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鉛筆【えんぴつ】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

鉛筆
えんぴつ
pencil
筆記用具の1種。黒鉛粘土粉末を混ぜ合わせ高温で焼固めたを,木などでできたにはめたもの。古くから鉛を用いた筆記用具があり,14世紀のイタリアでも鉛とスズの混合物を芯にしたものが用いられていた。現在のような黒鉛を芯にした筆記用具となるのは,1564年にイギリスカンバーランド (現カンブリア県の一部) のボローデールで良質な黒鉛鉱が発見されてからのことである。その後ドイツで,黒鉛と硫黄を混ぜたババリア鉛筆が開発され,1795年にはフランスの N.J.コンテによって,黒鉛と粘土の粉末を高温で焼固めて芯をつくる現在に近い方法が開発された。以後,イギリス,ドイツ,フランスで鉛筆の製造は工業化されていった。日本には,江戸時代の初期にオランダ人によって初めて鉛筆がもたらされた。日本人による鉛筆の製造は,1881年井口直樹による手づくりが最初で,86年には三菱鉛筆の創業者真崎仁六によって工業化が成功した。その後多くの鉛筆工場ができ,大正から昭和初期には海外に輸出されるようになった。鉛筆の種類には黒鉛を使用した黒芯鉛筆と顔料・染料を主材料とする色鉛筆に大別できる。黒芯鉛筆は黒鉛と粘土の含有率によって,黒鉛分が多く軟らかいものから順に 6B~B,中硬質のF,HB,粘土粉が多く硬くなるH~9Hまで 17種に分類されている。なおBは black (黒) ,Hは hard (硬) ,Fは firm (中硬) の略。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

えん‐ぴつ【鉛筆】
筆記用具の一。木の軸に、黒鉛の粉末と粘土を混ぜ高熱で焼き固めた芯(しん)を入れたもの。1565年に英国考案。江戸初期にオランダから幕府に献上され、商品として輸入されたのは明治10年(1877)前後

出典:小学館
監修:松村明
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編集協力:田中牧郎、曽根脩
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世界大百科事典 第2版

えんぴつ【鉛筆】
軸木中に芯を入れた筆記用具。
[歴史]
 古代ギリシアローマでは,鉛のを使って鹿の皮などに記号を記していたといわれ,14世紀イタリアでは,鉛とスズを混合した芯を木軸に装着した鉛筆が作られたという。1564年にイギリスのカンバーランド地方ボローデールで良質の黒鉛が発見され,これを棒状に切断して糸でまいたり,木ではさんで使用するようになった。その一例スイスの博物学者ゲスナーの図解記述に見られる。ボローデールの黒鉛を使用した鉛筆は好評で,とくに,ルネサンスの画家たちの間に浸透していった。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

えんぴつ【鉛筆】
筆記用具の一。黒鉛の粉末に粘土を加えて焼き固めたものを芯しんとし、木の軸で囲んだもの。日本には江戸初期、オランダ人が伝えた。一般に普及したのは明治後期。 -削り

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

鉛筆
えんぴつ
黒鉛(鉱物名石墨(せきぼく))と粘土の粉末を混ぜ合わせ、さらに高温で焼き固めてつくった芯(しん)を、木などの軸にはめた筆記具。[野沢松男]

歴史

古代ギリシア・ローマ時代にも鉛を原料とした鉛筆状の筆記具があったが、現在のような黒鉛を主体とする鉛筆の発明は、ずっとあとのことである。1564年、つまりエリザベス女王時代に、イギリスのカンブリア山地のボローデル渓谷でグラファイト(黒鉛)が発見され、これを棒状に加工して筆記具に用いたのが鉛筆の始まりである。また1760年に、ドイツのカステル・ファーバーが黒鉛の粉末に硫黄(いおう)を混入して芯をつくったのが、後のババリア鉛筆の起源となった。フランスが鉛筆製造に力を入れだしたのは、19世紀に入ってからのことである。1795年N・J・コンテが、黒鉛と粘土を混合してそれを高温で焼き固め、鉛筆の芯をつくる方法を発明したが、単に焼き固めるくふうをしただけでなく、黒鉛と粘土の混合比率を変えることによって芯の濃度が変化することも発見した。これはいわば今日の鉛筆製法の基礎をなすものであり、この製法が後に各国に伝わって、近代的な鉛筆工業が誕生することになった。とくにアメリカは、鉛筆の軸材として最適なインセンスシダー(ベイスギ)を産出するばかりでなく、芯の原料となる黒鉛もメキシコから得ることができたため、1851年に最初の鉛筆を製造してからは、資本、設備、市場などの好条件に恵まれて、鉛筆工業は急速な発展を遂げた。
 日本への渡来は、オランダ人が徳川家康に献上したものが最初といわれ、これは静岡県久能山(くのうざん)東照宮の宝物として現在でも保存されている。ドイツから本格的に輸入されるようになったのは1880年(明治13)であるが、国産では1874年に井口直樹、藤山種広に製造法を伝授された小池卯八郎が作ったのが最初である。1886年には真崎仁六(まさきにろく)が東京の四谷内藤町に鉛筆工場を設け、国産鉛筆製造に乗り出した。その後、技術革新とともに品質も向上し、現在では外国製品と並ぶ性能をみるに至っている。
 なお日本における鉛筆の生産量は、1966年(昭和41)の13億8500万本をピークに以後漸減し、1980年には10億本を切り8億5500万本となった。その後も少子化による学童の減少の影響を受けて生産量は減少を続け、2007年(平成19)には3億1300万本となっている。[野沢松男]

