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金融資本【きんゆうしほん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

金融資本
きんゆうしほん
Finanzkapital; financial capital
マルクス経済学の用語で,産業資本銀行資本の融合ないしは癒着によって成立するとされる資本概念。この概念は R.ヒルファーディング主著金融資本論』によって初めて体系的に展開され,さらに V.I.レーニンの『帝国主義論』で発展させられ定着化した。すなわち資本主義経済の発展とともに必然的に生産の集中,資本の集中が進む,いわゆるカルテル,トラストに集約される産業資本の独占形態がそれであるが,これは同時に銀行制度の集中を媒介として促進される。産業の集中と銀行の集中はかくてその発展の頂点においては癒着の関係に陥る。レーニンによれば,このような「生産の集積,そこから発生する独占,銀行と産業との融合あるいは癒着」のなかに金融資本の本質があるという。ただヒルファーディングの場合はドイツの経験に基づき,力点が銀行資本におかれ,産業資本に対する銀行資本の優位が主張され,金融資本は産業資本に転化された銀行資本と定義された。これに対しレーニンは金融資本を産業資本の発展した新たな資本の形態として把握し,資本主義の最高の発展段階 (すなわち帝国主義) の支配的な資本の形態として定義した。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

きんゆう‐しほん【金融資本】
発展した資本主義体制下で、独占的な産業資本と銀行資本とが密接に結びついた資本形態。
銀行資本。また、貸付資本

出典:小学館
監修:松村明
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世界大百科事典 第2版

きんゆうしほん【金融資本 financial capital】
帝国主義段階あるいは独占資本主義段階とも呼ばれる19世紀末以降の後期資本主義を特徴づける,支配的な資本の存在形態をさす言葉。オーストリアのマルクス主義者R.ヒルファディングの《金融資本論》(1910)以来,経済学上の重要な概念になっている。すなわち,この時期には,株式会社組織をとる大規模な産業資本銀行資本とが,産業金融(商業金融と対比的に用いられる)と呼ばれる特有の業務による融合関係のもとに,独占的な大企業または企業集団形成し,それが支配的な資本として,経済動向を規定するほどの役割を果たすようになった。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

きんゆうしほん【金融資本】
銀行資本が産業資本と結合して、経済を独占的に支配する資本形態。
銀行資本または貸付資本。

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)

