DNAの配列と相補的配列をもつtRNAが合成される.このtRNAは各アミノ酸に特異的で,かつ,同じアミノ酸に対応するものでも何種類か存在することが知られている.タンパク合成は,まず各アミノ酸に特異的なアミノアシルtRNA合成酵素によって,アミノ酸が活性化され,次に同じ酵素によって,そのアミノ酸が対応するtRNAと結合して,アミノアシル転移RNAができる.次にそれがリボソーム上に運ばれ,mRNAの塩基配列(コドン)に対応してアミノ酸を離し,ペプチド合成が行われる.このとき,tRNA分子のほぼ中央にあるアンチコドン領域がmRNA中のコドンと対応して,タンパク合成のときのアミノ酸配列を読み分けることによって正しいペプチドの合成を行わせる.このtRNAの一次構造は,R.W. Holleyらにより,1965年,酵母アラニンtRNAが決められて以来,約30種類のtRNAの一次構造が報告されているが,その共通構造としては3′末端に近いループのTpψpCpGpがある.その5′末端は普通pGであるが,そのほかのものも見いだされている.3′末端のアデノシンの3′位のOH基とアミノ酸のカルボキシル基との間の縮合により,アミノ酸がエステル結合してアミノアシル転位RNAがつくられる.この結合は高エネルギー結合と考えられている.また,tRNAがほかのメッセンジャーRNA,リボソームRNAなどと異なる点は,アデノシン(A),グアノシン(G),ウリジン(U),シチジン(C)のほかに,シュードウリジン(ψ),リボチミジン(T),2-チオシチジン(2-TC)やメチル化ヌクレオシドなど,微量ヌクレオシドを多種含んでいる点である.その微量ヌクレオシド成分の役割についてはまだ不明の点が多いが,アンチコドンの一字目に,または3′末端に隣接した位置に特定の微量成分が存在する.これらはコードの認識に役割を果たすものと考えられている.tRNA中の微量ヌクレオシドはtRNA鎖が完成されたのちに,特定の修飾酵素によって合成される.X線結晶解析により立体構造が決定されている.[CAS 9014-25-9]

出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
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栄養・生化学辞典

転移RNA

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