●都賀庭鐘【つがていしょう】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
都賀庭鐘
つがていしょう
[没]寛政6(1794)頃.大坂
江戸時代中期の文人,読本作者。号,近路行者 (きんろぎょうじゃ) ,千里浪子,大江漁人など。若いときから香,茶,書また医を学んだ。医を業とする一方,儒者としても立ち,唐音 (とうおん) を学んで中国白話小説を読み,その影響で小説を書いた。初作の寛延2 (1749) 年の『英草紙 (はなぶさぞうし) 』,明和3 (1766) 年の『繁野話 (しげしげやわ) 』,天明6 (1786) 年の『莠句冊 (ひつじぐさ) 』はともに「古今奇談」の角書をもち,3部作をなす。これらはいずれも白話小説の翻案で,のちの伝奇的な読本に先鞭をつけた点で高く評価される。また『康煕字典』を翻刻した。
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デジタル大辞泉
つが‐ていしょう【都賀庭鐘】
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デジタル版 日本人名大辞典+Plus
都賀庭鐘 つが-ていしょう
享保(きょうほう)3年生まれ。大坂の人。新興蒙所(にいおき-もうしょ)に書と篆刻(てんこく)を,香川修庵に医学をまなぶ。当時流行した中国の白話文学を翻案して「英草紙(はなぶさぞうし)」「繁野話(しげしげやわ)」「莠句冊(ひつじぐさ)」の三部作をかき,読み本の祖とされる。安永9年「康煕(こうき)字典」を校訂して出版した。字(あざな)は公声。通称は六蔵。号は大江漁人,近路行者など。
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世界大百科事典 第2版
つがていしょう【都賀庭鐘】
江戸中期の読本作者,儒者,医者,書家。通称六蔵,字は公声,号は近路行者(きんろぎようじや),大江漁人,辛夷館。大坂に生まれ,10代の終りから医学を京都の古医方の大家香川修庵に学んだ。当時流行の中国白話小説に親しむようになる。大坂へ帰り20代後半に医者となり,多くの門下生を養成した。儒者・文学者としての活動を始めた彼は,前々から構想をめぐらしていたものを基礎にして,まず前編として1749年に,《古今奇談・英草紙(はなぶさそうし)》を出した。
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日本大百科全書(ニッポニカ)
都賀庭鐘
つがていしょう
(1718―94ころ)
江戸中期の小説家。通称は六蔵、庭鐘は名、字(あざな)は公声。十千閣、近路行者(きんろぎょうじゃ)、千里浪子、大江漁人、巣庵(そうあん)、辛夷館(しんいかん)、巣居、毛野村丹三郎、渡頭一舟子などの号をもつ。大坂の人。書と篆刻(てんこく)を新興蒙所(におうもうしょ)に、医を古医方の大家香川修庵に学び、また茶道家で香道の古法を興した大枝流芳と交わる。漢学は京都の徂徠(そらい)学派の者に学んだらしい。とくに当時流行の中国白話(はくわ)文学を愛好し、それを翻案して『英草紙(はなぶさそうし)』(1749刊)、『繁野話(しげしげやわ)』(1766刊)、『莠句冊(ひつじぐさ)』(1786刊)の三部の小説を著したが、これが読本(よみほん)の嚆矢(こうし)であって、読本史に占める位置は大きい。大坂・天満で医を開業し、その知識に基づいて『通俗医王耆婆(ぎば)伝』(1763刊)を著したが、かたわら篆刻の書『全唐名譜』(1741刊)、『漢季章譜』(1791刊)を著し、投壺(とうこ)、本草など広く中国の学芸を渉猟し、中国戯曲の知識に基づく『四鳴蝉(しめいぜん)』(1771刊)もある。なかでもっとも有意義の著作は『康煕(こうき)字典』を1778年(安永7)に校刊したもの。その博学と上田秋成(あきなり)に中国小説を指導した見識とは、当時の大坂の第一流の人物としてよい。
[徳田 武]
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精選版 日本国語大辞典
つが‐ていしょう【都賀庭鐘】
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