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過換気症候群【かかんきしょうこうぐん】

知恵蔵

過換気症候群
過呼吸症候群」のページをご覧ください

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

デジタル大辞泉

かかんき‐しょうこうぐん〔クワクワンキシヤウコウグン〕【過換気症候群】
神経症や呼吸中枢の異常により発作的に過呼吸を行ったため、血液中の二酸化炭素濃度が低下して起こる一連の症状。呼吸困難胸痛やしびれ・痙攣(けいれん)などがみられる。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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家庭医学館

かかんきしょうこうぐん【過換気症候群】
 不安感・緊張感や、意識されない心理的な葛藤(かっとう)など、さまざまな原因によって、発作的に呼吸が頻回になる病態をさします(「過換気症候群」)。
 過換気症候群の場合には、血液中に二酸化炭素の過剰がないのに呼吸が頻繁(ひんぱん)になるため、かえって二酸化炭素の濃度正常よりも低くなってしまいます。その影響で、手足のしびれ感やけいれんがおこったり、重症のときには意識障害がおこることもあります。治療はペーパーバッグ法といって、紙袋などを口にあて、自分がはいた空気をくり返し吸うようにします。ただし、あまり長い時間行なうと今度は酸素が不足してしまうので注意が必要です。
 精神的な不安を抑えるためには、抗不安薬が用いられますが、長期的には、不安・葛藤を取り除く治療を根気よく継続することがたいせつです。

出典:小学館
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かかんきしょうこうぐん【過換気症候群 Hyperventilation Syndrome】
[どんな病気か]
 精神的ストレスなどがきっかけで始まった大きな呼吸によって、血液中の炭酸ガス(二酸化炭素)が肺から排出されすぎて少なくなった状態を過換気といい、それによっておこる全身の病的な変化を、過換気症候群といいます。大きな呼吸をするために呼吸困難を感じます。
 血液中の炭酸ガスは血液の酸・アルカリ度と密接な関係があり、炭酸ガスが減ると血液はアルカリ性となります。
 炭酸ガスが減ると脳の血管が収縮し、脳への血流も減り、頭がボーっとしたり、めまいがおこったりします。また、手指の血流が減ると、手がしびれ、血液のアルカリ度が増すと、ひどいときは全身にけいれんがおこることもあります。
[検査と診断]
 呼吸困難の原因が、ぜんそく発作(ほっさ)、自然気胸(しぜんききょう)、肺塞栓症(はいそくせんしょう)、狭心症(きょうしんしょう)、心筋梗塞(しんきんこうそく)などである可能性もあるため、胸部X線写真、心電図などの検査が行なわれます。また、動脈より採血し、動脈血中の炭酸ガスや酸素の濃度、酸性度・アルカリ度が調べられます。
 肺や心臓に異常がなく、動脈血中の炭酸ガスが減少していて、酸素が基準値以上あり、アルカリ性であれば、過換気症候群と診断されます。
 また、過換気になっていると、ぜんそく発作や狭心症発作をおこしやすいため、これらの病気にかかっていないかどうかも調べられます。
[治療]
 大きな呼吸をすることにより呼吸困難などがおこり、不安になって、さらに大きな呼吸をすることで症状が悪化し、ますます不安となってさらに大きな呼吸をするという悪循環におちいり、発作をおこします。
 この発作をおこして緊急入院した人には、血液中の炭酸ガスをもとにもどすため、ビニール袋などを頭にかぶせ、はいた息(呼気(こき))を再び吸わせる方法がとられたり、鎮静薬が与えられます。
 大きな呼吸をすることが悪循環の原因で、これはひとりずもうのようなものですから、大きな呼吸をしてしまって手のしびれなどを感じたら、それ以上大きな呼吸をしないように、自分で呼吸をコントロールすることが発作の予防となります。
 発作がしばしばおこる場合や、慢性の場合は、精神的な問題のために過換気となっていることが多く、精神療法などが必要な場合もあります。
 日常生活のストレスなどによって、一度、過換気になってしまうと、悪循環におちいって発作をおこすことになりますが、発作の原因を理解することによって予防できます。