金融資本
きんゆうしほん
financial capital英語
Finanzkapitalドイツ語
R・ヒルファーディングは主著『金融資本論』(1910)で初めて金融資本を定義して、「実際には産業資本に転化されている銀行資本、すなわち貨幣形態における資本」あるいは「銀行によって自由にされ、産業資本家によって使用される資本」といったが、これに対してレーニンは、高度な生産および資本の集中の発達とその結果としての独占に言及していない点で不完全であると批判した。もっともヒルファーディング自身も「金融資本は株式会社の発達とともに発達するもので、産業の独占化につれて最高度に達する」ともいっている。このように19世紀末から20世紀にかけて生産が集積・集中して社会化し、資本主義が変貌(へんぼう)して独占が成立するのとあわせて、資本の形態も変化した。すなわち、産業資本の独占とともに銀行資本の独占形態も発生し、銀行は、資本間の仲介者という控え目の役割から、全体としての資本家の貨幣資本のほとんど全部を自由にしうる全能者となった。ここに出現した独占的産業資本と独占的銀行資本とが融合・癒着した新しい資本形態を金融資本という。
 独占のもとで資本のこの変化発展をもたらすには、高度集積の資本調達を可能にする株式会社制度の発達が必要であった。とくに固定資本の増大には大量で長期の資本調達を必要とするが、株式資本の形で資本を流動化することによって、他人の所有する資本を返済不要のまま企業自体に集中利用できるのである。さらに株式会社の資本調達を拡大するためには、銀行融資の新しい展開が必要であった。すなわち、本来は短期融資を取り扱う銀行資本は、社会の遊休資本の大部分を集中支配するとともに、株式会社の行う資本の流動化を基礎として、長期に利用される資本を銀行にとっては短期に供給する新しい関係を結び、固定資本に対する長期信用、直接的産業株式保有の形で資本を独占的産業資本に固定する。このようにして独占的産業資本と独占的銀行資本との金融的結合、融合、癒着がなされる。さらに重役派遣などの人的結合、独占的産業資本による独占的銀行資本の株式保有などによって補強される。
 株式会社では所有の集中を越えて支配の集中がおこる。しかも支配の集中は株式会社相互間に連鎖的に拡大されるから、その結果として、株式所有を軸に集団化した企業による独占支配体制が形成される。さらにこの企業集団に、新しい融資関係で結合することとなった銀行が参加して、総合的に金融資本の運動の実際の担い手となり、その国の内外に金融的支配の網を広げ、その国と勢力圏の政治・経済の事実上の支配者となる。これが金融寡頭制支配である。
 ところで、このような独占的産業資本と独占的銀行資本との結合としての金融資本は、まず優れてドイツ的事情に基づいておこり、さらに他のすべての独占資本主義国において成立したが、その結合関係は各国において異なった内容をもって展開している。
 資本蓄積の乏しいドイツでは、イギリス、フランスなど先進国の産業水準に到達するために、まず株式会社制度を発達させた。この制度は、とくに鉄や石炭などの重工業の資本調達に大きな役割をもった。資本家自身の不十分な資本蓄積を、他の階級からの資本の動員で補ったのである。銀行は大陸型産業銀行として証券の発行を引き受ける特殊業務、すなわち発行業務をもち、最初から産業に対して優位を保ちながら独占形成を促進した。
 イギリスでは、産業から蓄積された遊休資本は、ロンドン金融市場を媒介に、後進国や植民地の公債、鉄道その他事業証券に投下され、銀行資本と産業資本との融合は植民地寄生の関係を通じて間接的に成立した。
 アメリカでは、産業自身の巨大な蓄積が、再投資され拡大独占化するとともに、関連産業や銀行に投資されて、主として産業資本が銀行資本を支配する融合傾向をとった。しかし、アメリカの商業銀行が投資銀行と結び付いて果たす基本的役割もまた金融資本としての結合、融合である。
 P・スウィージーは、このアメリカでの独占的産業資本の自己金融に着目し、金融資本概念を放棄してそのかわりに独占資本概念を用いることを主張したが、これは金融資本を産業資本の独占に矮小(わいしょう)化するものである。各国における独占的産業資本と独占的銀行資本との融合の形態は、それぞれ異なってはいるが、それは資本の集中的利用の強度の違いを現すものにすぎない。[海道勝稔]
『R・ヒルファディング著『金融資本論』(岡崎次郎訳・岩波文庫/林要訳・大月書店・国民文庫) ▽レーニン著、宇高基輔訳『帝国主義』(岩波文庫) ▽レーニン著、副島種典訳『帝国主義論』(大月書店・国民文庫)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

きんゆう‐しほん【金融資本】
〘名〙
① 独占的な銀行資本と産業資本とが、融合あるいは癒着して生みだされた資本形態。
② 通俗的には銀行資本または貸付資本をさす。〔モダン用語辞典(1930)〕

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旺文社世界史事典 三訂版

金融資本
きんゆうしほん
financial capital
19世紀末,重工業の発展に伴い,巨大な銀行資本が独占的な産業資本と結合して生まれた独占資本
第2次産業革命が金融資本成立に大きく影響した。すなわち,生産や設備投資の大規模化によって,産業は巨額な資金を必要とし,ここに銀行との結合が生じた。その後銀行は株式の所有・重役派遣等により産業を支配するに至り,みずからも資本集中を行いながら企業結合を進め,独占を促進して金融資本に転化した。金融資本はより高い利潤を追求するために,巨額な資本を海外に投資した。そのために植民地獲得競争が激化するに至った。

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旺文社日本史事典 三訂版

金融資本
きんゆうしほん
独占資本主義の段階における資本のあり方
産業資本と銀行資本が一体に結びついて産業を独占的に支配するもの。日本では財閥の形態をとり,その形成は日露戦争(1904〜05)後に始まり,第一次世界大戦以後本格的に成立する。三井三菱住友安田はその典型。財閥解体後,融資系列や企業間の提携の形で再編成された。

出典:旺文社日本史事典 三訂版
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金澤利明 竹内秀一 藤野雅己 牧内利之 真中幹夫
 
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