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農業簿記【のうぎょうぼき】

日本大百科全書(ニッポニカ)

農業簿記
のうぎょうぼき

農業経営に適用される簿記。経営と家計とが未分離である農家によって農業生産が営まれる場合には、「農家経済簿記」として日々の取引を記帳し、農業所得と農外所得とをあわせた農家所得を算出し、農家所得から家計費を差し引いて農家経済余剰を算出する。この余剰額はその経営年度にどれだけ農家の財産が増加したかを示す。また「家計簿」を分離して、農家所得経済のなかから農業経営だけを対象として記録計算する「農業経営簿記」を用いて農業経営純収益が算出される。さらに農業者が、たとえば採卵鶏、温室園芸作物などの関心のある作目だけについて「部門農業簿記」を記録計算することが行われる。これらの個人農業者の自発的な記帳目的は所得税申告がおもなものであり、他のおもな目的は自己の農業経営改善のためである。現金出納帳を主とした単式簿記が用いられることが多く、労働日記帳などが補助簿として記帳される。専業農家のなかには複式簿記を記帳する者もかなりあるが、パソコンも使用されよう。他方、無記帳の農家も多い。

 農業簿記は、商業簿記のように商品の購入・販売という外部取引の記録・計算だけではなく、本来は工業簿記と同様に内部取引を対象として、生命を有する有機物の栽培・飼育過程を把握する記録計算が必要であり、また工業のように短期間に行われる生産工程とは異なり、比較的長期間を要することに特徴がある。しかしながら、個人農業者の段階では、内部取引の記録、しかも制度としての原価計算は、小企業と同様に行われにくい。主要農産物の生産費計算(原価計算)は、国家の行政の必要上主として外部者による記録計算によって統計調査が行われている。個人農業者が集まって行う農業共同経営の場合は、構成員相互間の出費と配分を明らかにするため農業簿記を記帳することが必然的となる。農業協同組合が農業生産の一部を担当する場合もあり、特別会計として記帳される。養鶏、養豚を営む大企業の株式会社にあっては、複式簿記による記帳はもちろん、同時に原価計算も制度的に行われている。

[阿部亮耳]

『大槻正男・桑原正信・菊地泰次著『農業簿記精説』(1972・富民協会)』『阿部亮耳著『農業経営複式簿記』(1972・明文書房)』『倉田貞著『新版複式農業簿記』(1979・大明堂)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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