製法

黒鉛と粘土に水を加え、混合しながら粉砕したものを太い棒状に圧縮して押し固め、芯出し機にかけて強い圧力で一定の太さに押し出し、生芯をつくる。次にこれを芯焼き炉で均一に焼き、油を浸透させて芯をつくる。これを加工した軸材に接着して1本ずつ切断し、塗装して仕上げる。黒芯(くろしん)鉛筆の芯の原料は、90%以上の炭素を含んだ黒鉛と、陶磁器に使われるものと同一の粘土が主成分である。軸木にはインセンスシダー、ヒノキ、アララギ、ハンノキなどが多く使われ、最近は合成樹脂の軸や、特殊なものでは紙巻きのものもある。色鉛筆は、黒芯鉛筆と材料、製法が異なる。原料はタルク(滑石(かっせき))、タカラントゴム、ろう分、着色染料である。芯は焼成せず、ろう分と着色染料にタルク糊(のり)を加えて練り合わせたものを成形乾燥させてつくる。軸加工は黒芯鉛筆と同じである。[野沢松男]

種類

大別して黒芯鉛筆と色鉛筆に分けられる。黒芯鉛筆には製図用、事務用、学習用、コピー用、感光紙用、絵画用、大工用、園芸用、手帳用、ガラス用などがある。色鉛筆には赤・青の事務用、芯の軟質・中質・硬質に分かれた各種色鉛筆、それに特殊色鉛筆として絵の具鉛筆、グラフ用、ダーマトグラフ(紙巻き鉛筆)などがある。黒芯鉛筆の場合、黒鉛と粘土の配合割合で硬さおよび濃さが決まる。硬い鉛芯はHardのHで表し、軟らかい鉛芯はBlackのBで表す。Hの数字が増えるほど硬く、また薄く書け、Bの場合は逆に軟らかく濃く書ける。HBは標準の硬度を表す芯だが、HBとHの中間の硬さを表すのにFがあり、これはFirmの略である。JIS(ジス)(日本工業規格)による黒芯鉛筆の硬度の種類は次のとおりである。9H~7H=硬質面に書写する場合に用いる特殊製図用、6H~5H=細かい線を描く超精密製図用、4H~3H=精密製図用、2H~H=一般製図用、細字用、F~HB=一般筆記用、製図用、B=事務用、建築製図用、かきかた鉛筆、2B~3B=速記用、4B~5B=一般絵画用、6B=特殊絵画用。[野沢松男]

選び方

一般的には次の点に留意して選ぶとよい。
(1)芯の滑りのよいもの。
(2)芯が崩れたりせず強度があるもの。
(3)書写線が均一に書け、摩耗度が少ないもの。
(4)軸が楽に削れるもの。
(5)芯が軸に完全に接着されており、芯抜けなどがおきないもの。
(6)塗装膜がじょうぶで強く、湿気や汚れから軸木を保護しているもの。
(7)軸が歪曲(わいきょく)していないもの。
(8)芯が軸の中心にあるもの。
(9)軸の木端(こば)が欠けていたり、芯の接断面が欠けたりしていないもの。[野沢松男]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

えん‐ぴつ【鉛筆】
〘名〙
① 鉛を焼いてつくった鉛粉を用いて書く毛筆。〔任昉‐為范始興求立太宰碑表〕
② (昔、鉛を用いたところから) 筆記用具の一種。黒鉛の粉末と粘土を練り合わせて焼きかためたものをしんとして、まわりを木などで補強したもの。まぜる材料の割合によって硬軟がある。日本には江戸初期に渡来したが、商品として広まったのは明治二〇年前後。
※音訓新聞字引(1876)〈萩原乙彦〉「鉛筆 エンピツ セイヤウフデ」

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