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近代世界システム論【きんだいせかいシステムろん】

世界大百科事典 第2版

きんだいせかいシステムろん【近代世界システム論 theory of the modern world-system】
アメリカの社会学者ウォラーステインImmanuel Wallersteinらが1970年代半ば以降に唱えた歴史観。近代世界が経済的には単一の,グローバルな分業体制に覆われており,諸国の経済は,この世界システムの構成要素としてしか機能しえないとする。このような見方は,フランスの歴史家F.ブローデルの〈経済世界〉という概念や,第三世界史におけるA.G.フランクやS.アミンら〈従属(従属論)の発想前提になっている。

出典:株式会社平凡社
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旺文社世界史事典 三訂版

近代世界システム論
きんだいせかいシステムろん
Modern World System
1970年代中ごろウォーラースティンが提唱した,近代以後の世界システム分析方法。別名,世界システム論
15世紀に出発点をもち現在にいたるとされる社会システムを「近代世界システム」と呼び,それは,(1)主権国家からなる国際体系,(2)国境を越えて利潤を求めて貿易が行われる世界資本主義体系(資本主義経済体制),(3)異なる文化から構成される体系,という特徴をもつとする。ウォーラースティンの近代世界システム論は,1960年代にラテンアメリカで生まれた従属論を世界規模に拡大したもので,世界の国々を,1.資本集約的で先端的な技術をもつ「中心(中枢)」,2.労働集約的で時代遅れの技術しか持たない「周辺(周縁)」,3.その中間で両者の特徴を合わせもつ「準周辺(準周縁)」の,いずれかに属するとする。世界資本主義体制は,搾取の体制であり,「中心」は「準周辺」と「周辺」を,「準周辺」は「周辺」を搾取する構造を示す。それぞれの国は,「周辺」から「準周辺」やさらに「中心」へと上昇移動する可能性があると同時に,「中心」から「準周辺」やさらに「周辺」へ下向移動することもある。しかし,世界資本主義体制が続くかぎり,「中心」−「準周辺」−「周辺」の三層構造は不変であるとされる。こうした構造の中で,「中心」はその構造を維持しようとし,「周辺」はその構造を変革しようとし,世界システムにおける支配と対抗の構図が成立する。また,「中心」諸国間の競争にも激しいものがあり,「中心」の中には,歴史的に生産・貿易・金融のすべての分野で他の国に優越する覇権国が出現することがある。16世紀のスペイン,17世紀のオランダ,19世紀のイギリス,20世紀のアメリカがそれである。世界資本主義は独占利潤をつくりだし,資本蓄積を追求して,空間的に資本主義を拡大し,さまざまな分野を商品化していく。そして,可能なものすべてを商品化し,もはや資本蓄積の可能性がなくなると,世界資本主義体制はその歴史的な役割を終えて,他のシステムにとって代わられるとする。なお,こうしたウォーラースティンの近代世界システム論に対して,その意義を認めつつも,西欧中心主義史観であるとの批判が,従属論の代表的論者のフランクや日本の近代アジア史研究者などから出されている。また,政治学や国際関係論の分野では,伝統的な勢力均衡論や相互依存論をはじめ,世界の政治・経済を全体としてとり扱うさまざまな内容の世界システム論が存在する。

出典:旺文社世界史事典 三訂版
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