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重農主義【じゅうのうしゅぎ】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

重農主義
じゅうのうしゅぎ
Physiocratie
国家,社会の富の基礎は農業であるとする経済思想で,18世紀後半フランスに興り,F.ケネー,A.テュルゴーをその代表とする。重農主義者は経済危機に瀕したフランスで農業のみが生産的であるとし,農業からの剰余およびそれに対する単一課税によって経済を再建することを主張。農業経済の資本主義化を目指し,重商主義の産業規制や独占を攻撃して,経済的自由放任を主張した。特にケネーは北フランスにおける資本主義的大農経営の展開に注目して資本制生産様式の最初の理論的分析を行い,『経済表』 (1758~67) では社会全体の再生産構造の総括的把握を試みた。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

じゅうのう‐しゅぎ〔ヂユウノウ‐〕【重農主義】
18世紀後半、フランスのケネーなどの経済学者によって主張された経済思想および経済理論とそれに基づく政策。重商主義に反対し、国家の富の源泉は農業生産だけから生じるとした。フィジオクラシー

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世界大百科事典 第2版

じゅうのうしゅぎ【重農主義 physiocracy】
18世紀の後半,フランス絶対王政は,特権的独占商人や奢侈品(しやしひん)工業の保護育成を中心とするフランス型重商主義政策(コルベルティスムcolbertisme)や,金融政策を中心とする商業主義(ジョン・ローの体制)によって,経済的にも財政的にも破綻(はたん)に(ひん)し,体制的危機に直面した。その再建策として大農経営の発展を提唱したF.ケネーを創始者とし,その自然法思想や政策的主張や経済学説を述し発展させたV.R.ミラボー(ミラボー侯),P.S.デュポン・ド・ヌムール,メルシエ・ド・ラ・リビエール,A.N.ボードー(ボードー師),G.F.ル・トローヌ,A.R.チュルゴなどを代表者とする一団の経済学者に共通する経済思想・政策的主張・理論体系を一括して示す名称。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

じゅうのうしゅぎ【重農主義】
一国の富の源泉を生産に求める経済思想。一八世紀後半、フランス絶対王制の危機を農業の再建を通じて救おうとする中で生まれたもので、流通面を重視した重商主義に反対し、生産面を考察の対象とした点で、アダム=スミスの経済学にも影響を与えた。ケネー・チュルゴーらが代表。フィジオクラシー。

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日本大百科全書(ニッポニカ)

