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輸入感染症【ゆにゅうかんせんしょう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

輸入感染症
ゆにゅうかんせんしょう
infectious diseases from foreign countries
コレラ,赤痢腸チフスなど国内ではほとんど見られなくなった感染症が,海外旅行者の増加や国際交流の発展につれてふえている。海外で感染した日本人や外国人が国内に入って発症する例が大半を占めるが,輸入食品によるものもある。輸入先としては,赤痢がインド,タイ,インドネシアコレラフィリピンなど,マラリアはアジア,アフリカ諸国が多い。今後持込みが心配されるのはラッサ熱マールブルグ病エボラ出血熱など症状がきわめて重篤な国際伝染病のほか,デング熱,黄熱病などのウイルス疾患などがあり,この種のまれな感染症をただちにチェックできる体制作りが急がれている。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵

輸入感染症
海外で流行している病気が、旅行者や輸入食品等を通じて国内に持ち込まれる感染症。旅行者感染症は、赤痢、コレラ、チフス、毒素原性大腸菌感染症などがあり、また、下痢を起こす旅行者下痢症の原因はウイルス、原虫、寄生虫など様々で、複数の微生物感染によるものも多い。熱帯性熱病のラッサ熱やエボラ出血熱、マールブルグ病などの国際伝染病も含まれる。
(今西二郎 京都府立医科大学大学院教授 / 2007年)

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

デジタル大辞泉

ゆにゅう‐かんせんしょう〔ユニフカンセンシヤウ〕【輸入感染症】
国内には常在せず、海外から細菌が持ち込まれ、発生する感染症。コレラ赤痢(せきり)マラリアウイルス性肝炎など。輸入伝染病

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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栄養・生化学辞典

輸入感染症
 国内に常在せず輸入品,輸入動物,帰国者などが国内へ持ち込むことによって発生する感染症.

出典:朝倉書店
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大辞林 第三版

ゆにゅうかんせんしょう【輸入感染症】
旅行者や輸入食品により海外から持ち込まれる感染症。コレラ・ペスト・黄熱病・マラリアなど。

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)

輸入感染症
ゆにゅうかんせんしょう
日本国内には存在せず、国外から持ち込まれる感染症の総称。海外渡航者が国外で感染し国内に持ち込んで発症することが多いため、旅行者感染症ともよばれる。広義には、国内にも存在するもののおもに国外から持ち込まれるもの、国内にも存在する病原体の変異種として持ち込まれるもの、輸入食品や輸入動物に付着して持ち込まれるものなども含まれる。
 日本において報告例の比較的多い輸入感染症として、アメーバ赤痢、A型肝炎、E型肝炎、クリプトスポリジウム症、細菌性赤痢、ジアルジア症、ジカウイルス感染症、チクングニア熱、腸チフス、パラチフス、風疹(ふうしん)、麻疹(ましん)(はしか)、マラリア、レプトスピラ症などがあり、2014年(平成26)に東京都内の公園を中心に流行がみられたデング熱も、海外渡航者によって持ち込まれたデングウイルスが、蚊(か)を媒介にして広がったものと考えられている。
 ワクチン接種や予防内服などによって防ぐことができる感染症もあり、海外渡航の際には、渡航先で流行している感染症を事前に確認し、渡航前から対策をとることが感染予防につながる。厚生労働省や国立感染症研究所のウェブサイトでは、海外の感染症発生状況や予防についての情報が提供されている。[編集部]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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内科学 第10版

輸入感染症(人の行動と感染症)
 国境間の移動が安価かつ迅速に可能な現在において,古典的輸入感染症は旅行者医療(travel medicine)に統合されつつある.しかし輸入感染症という発想で対象とすべき疾患群が存在する.輸入感染症という発想が明確化するのは,感染症における「微生物との遭遇」という事象の重要性である.健常な人間でも免疫のない状態で麻疹ウイルスと遭遇すると麻疹を発症する.健常な成人は,成長の過程である社会(たとえば日本)で遭遇すべき微生物と遭遇している.しかしその健常成人がアフリカで熱帯熱マラリアに蚊刺咬を経てPlasmodium falciparumと遭遇すると熱帯熱マラリアを発症する.旅行に伴い遭遇する病原性微生物の地域的分布差が輸入感染症の本態である.病原性微生物の地域的分布差は常に存在するが,それを「輸入感染症」として顕在化させるのが旅行者の存在である.そのため旅行者数とその目的地の変動は輸入感染症の頻度を変化させる.
(1)疾患分布の世界的傾向
 患者の滞在した地域で鑑別診断を変える必要がある.旅行者あたり約1%以上の頻度で発症する世界的に重要な感染症を表4-3-9に示してあるが,その結果は「病原性微生物の地域的分布差」を明確に示している.特に重要な熱帯熱マラリアはサハラ以南アフリカに突出して多く認められ,同地域から帰ってきた感染症想定患者の18%が熱帯熱マラリアであった.マラリアに対する予防内服が勧められる理由である.腸チフス・パラチフスはインド周囲に多く,同地域から帰ってきた感染症想定患者の3%が罹患していた.デング熱はほかの地域でも認められたが,東南アジアでは感染症想定患者の8%が罹患していた.またほかの地域では認められなかったリーシュマニアは南米では感染症想定患者の4%が罹患していた.
(2)日本での疾患分布
 地理的背景より,日本の輸入感染症は東南アジア,インド,インドネシア地域との関連が強く中南米との関連は乏しい.2007年4月から2012年4月の期間,海外旅行後に横浜市立市民病院感染症内科を発熱・下痢等感染症を想定して受診した1421例の疾患頻度は表4-3-10の通りであった.日本において頻度と重症度から重要な輸入感染症は①マラリア(当院2.5%),②デング熱(当院2.0%),③チフス性疾患(当院1.6%)の3疾患であり,さらに追加するとすれば④レプトスピラ症(当院1%未満),⑤リケッチア感染症(当院1%未満)となる.
(3)重要疾患と潜伏期間
 輸入感染症は「潜伏期間」という重要な臨床因子を再確認させてくれる疾患である.熱帯熱マラリアの潜伏期間は8~25日(平均12日)である.アフリカ帰国後2カ月以上過ぎた患者での原因不明の発熱では,「潜伏期間より,三日熱マラリアは低い可能性で残るが,致死的疾患として注意すべき熱帯熱マラリアの可能性はない」こととなる.腸チフスの潜伏期間は7~21日であり,インド滞在3日目の発熱では腸チフスは鑑別診断には含まれない.
 表4-3-11には重要疾患と潜伏期間を示すが,多くの重篤になりうる疾患が初期には「感冒様症状」であることを念頭におくべきであり,そのため患者の旅行歴は非常に重要になる.
(4)顧みられない熱帯病
 2000年以降国連は「顧みられない熱帯病(neglected tropical diseases)」という考え方を提唱した.恣意的ではあるが,WHOが選択した疾患を表4-3-11に示した.これらの疾患は「単なる衛生状態の悪い環境で起こる古い病気」ではなく,いまなお,多くの患者が苦しんでいる疾患である(図4-3-4).[立川夏夫]
■文献
Freedman DO, Weld LH, et al: Spectrum of disease and relation to place of exposure among ill returned travelers. N Engl J Med, 354: 119-130, 2006.
Hotez PJ, Molyneux DH, et al: Control of neglected tropical diseases. N Engl J Med, 357: 1018-1027, 2007.

出典:内科学 第10版
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