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

かかんきしょうこうぐん【過換気症候群】

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

大辞林 第三版

かかんきしょうこうぐん【過換気症候群】
呼吸運動が発作的に激しくなって生体の代謝に必要以上の換気が起こるため生じる一連の症状。呼吸困難・動悸・胸痛・四肢のしびれ感・めまい・失神など。過呼吸症候群とも。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

過換気症候群
かかんきしょうこうぐん
hyperventilation syndrome
心因以外にとくに原因となる器質的疾患がなく、発作性に呼吸困難、過呼吸状態を生じ、それに伴い多彩かつ一見重篤そうな臨床症状を示す疾患で、過呼吸症候群ともいう。心身症的色彩が強く、ときに呼吸器、循環器疾患に合併して発症することもある。発作は、激しい運動、疲労、疼痛(とうつう)、不安、興奮、緊張など、心身のストレスにより誘発される。一般に若年者に多く、女性は男性の約2倍で、とくに25歳以下の精神の不安定な女性に多くみられる。
 発作は自覚的な息苦しさに始まり、呼吸が深くなって数も増し(過換気)、これが精神的不安を助長し、それがさらに過換気を増大させるといった悪循環を形成し、悪化する。過換気によって血液中の炭酸ガスが過剰に吐き出され、動脈血炭酸ガス分圧の低下と水素イオン濃度(pH)の上昇、すなわち呼吸性アルカローシスをきたす。その結果、イオン化カルシウムの低下を生じて、神経、筋の興奮性を増し、また脳血管を収縮させて血流を減少させる。一方、不安は交感神経を興奮させ、それによる症状(換気および心機能の亢進(こうしん)など)も現れることになる。発作時には著しい過呼吸状態(数も深さも増す)を示すとともに、呼吸困難、動悸(どうき)、胸内苦悶(くもん)感、胸痛、頭痛、発汗、手足ならびに顔・口唇周囲のしびれ感、四肢のテタニー様けいれん、めまい、意識障害などをきたし、重症例では失神を生ずることもある。発作の持続時間は30~60分のことが多い。
 診断は、発作の誘因、患者の強い不安状態、呼吸の状態や訴えのわりには理学的所見や心電図などの所見に乏しいこと、多彩な臨床症状などに加えて、動脈血液ガス測定が可能であれば、動脈血炭酸ガス分圧の低下とpHの上昇、すなわち呼吸性アルカローシスを証明することにより確定できる。紙袋再呼吸法(後述)または5%炭酸ガス吸入による症状の改善も診断に役だつ。また非発作時には、意識的に過呼吸を行わせて発作を誘発することもできる。
 発作時には、息こらえをするか、数リットル程度の大きさの紙袋(ビニル製でもよい)で口と鼻を覆って呼吸させると、呼気中の炭酸ガスをふたたび吸入することになるので、動脈血炭酸ガス分圧が正常化し、発作は消失する。この紙袋再呼吸法を患者に体得させることがたいせつである。発症機序を理解させ、特別の器質的疾患によるものでなく、危険性のないことを説明して不安感を取り除くこともたいせつである。発作を繰り返す場合には、精神安定剤の投与や、心理療法を中心とした心身医学的治療などが行われる。[高橋昭三]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

かかんき‐しょうこうぐん クヮクヮンキシャウコウグン【過換気症候群】
〘名〙 精神的な原因から過呼吸となり、炭酸ガスを過剰に排出したため、血液中の炭酸ガス濃度が急に低下して生じる症状。呼吸困難、動悸、胸痛、しびれ、痙攣(けいれん)、失神などの症状がある。

