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遺棄【イキ】

デジタル大辞泉

い‐き〔ヰ‐〕【遺棄】
[名](スル)
捨てて顧みないこと。置き去りにすること。委棄。「死体遺棄する」

民法上、夫婦または養子縁組の当事者が、同居扶助扶養などの義務を怠ること。悪意によるものは、離婚離縁の原因とされる。
刑法上、遺棄罪となる行為。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
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世界大百科事典 第2版

いき【遺棄】
保護を必要とする状態にある人に対して,現に援助を与えうる状態にある人,あるいは援助を与えるべき位置にある人が,当該者をそのまま放置し,あるいは保護を与えることを拒むことを指す。民法上問題とされる遺は,親族関係の存在を前提とする。具体的には,養子縁組当事者間,配偶者間における悪意の遺棄は,それぞれ離縁原因離婚原因となる(民法814条,817条の10,770条)。ただし,悪意の遺棄の意味は,離縁原因の場合と,離婚原因の場合で異なっている。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

遺棄
いき

遺棄とは、要保護者(老年者、幼年者、身体障害者、病者など保護を必要とする者)の生命や身体の安全を危険にさらして監護義務を放棄している状態をさす。刑法上では、遺棄罪(217条~219条)として処罰の対象となる。また乳幼児や児童に対する遺棄は、児童虐待におけるネグレクト(育児放棄)に該当する。

 戦前は、遺棄の一種として堕胎や嬰児(えいじ)の間引きに加えて捨て子や人身売買が、とくに飢饉(ききん)後の農村で横行し、身売り奉公先で遊女(娼婦)が病にかかり放置されて亡くなることも多かった。

 遺棄には、扶養義務者の家出(蒸発)も含まれる。家出の原因として借金や愛人宅へ生活の場を移すなどがあげられるが、これらの扶助義務や同居義務に不当に違反する家出は「悪意の遺棄」(民法770条)として離婚事由の一つに該当する。またコインロッカーに子どもを捨てる事件(1973)など、要保護者のなかでも乳幼児を対象とした置き去り(捨て子)は保護責任者遺棄罪(刑法218条)として処罰対象となる。その他、熊本市の私立病院に「赤ちゃんポスト」(2007)が設置されて以降、保護責任者の乳幼児の遺棄に対する社会的な関心が高まっている。

 遺棄には、家族間の葛藤(かっとう)や扶養意識の希薄化などとともに、非正規雇用の増加や就職難などの生活の困窮化も密接にかかわっている。今後は、扶養義務者の遺棄に対する責任の追及だけではなく、要保護者に加えて扶養義務者をいかに社会全体で見守り支えていくかが課題となる。

[作田誠一郎]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

い‐き ヰ‥【遺棄】
〘名〙
① 人や物事を捨てたままにして、顧みないこと。おきざり。委棄。
※四河入海(17C前)一三「前に天が此茶を遺棄して生長せしめぬげなど云ほどにぞ」 〔阮籍‐詠懐詩〕
② 法律で、配偶者や、老幼、障害疾病のために扶助を要する人を、放置すること。〔民法(明治二九年)(1896)〕

出典:精選版 日本国語大辞典
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