●陽子親和力【ヨウシシンワリョク】
化学辞典 第2版
陽子親和力
ヨウシシンワリョク
proton affinity
プロトン親和力ともいう.気相における中性分子(M)と陽子(H+)の結合反応
M + H+ → MH+
で放出される発熱量.生成したプロトン化イオン(MH+)の安定性を示す目安となる.H2 のような簡単な分子については理論的計算もなされているが(~290 kJ mol-1),一般の分子では直接測定することは困難で,次の二つの方法で概略値が求められている.【Ⅰ】質量分析計を用いて適当な分子を電子衝撃によりイオン化し,このとき断片化により生じたプロトン化イオンの出現電圧と,このイオン化に関与する分子種(分子,イオン,遊離基など)の熱化学的数値(結合・解離エネルギー,イオン化エネルギーなど)から間接的に求める.【Ⅱ】次式,
M1H+ + M2 → M1 + M2H+
のイオン-分子反応が観測されたとき,このイオン-分子反応は発熱反応であると仮定して,M1 と M2 の陽子親和力の大小を決める方法.たとえば(単位:kJ mol-1),CH3NH2(880),NH3(870),CH3-COCH3(790),CH3OH(760),H2O(700)は大きな陽子親和力をもち,そのほか多くの無機,有機の化合物も正の陽子親和力をもつ.
出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
東京工業大学名誉教授理博 吉村 壽次(編集代表)
信州大学元教授理博 梅本 喜三郎(編集)
東京大学名誉教授理博 大内 昭(編集)
東京大学名誉教授工博 奥居 徳昌(編集)
東京工業大学名誉教授理博 海津 洋行(編集)
東京工業大学元教授学術博 梶 雅範(編集)
東京大学名誉教授理博 小林 啓二(編集)
東京工業大学名誉教授 工博佐藤 伸(編集)
東京大学名誉教授理博 西川 勝(編集)
東京大学名誉教授理博 野村 祐次郎(編集)
東京工業大学名誉教授理博 橋本 弘信(編集)
東京工業大学教授理博 広瀬 茂久(編集)
東京工業大学名誉教授工博 丸山 俊夫(編集)
東京工業大学名誉教授工博 八嶋 建明(編集)
東京工業大学名誉教授理博 脇原 將孝(編集)
Copyright © MORIKITA PUBLISHING Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの項目は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
「陽子親和力」の用語解説はコトバンクが提供しています。
●陽子親和力の関連情報