出典:精選版 日本国語大辞典
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内科学 第10版

過換気症候群(呼吸調節の異常)
病態生理
 特に原因となる疾患がなく,主として心理的要因により,突然,頻呼吸,過呼吸が出現し,それに引き続いて,呼吸困難,意識障害,テタニー症状などの多彩な臨床症状を呈する機能異常である.心身症的色彩が強く,比較的若い女性に多い.過去に何度も同様な既往を有していることが多いが,初発の場合は器質的異常の有無を鑑別する必要がある.
臨床症状
 強い不安を訴え,突然,呼吸困難感が出現して頻呼吸となる.過換気が重度になると,呼吸性アルカローシスを生じ,その結果,電解質異常(血清カルシウムの低下)が惹起され,テタニー症状が出現してくる.また,意識障害,失神,痙攣などがみられることもある.これらの症状が患者の不安感,恐怖感をさらに増幅させる悪循環となり症状が継続する.
診断・鑑別診断
 心理的要因に伴う典型的頻呼吸であれば診断は容易であるが,血液ガス分析で,低二酸化炭素血症(PaCO2の低下)とpHの上昇(呼吸性アルカローシス)が認められれば診断が確定する.基本的に呼吸器系は正常のため,PaO2は上昇するのが通常である.もし,過換気(頻呼吸)状態で,PaCO2が低下しているにもかかわらず,PaO2の上昇がみられないときには,ほかの呼吸器疾患や,呼吸困難を呈する疾患を考える必要がある.上気道閉塞(誤嚥,窒息など),自然気胸,肺血栓塞栓症などの低酸素状態を惹起する病態や,心不全や貧血などの呼吸困難を呈する疾患を念頭におく必要がある.
治療
 治療は過換気を是正してPaCO2の低下を抑えることが主眼となる.一般的にはペーパーバック法(紙袋を患者の口・鼻にかぶせて呼吸させ,呼気中の二酸化炭素を再吸入させてPaCO2を上昇させる)が推奨されているが,実際には,かえって患者の不安を増強させパニックに陥ることもあり,難しいこともある.したがって,患者の不安を取り除くことが最も重要で,決して危険な状態でないことを言い聞かせ,患者をリラックスさせ頻呼吸を改善させるように努力しなくてはならない.どうしても鎮静が必要なときには薬物投与(ジアゼパム5~10 mg筋注など)が必要となることもある.発作を繰り返す患者に対しては,心療内科や精神科的アプローチが必要である.[赤柴恒人]
■文献
Bickelmann AG, et al: Extreme obesity associated with alveolar hypoventilation−a Pickwick syndrome. Am J Med, 21: 811-818, 1956.
Guilleminault C, Tilkian A, et al: The sleep apnea syndromes. Ann Rev Med, 27: 465-484, 1976.
厚生科学研究費補助金特定疾患対策研究事業.呼吸不全に関する調査研究(主任研究者栗山喬之).平成13年度総括研究総括書,pp146-147,2002.
睡眠呼吸障害研究会編:成人の睡眠時無呼吸症候群,診断と治療のためのガイドライン,メディカルレビュー社,東京,2005.

出典:内科学 第10版
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六訂版 家庭医学大全科

過換気症候群
かかんきしょうこうぐん
Hyperventilation syndrome
(呼吸器の病気)

どんな病気か

 過換気とは、呼吸が深くかつ速くなることです。過換気により血中の二酸化炭素が排出され、血液がアルカリ性になります(呼吸性アルカローシス)。このため、しびれ、けいれん、意識混濁(こんだく)などの神経・筋肉症状を示す病態です。

 大変頻度が高く、また不定愁訴(ふていしゅうそ)として軽く考えられる傾向がありますが、器質的な病変はないかどうか、精神的なケアの必要性はないかどうかなどの注意が必要です。後述のようにパニック障害との関係からも重要です。

原因は何か

 精神的な不安、人工呼吸器による補助換気中の換気過剰、原因が不明な中枢神経異常、サリチル酸などの薬剤の中毒、敗血症(はいけつしょう)(菌が血中に入った状態)が原因としてあげられますが、日常生活での発症では、精神的な不安や心因性反応(ヒステリーなど)の場合がほとんどです。

 若年者や女性で精神的ストレスを受けやすい人によくみられます。男女比は1対2といわれています。

症状の現れ方

 しばしば突然に呼吸困難を訴えます。呼吸困難の自覚なしに息が荒くなることもあります。過換気が起こると指先や口周囲のしびれ感、テタニー(筋の被刺激性が亢進した状態)、不穏(ふおん)興奮状態、意識混濁が現れてきます。

検査と診断

 発作時に動脈血を採取すると、アルカローシス、二酸化炭素分圧の低下、動脈血酸素分圧の上昇などがみられます。強制的に過換気にする過換気テストを行い、症状が現れるかどうか検討することもあります。心電図では、一見、虚血性の変化にみえるものが記録されることがあります。

