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逆イールド【ぎゃくいーるど】

知恵蔵

逆イールド
短期金利が長期金利を上回る状態。信用リスクと通貨が同一の債券ならば、償還期間が長いほど金利が高くなり、期間と金利の関係を表すイールドカーブ(利回り曲線)は、右肩上がり(順イールド)となるのが一般的である。これに対して、長期金利が短期金利を下回るようになるとイールドカーブが通常とは逆に右肩下がりになる。このことから、短期金利に対して長期金利がこれを下回った状態を逆イールドと呼ぶ。市場が将来の景気後退を予想していることを意味し、景気後退の予兆とされる。
イールドカーブは、横軸に債券の残存期間、縦軸に最終利回りをとった座標に、各債券の値をそれぞれプロットしたものをつないだ曲線である。したがって、短期金利と長期金利の差が大きくなれば曲線の傾きが急になり、差が縮まれば傾きが緩やかになる。金利の決定要因は様々ではあるが、短期金利は中央銀行の決定する政策金利の影響が大きい。これに対して、長期金利は主に市場における投資家の将来の景気見通しによって影響を受ける。償還期間が長い債券は、資金回収までの期間が長くなり、その間の金利変動などによる価格変動リスクが大きい。このため、そのリスクに応じた利回りが投資家から求められるため、長期金利は短期金利を上回るのが一般的である。しかし、近い将来の景気後退が予測される場合、短期金利よりも長期金利の方が市場の影響を強く受けるため、長期金利が短期金利よりも低下し逆イールドが発生することになる。つまり、好景気の終盤では,中央銀行は景気の過熱を防ぐため短期金利を引き上げる。ところが、投資家は将来の景気後退に伴う金融緩和を見込んで長期の債券を買い入れる。このため、長期債券の買い取り価格が上昇し、相対的に長期債券の利回りは低下する。そのこと自体は市場の見通しによるものであって、金利差の逆転が直接に将来的な景気後退を引き起こすわけではない。しかし、市場はそもそも何らかの理由により景気後退の観測をもっているわけであるし、市場参加者もこれによって資金回収を急ぐなどの行動をとりがちである。この結果として、市場の資金が不足したり、貸出金利の指標となる長期金利と預金金利の参考となる短期金利の差が狭まり金融機関が貸し渋りをしたりといったことが起こり、景気後退を招くとも考えられる。これらのことから、逆イールドは景気後退の兆候と見られている。実際に、米国では1990年以降3回の景気後退局面を迎えているが、いずれのときもその1、2年前に2年金利と10年金利の逆転が見られた。2007年以降は逆転が解消したが、10年代に2年金利は上昇傾向、10年金利は変動含みながら低下気味となり、19年8月には12年ぶりとなる逆イールドになった。株式市場はこれに反応し同年最大の下げ幅を記録した。この逆イールドの背景には、中国やドイツの市況の悪化により、米国債に資金が向かい米10年物国債の利回りが大幅に低下したことがあると見られているが、米国経済の先行きに対する不透明感の強まりも無視できないとの指摘もある。
(金谷俊秀 ライター/2019年)

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

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