重農主義
じゅうのうしゅぎ
physiocracy英語
physiocratieフランス語
Physiokratieドイツ語
18世紀後半に、フランスのブルボン王朝の侍医であったケネーを中心に、その使徒ミラボー侯爵、メルシェ・ド・ラ・リビエールPaul Pierre Mercier de la Rivire(1720―93)、ル・トローヌGuillaume Franois Le Trosne(1728―80)、デュポン・ド・ヌムールなどによって展開された経済理論と経済政策をいう。フィジオクラシーということばは「自然の統治」からきたものとされている。重農主義者は、商工業を偏重し農業を捨てて顧みなかったフランスの重商主義に反対し、自然法の哲学観に基づいて、個人的自由の尊重と、農業の生産的性格とを強調した。
 彼らの見解によれば、人間は二つの違った秩序のもとに置かれている。すなわち、神が人間の幸福のために定めた永久不変の「自然的秩序」と、国家の形成に伴ってつくられた「人為的秩序」とがそれである。自然的秩序を規制する法則は「自然法」であり、人為的秩序を維持する法則は「人定法」である。人間は自然法の許す範囲内で自由でなければならない。もし人定法がこの自由を束縛するならば、それは有害な法律である。重商主義のとっている商工業偏重主義と保護干渉主義は、人定法を重んじ、産業の発展を阻む有害な政策である。重農主義者はこれに反対し、産業に干渉するよりもその活動を自由に放任することによって国富は増進するものであると説いた。そして彼らの唱えた「為(な)すにまかせよ、行くにまかせよ」(レッセ・フェール、レッセ・パッセ)という自由放任主義のモットーは、封建制度の束縛を打破しようとする資本家階級の要求と合して、そののち永く世界の資本主義の指導理念となった。
 重農主義者たちはまた、フランス経済の疲弊の原因を探究して、農業の重要性とその救済の必要とを力説した。そのためケネーは、フランスの社会を一つの人体になぞらえて、『経済表』とよばれる一枚の解剖図のなかに、農村と都市とを結ぶ商品と貨幣の循環と、資本の再生産過程を描き出したのである。そのなかでケネーは、農業に従事する人々だけが、その生産に投下した費用を超えて、剰余生産物すなわち純生産物を生むから生産階級であって、都市の商工業者たちは、単に原料を加工したり、商品を交換するにすぎず、なんら剰余生産物をつくりださないから不生産階級であると述べた。
 ケネーの理論的影響を受けたチュルゴーは、ルイ16世のもとで大蔵大臣になり、封建的な職業組合を廃止し、穀物取引を自由にし、農民にかけられた賦役を免除するとともに、土地単税論という、きわめて急進的な財政政策を打ち出した。すなわち、当時のブルボン王朝の財政的破綻(はたん)を救うために、租税を、フランスの耕地の大半を領有している貴族、僧侶(そうりょ)および地主階級の収入だけに賦課せよというのである。なぜなら、彼らは、生産階級である農民の生産した純生産物を全部地代として懐(ふところ)に入れているからである。これに対し、商工業者は不生産階級であって利潤を生まないから、租税は免除するべきものであるとした。チュルゴーの土地単税の主張は、農民や商工業者たちからは歓迎されたが、貴族、僧侶、地主を中心とする保守勢力の反感を買い、大蔵大臣を免ぜられ、この政策を実行に移すことはできなかった。
 農業だけが生産的であって、工業や商業が不生産的であるという重農主義の主張は、彼らの抱いた価値論の欠陥に基づくものであって、その理論は、アダム・スミスによって集大成されたイギリスの古典学派の批判を受けて克服されるに至った。それにもかかわらず、重農主義が、それまでイギリスやフランスを支配していた重商主義の誤りを批判し、是正した功績は大きい。[越村信三郎]
『久保田明光著『重農学派経済学』(1959・前野書店) ▽横山正彦著『重農主義分析』(1958・岩波書店)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

じゅうのう‐しゅぎ ヂュウノウ‥【重農主義】
〘名〙 (physiocratie, physiocracy の訳語) 一八世紀中期から後半にかけてフランスのケネー、チュルゴーらの唱えた農業重視の経済政策。重商主義に反対し、土地を富の源泉とみなして農業生産を重視し、そのための投資の助成、耕作の自由、税制の改革、特に流通の自由と拡大を主張した。商工業に関しては自由放任主義を唱える。農業生産について資本主義生産の本質を明らかにし、社会的総資本の再生産と流通の過程を把握した点で、後世の経済学に影響を与えた。フィジオクラシー。〔や、此は便利だ(1914)〕

出典:精選版 日本国語大辞典
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旺文社世界史事典 三訂版

重農主義
じゅうのうしゅぎ
physiocracy
商工業を偏重するフランスの重商主義に反対し,個人の自由と農業生産の重要性を説いた経済学説
18世紀後半,フランスのケネー・テュルゴーらによって代表される。富の源泉を土地におき,農業生産の発達を重視して農民に対する重税を批判した。重商主義の経済統制策に反対して自由放任主義(レッセ−フェール)を主張し,経済問題を流通過程ではなく生産過程においてとらえたのが特徴で,アダムスミスの経済学説に大きな影響を与えた。ケネーの『経済表』が代表的著作である。

出典:旺文社世界史事典 三訂版
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