治療の方法

 発作が起こった緊急時には、小さめの紙袋を口に当てて反復呼吸させますが、不安を強めたり低酸素血症をもたらすことがあるなどの理由から最近では行われない方向にあります。

 家庭や職場でこの処置を行うのは、同様な発作を繰り返し、すでに過換気症候群の診断が確定している場合に限ります。基本的には、医療機関で診断後に行われます。

 精神的な不安や肉体的過労が症状の出現と関連することが多いため、安静、休息とし、必要ならば抗不安薬を内服します。発作を繰り返す場合、安定期に心理療法、行動療法を行うとよいことがあります。

病気に気づいたらどうする

 基礎疾患がないかどうかの確認が必要です。また、類縁疾患として以下の3つがあるので、これらの疾患との区別も重要です。そのため、呼吸器内科、循環器科、精神科を受診することが必要なことがあります。

不安神経症

 過呼吸発作症状での悪循環(不安がさらなる発作を誘発する)が生じる背景として、不安神経症に基づく情動不安性があります。

恐慌性(きょうこうせい)障害(パニック障害

 呼吸困難、心悸(しんき)亢進、胸部痛、めまい感、強い恐怖感などを伴う恐慌発作が、突然起こってくるものを指します。1980年の米国精神医学会による疾患分類で独立した疾患とされました。中枢の延髄橋(えんずいきょう)にあるノルエピネフリン作動性ニューロンの活動性の亢進との関連が考えられています。

③神経循環無力症

 心臓その他の臓器に原因となる器質的な病変が認められないのに、息切れ、心悸亢進、胸痛、疲れやすさなどを訴えます。心臓神経症とほぼ同義語です。

千田 金吾

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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EBM 正しい治療がわかる本

過換気症候群
どんな病気でしょうか?

●おもな症状と経過
 とくに身体的な病気がないのに、突然、息が苦しくなって、動悸(どうき)、頻脈(ひんみゃく)、めまい、顔面や手足のしびれなどを引きおこす過換気発作(かかんきほっさ)をなんどもくり返す状態を過換気症候群といいます。
 発作の時間は30~60分間程度で、自然におさまります。ただし、息をしても空気が入ってこないような感じがするために「このまま死ぬのではないか」という強い不安に襲われ、救急車で病院に運ばれることも少なくありません。
 全身がけいれんして意識を失うこともありますが、病院に着いたころには発作がおさまっているのがふつうです。
 なんども発作をくり返す慢性型になると、息が苦しいなどの呼吸症状よりも、顔面や手足のしびれ、めまい、頭痛、疲れやすさ、腰痛、不安感といった症状を強く感じるようになります。

●病気の原因や症状がおこってくるしくみ
 精神的・身体的なストレスが元になって、はあはあと浅い呼吸を過度にくり返すと、血液中の二酸化炭素が呼気中に多く排出され、血液のpH(ペーハー)がアルカリ性に傾きます。これを呼吸性アルカローシスといいます。
 この状態が元になって、さまざまな症状が現れ、発作につながるのが過換気症候群です。また、発作がおこると不安や恐怖が増して、いっそう過度な呼吸をするようになり、悪循環に陥ります。
 血液中の酸素・二酸化炭素の量の変化に敏感な体質の人が過換気症候群になりやすいと考えられています。また、過換気症候群はパニック発作によるものもあるため、抗不安薬や抗うつ薬などの治療を行うことになります。

●病気の特徴
 若い女性に多く、男性の2倍以上です。ただし、最近は若い男性も増える傾向にあります。20歳代が発症の中心ですが、30歳代、40歳代の人も珍しくはありません。発作は月に2回以上ある場合や、年2回程度にとどまる場合など、患者さんによってさまざまです。


よく行われている治療とケアをEBMでチェック

[治療とケア]紙袋再呼吸法(かみぶくろさいこきゅうほう)で発作をしずめる
[評価]☆☆
[評価のポイント] 以前は、紙袋で鼻と口を覆(おお)って呼吸し、血液のなかの二酸化炭素を増やす方法が用いられていましたが、現在はそれにより血液のなかの酸素が減り、副作用がおこることが報告されています。もしこの方法を行う場合は、必ず血液中の酸素を測る機械(パルスオキシメーター)を使用することが勧められています。(1)(2)

