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近隣窮乏化政策【きんりんきゅうぼうかせいさく】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

近隣窮乏化政策
きんりんきゅうぼうかせいさく
beggar-my-neighbour policy
イギリスの経済学者 J.V.ロビンソンが名づけたもので,自国の経済状態を改善するために他国の経済状態を悪化させるような経済政策をとること。たとえば国内の景気が悪化したとき,為替レートの切下げなどにより生産余力を輸出に振向けるような政策をとると,国内の失業は防ぐことができるが,その分輸出相手国では輸入の増加により失業が増加することがありうる。第2次世界大戦前には,各国が為替切下げ,輸入制限といった近隣窮乏化政策をとり,それが相互に報復措置を呼んで,世界経済全体は縮小均衡に陥ってしまった。このときの反省から,戦後ガット GATT国際通貨基金 IMFなど自由貿易体制を維持するための枠組みが生れた。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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世界大百科事典 第2版

きんりんきゅうぼうかせいさく【近隣窮乏化政策 beggar‐my‐neighbour policy】
関税の賦課や引上げ,その他の輸入制限,輸出補助金交付賃金引下げ,為替レートの切下げなどによって,貿易収支を改善し,あるいは国内の雇用を拡大しようとする政策をいう。たとえば関税の賦課や引上げは,輸入を抑制し,国内の輸入代替財産業の需要を高め生産を刺激する。また輸出補助金の交付などの輸出振興策は,国内の輸出財産業の生産を増加させよう。賃金の引下げあるいは為替レートの切下げは,自国産業に有利に働くから,輸出財産業・輸入代替財産業の生産を増加させる。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

近隣窮乏化政策
きんりんきゅうぼうかせいさく
beggar-my-neighbour policy

他国に失業などの負担を転嫁し、その犠牲のうえに自国の景気の回復、維持を図る政策をいう。輸出は国民所得の循環では投資と同様に一国の外からの需要の注入であり、その増加は国民所得を増加させる乗数効果をもち、他方、輸入は貯蓄と同様に国内の所得が国内の企業に還流しない国民所得循環からの漏出であり、その増加は国民所得を減少させる負の乗数効果をもつ。したがって、為替(かわせ)相場の切下げ、輸出奨励金の交付、関税の引上げ、輸入制限の強化などの輸出増大や輸入削減政策は、一国の国民所得や雇用を拡大して不況や失業を緩和する。しかし、一国の輸出の増大や輸入の削減は他国の輸入の増加や輸出の減少につながり、他国では国民所得が減少し、失業が増加することになるであろう。つまり、輸出増大や輸入削減政策は、その国の失業を減少させるが、それと裏腹に外国で失業を増加させるという形で、外国に失業を転嫁する(それを失業の輸出という)のである。このような政策を一国がとると、他国も同様の政策で報復を行うため、世界貿易は沈滞し、国際経済は悪化する。第二次世界大戦前の為替相場切下げ競争、関税引上げ競争などは、その典型的な例である。

[志田 明]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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