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都市気候【としきこう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

都市気候
としきこう
urban climate; city climate
都市部とその周辺とで気候差異がある,都市に特有な気候。都市部が周辺と比べて高温であることは特徴の一つで,ヨーロッパでは早くからその存在が知られ,19世紀中頃にはオーストリアの気象学者ユリウス・フェルディナント・フォンハンによって確かめられた。特に冬季の夜間に顕著に現れ,郊外に比べて約 3~5℃高い。東京では周辺との差が 10℃以上に達することもある。快晴風速が弱く,夜間に著しい風向変化がみられず逆転層が発達する場合に最もよく発達する。その原因として工場や人家の燃焼熱,スモッグ層による夜間放射妨害,都市の建築物の熱的特性,都市内の乱流構造などが考えられる。大気汚染は,特に大都市や工業都市の内域で著しく,郊外に比べて大気中の汚染物質の量が 10倍以上にも達する。そのために内域の日射量減少視界は悪く,が発生しやすく,さらに都市気温の上昇にも影響を与えている。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵

都市気候
空調設備や自動車・工場からの排熱、ビルや舗装道路の増加緑地の減少など、都市化の結果つくり出された、都市域での独特な気候。主な特徴は、高温と乾燥、風速の減少、強いビル風の発生、霧日数、短時間強雨の増加、日射量の減少、大気汚染の増加など。特に郊外と比べて高温の都市部をヒートアイランド(heat island)と呼ぶ。等温線を描くと都市部が海に浮かぶ島のように見えるので熱の島と名付けられた。冬の寒い朝の気温では都心と郊外との差は、東京で6℃以上、中規模の都市で3〜5℃にもなる。近年は都市の冬期最低気温の上昇が著しい。
(饒村曜 和歌山気象台長 / 宮澤清治 NHK放送用語委員会専門委員 / 2007年)

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

デジタル大辞泉

とし‐きこう【都市気候】
都市にみられる、周辺の田園森林地帯と異なる気候。高温や大気汚染による日射量の減少、風速の減少と風系の変化、霧や微雨日数の増加などを特徴とする。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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世界大百科事典 第2版

としきこう【都市気候 urban climate】
都市が建設され,そこで人間が生活するようになると,そこの気候が田園や森林であった当時と比べて変化する。そして都市域では郊外や周囲の田舎とは異なった気候が生じる。この都市固有の気候を都市気候と呼ぶ。都市の内外では多くの点で気候が異なる。おもなものは,大気汚染,都市域の高温(都市温度),日射量(紫外線)の減少,風速の減少と都市固有の風系の発生,雲量や霧日数・微雨日数の増加,湿度の減少すなわち都市の空気の乾燥,などが挙げられる。

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

日本大百科全書(ニッポニカ)

都市気候
としきこう
urban climate

都市に特有の気候。都市域では、人口集中による人工排熱の増加と地表面の人工化(コンクリート建造物、アスファルト道路など)によって、周辺の郊外・農村地帯に比べて、気温が高くなるヒートアイランド現象や乾燥化などが顕著に認められる。欧米や日本など、先進国の大都市では、1950年代から1970年代にかけて工場からの煤煙(ばいえん)や自動車の排気ガスなどによる大気汚染が進み、スモッグ(都市の煙霧)による日射量の減少や視程の悪化が深刻な社会問題となったが、1990年代以降は大気汚染防止に関する厳しい法的規制によってかなり改善された。一方、アジアの開発途上国では、飛躍的な経済活動の進展によるエネルギー消費量の急増が、深刻な大気汚染問題を引き起こしている。

 都市気候は、都市の規模やその地理的位置によって差が生じるが、一般に人口が多い大都市ほど顕著になる。また、同一の都市でも、時代とともに人口が増加して都市活動が盛んになると、都市気候の現象が強化される。たとえば、世界有数の大都市である東京を例にとると、明治期の30年間(1881~1910年)と昭和・平成期の30年間(1981~2010年)では、以下に示すような顕著な変化が認められる。

●東京都心部における都市気候の変化の例
【1881~1910年】
 平均気温:13.7℃
 相対湿度:75%
 降水量:1495ミリメートル
 冬日:66.6日
 熱帯夜:1.3日
 真夏日:30.5日
 猛暑日:0.2日

【1981~2010年】(1881~1910年からの変化)
 平均気温:16.3℃(+2.6℃)
 相対湿度:62%(-13%)
 降水量:1529ミリメートル(+2%)
 冬日:5.7日(12分の1)
 熱帯夜:27.8日(21倍)
 真夏日:48.5日(1.6倍)
 猛暑日:3.2日(16倍)
(注:気象庁ホームページの統計データによる)
 これをみると、平均気温の上昇と相対湿度の低下が著しく、降水量は若干増加している。明け方の最低気温が0℃未満の冬日は激減する一方、夜間の最低気温が25℃以上の熱帯夜は激増している。夏季日中の最高気温については、30℃以上の真夏日の増加や35℃以上の猛暑日の激増が注目される。

 また、1980年代以降、東京などの大都市では、夏季の午後に突然局地的な豪雨が発生し、道路が冠水したり住宅が浸水したりする被害にみまわれることがあり、「ゲリラ豪雨」ともよばれて社会的な関心も高い。これは、都市気候におけるヒートアイランド現象もその一因と考えられており、大気の不安定な気象状態における都市の高温化が積乱雲の発達を強めることによりおこるが、ときとして1時間に50ミリメートルを超える局地的な豪雨が発生することもある。

[三上岳彦 2015年10月20日]

『尾島俊雄著『ヒートアイランド』(2002・東洋経済新報社)』『森山正和編『ヒートアイランドの対策と技術』(2004・学芸出版社)』『三上岳彦著『都市型集中豪雨はなぜ起こる?――台風でも前線でもない大雨の正体』(2008・技術評論社)』『甲斐憲次編著『二つの温暖化――地球温暖化とヒートアイランド』(2012・成山堂書店)』『藤部文昭著『都市の気候変動と異常気象――猛暑と大雨をめぐって』(2012・朝倉書店)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

とし‐きこう【都市気候】
〘名〙 建造物の密集、人工熱の多量放出、大気汚染などの影響を受けた都市特有の気候。一般に、郊外に比べて高温・低湿で日射量が少ない。

出典:精選版 日本国語大辞典
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