[治療とケア]抗不安薬を用いて発作をしずめる
[評価]☆☆
[評価のポイント] 不安発作(過換気症候群)をしずめる目的で、抗不安薬の静脈注射を行うこともあります。

[治療とケア]行動療法と教育により再発予防を行う
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] 過換気症候群は重病ではなく、肺にも心臓にも異常がない状態であることを患者さん自身が自覚できるように、行動療法と教育を行います。これらの治療は、短期的な再発予防のみならず、長期的な再発予防にも役立つことが示唆されています。しかし大規模な研究は少なく、これからの研究が期待されます。(3)~(5)

[治療とケア]抗不安薬で発作を予防する
[評価]☆☆
[評価のポイント] 過換気症候群に対する抗不安薬による治療は、短期的な再発を予防する可能性が示唆されています。上記の行動療法と同程度の効果があるとする報告がありますが、まだ研究が十分とはいえません。(6)


よく使われている薬をEBMでチェック

抗不安薬
[薬名]ソラナックス/コンスタン(アルプラゾラム)
[評価]☆☆
[薬名]メイラックス(ロフラゼプ酸エチル)
[評価]☆☆
[薬名]デパス(エチゾラム)
[評価]☆☆
[薬名]リーゼ(クロチアゼパム)
[評価]☆☆
[評価のポイント] 症状に合わせて、作用時間の短い抗不安薬から長い抗不安薬までを使い分けます。


総合的に見て現在もっとも確かな治療法
ほかの病気でないことを確認し、この病気を理解する
 突然息が苦しくなったり、動悸がしたり脈が速くなったりしますので、はじめて過換気発作を経験した患者さんは非常に強い不安感をもちます。このまま死んでしまうのではないか、生命にかかわる深刻な病気なのではないか、そして、またあのような発作に襲われるのではないかと思うと、不安が強まり、それがストレスになって、さらに次の発作を誘いかねません。
 このような不安と発作の悪循環を招かないように、病気を理解し、受け入れることが大切です。もちろん、循環器など体の病気がないことも確認する必要があります。

紙袋再呼吸法には注意が必要
 過換気発作に対して、紙袋を鼻と口にあてて呼吸する紙袋再呼吸法が行われることがあります。紙袋のなかに吐きだされた二酸化炭素を再度吸い込むことによって、体内から失われた二酸化炭素が補われ、さまざまな症状を消失させることができると考えられています。ただし、血液中の酸素が減り、副作用がおこるとの報告もあります。医師がこの方法を行う場合は、血液中の酸素を測る機械(パルスオキシメーター)を使用することが勧められます。袋の端に隙間をつくり、完全に密封状態にならない工夫をして行うのが安全でしょう。

抗不安薬や抗うつ薬の使用も
 必要に応じて、抗不安薬を静脈注射か内服で用います。過換気発作の背後にうつ病や不安神経症があって発作をくり返す患者さんでは、抗不安薬をしばらく用いることもあります。
 信頼できる医師に定期的に受診しながら、生活上のストレスや誘因となるできごとへの対処を徐々に行うことも勧められます。

(1)Morgan WP. Hyperventilation syndrome: a review. Am Ind Hyg Assoc J. 1983;44:685-689.
(2)Callaham M. hypoxic hazards of traditional paper bag rebreathing in hyperventilating patients. ann emerg med 1989; 18:622.
(3)DeGuire S, Gevirtz R, Kawahara Y, et al. Hyperventilation syndrome and the assessment of treatment for functional cardiac symptoms. Am J Cardiol 1992; 70:673.
(4)DeGuire S, Gevirtz R, Hawkinson D, et al. Breathing retraining: a three-year follow-up study of treatment for hyperventilation syndrome and associated functional cardiac symptoms. Biofeedback Self Regul 1996; 21:191.
(5)Jones M, Harvey A, Marston L, O'Connell NE. Breathing exercises for dysfunctional breathing/hyperventilation syndrome in adults. Cochrane Database Syst Rev 2013; 5:CD009041.
(6)Kraft AR, Hoogduin CA. The hyperventilation syndrome. A pilot study on the effectiveness of treatment. Br J Psychiatry 1984; 145:538.

出典:法研「EBM 正しい治療がわかる本」
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