●遠洋漁業【えんようぎょぎょう】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
遠洋漁業
えんようぎょぎょう
deep-sea fishery
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デジタル大辞泉
えんよう‐ぎょぎょう〔ヱンヤウギヨゲフ〕【遠洋漁業】
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農林水産関係用語集
栄養・生化学辞典
遠洋漁業
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世界大百科事典 第2版
えんようぎょぎょう【遠洋漁業 distant fisheries】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
遠洋漁業
えんようぎょぎょう
根拠地より遠く離れ、数週間から数か月またはそれ以上にわたり漁場に滞留して行う漁業の総称で、沿岸漁業、沖合漁業に対していう。遠洋底引網漁業(南方トロール漁業、北方トロール漁業、過去には北転船(ほくてんせん)等もこれに区分されていた)、以西底引網漁業、遠洋カツオ・マグロ巻網漁業、遠洋マグロ延縄(はえなわ)漁業、遠洋カツオ一本釣漁業、遠洋イカ釣漁業などが代表的なものである。その多くは漁業法に定める指定漁業に含まれており、日本の漁業生産の重要な部分を担っている。
1897年(明治30)、沿岸漁業依存の明治中期までの漁業体質改善を目ざす遠洋漁業奨励法が制定され、遠洋漁場への進出開発を促進するため、漁船の動力化や大型化に対して奨励金を下付した。その成果は明治末期から大正時代にかけて現れ始めた。静岡県の富士丸の動力化(1906)を契機としてカツオ・マグロ漁場が拡大し、イギリス製トロール船の買入れと技術導入(1908)によって、北洋、南シナ海をはじめ海外漁場が開発され、日本の母船式漁業の先駆けといわれる工船カニ漁業が軌道にのり(1921)、相次いで母船式サケ・マス漁業の企業化が促進された。また、1934年(昭和9)には母船式南氷洋捕鯨が始まるなど、日本漁業の近代化によって遠洋漁業は昭和年代に入って盛期を迎えた。しかし、第二次世界大戦のため、保有漁船の70%(トン数)を失う大打撃を受け、漁業生産は急落した。
第二次世界大戦後、食糧問題の解決と漁業復興が重大関心事となり、漁船建造、漁業資材充足への努力が実り、短期間のうちに戦前の勢力に復活した。マッカーサー・ラインの撤廃された1952年(昭和27)の漁業生産は戦前の水準を超え、年々その記録を更新した。母船式および搭載艇式マグロ漁業、冷凍すり身工船、南氷洋オキアミ漁業などの新たな漁業種も加わり、1972年には漁業総生産量は1000万トンを超え、翌1973年の遠洋漁業生産は396万トンに達した。このようにわずか7年間で以前の2倍の生産をあげたが、以後、徐々に北洋底魚漁業は生産減となる。1980年代前半から世界的な200海里体制による規制の影響を受け、沿岸国の経済水域、漁業専管水域が設定されていく。1982年国連海洋法条約により排他的経済水域が規定され、沿岸国は生物資源の保存を考え、その許容漁獲量を決定する権利をもつことになった。その後、日本の漁場面積が一挙に狭められ、さらに漁業上の規制(漁場、漁期、漁具、漁法、漁獲量など)の強化によって生産量は激減し、下向線をたどってきた。1996年(平成8)日本も200海里排他的経済水域を設定、実施し、翌1997年の遠洋漁業の生産量は総生産量の11%余りにとどまり、最盛期の5分の1程度となった。2001年(平成13)には国連公海漁業協定が発効し、外洋の水産資源の利用に関しては沿岸国と遠洋漁業国が国際的な枠組み(地域漁業管理機関等)を通じて科学的根拠に基づく管理が行われている。日本の漁業総生産量はマイワシ等の多獲性浮魚類の漁獲減少等で2004年以降は600万トンを割り込み、遠洋漁業もそのうち約9%を占めるに過ぎない。2011年には東日本大震災の影響もあり総生産量は477万トンにとどまるなか、遠洋漁業は43万トンの漁獲量となった。
近年、世界各国の海洋生物資源に対する関心が高まり、自国200海里水域内の資源の維持管理のみならず、海洋全域にわたって世界共有の財産であるとする思想のもとに、各種の資源に対する国際管理が強調されている。資源問題はもちろん、南極海のクジラを始め、とくに流し網などで混獲される海産哺乳(ほにゅう)動物や海鳥類の保護が国際世論となった。さらに1988年(昭和63)からの南極海商業捕鯨休止、1990年からの北洋サケ・マスの沖取り禁止、1992年からの公海イカ流し網の禁止などが国際世論を反映しているとも考えられる。マグロ延縄漁業では、2000年に入り海鳥・ウミガメの混獲回避措置の義務化が進められ、その他の漁業でも混獲種や脆弱(ぜいじゃく)な生態系の保全との共存が大きな課題となっている。
[三島清吉・高橋豊美・小倉未基]
『高梨正夫著『新海洋法概説』(1985・成山堂書店)』▽『水上千之著『日本と海洋法』(1995・有信堂高文社)』▽『佐竹五六著『国際化時代の日本水産業と海外漁業協力』(1997・成山堂書店)』▽『小松正之監修『ポプラディア情報館 日本の水産業』(2008・ポプラ社)』▽『日本海事センター編、栗林忠男監修『海洋法と船舶の通航』改訂版(2010・成山堂書店)』▽『金田禎之著『新編 漁業法のここが知りたい』改訂版(2010・成山堂書店)』▽『大日本水産会監修『日本の農林水産業4 水産業』(2011・鈴木出版)』▽『漁協組織研究会編『水協法・漁業法の解説』20訂版(2013・漁協経営センター)』▽『金田禎之著『新編 漁業法詳解』増補4訂版(2013・成山堂書店)』
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精選版 日本国語大辞典
えんよう‐ぎょぎょう ヱンヤウギョゲフ【遠洋漁業】
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