●隠語【いんご】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
隠語
いんご
argot; slang
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デジタル大辞泉
いん‐ご【隠語】
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世界大百科事典 第2版
いんご【隠語】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
隠語
いんご
特定の職業や身分に属する限られた人々の間で、主として秘密を守ったり、あからさまにいうのを避けたりするために用いる特別のことばのことをいう。たとえば、盗人同士の間で「買う」といえば盗むの意であり、「猿」といえば囚人のことである。方言、技術者や学者が使う専門語なども限られた人々の間で用いられるものであるが、前者は地域的に限られたもの、後者は正確で敏速な伝達のためのものであって、いずれも公開をはばかるためのものではないから、隠語とはよばれない。隠語にはまた、他人にわからないことばを使うことで仲間意識を強める、特別なことばを考え出して使うことで単調さを破る、といった効用もある。「ゲルピン」(金に困っている状態)、「バックシャン」(後ろ姿美人)のような語では、その性格が強い。「ネタ」(材料)、「ロハ」(只(ただ))のように一般に広く知られたものになると、日常語との区別がつきにくくなる。
隠語は、盗人、博徒、やくざなど反社会的な集団で用いられるものが多いが、職人(「おしゃか」=不良品)、商人(「あげもの」=盗品)、僧侶(そうりょ)(「はだし」=鶏肉)、兵隊(「あひる」=水陸両用トラック)、学生(「ムスケル」=肉体労働)などの間でもそれぞれに用いられるものがある。また、同じ盗人でも、すりと窃盗では用語が分化していたり、あるいは盗人の隠語が警察関係者の間で流用されたりといった現象もみられる。
隠語では、語義の転変や語の入れ替わりが通常のことばよりもはるかに激しい。たとえば「げそ」は履き物、下駄(げた)の意から、草鞋(わらじ)、あし、逃亡、などへと変わっているし、一方「盗む」の意を表すのに、買う、嫁ぐ、きぶる、ぎる、かまる、たける、摘む、ばいする、もらう、儲(もう)ける、やかす、など種々の語がつくられている。これは、語感の新鮮なものを求めること、秘密を守るのにもしばしば変わるほうが都合がよいことなどによる。使う人の範囲が狭いので、頻繁に変わっても支障が生じにくいのである。
隠語のでき方には、(1)ことばの形を変えるもの、(2)あることばを普通の意味とは違う意味に使うもの、などがある。(1)には、省略によるもの(「がね」=眼鏡、「あい」=匕首(あいくち))、転倒によるもの(「えこ」=声、「ばいし」=芝居、「ぶけい」=警部、「くつる」=つくる、「るまい」=丸い)があり、転倒によるものが犯罪者の隠語の主流をなしている。(2)には、その語形の日常的な語義と隠語として意味する内容とのなんらかの類似性に基づくもの(「松葉」=針、「黒烏(くろがらす)」=冬服刑事、「牛の舌」=こんにゃく)、近接性に基づくもの(「極楽」=蓮根(れんこん)、「檜(ひのき)板」=上等酒、「がちゃ」=巡査)がある。また(1)と(2)の組み合わさったものもあり(「アカ」←「赤犬」=火事)、ほかに謎(なぞ)に類するもの(「くのいち」=女)もある。なお、品詞の面では、名詞が圧倒的に多い。
[尾上圭介]
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精選版 日本国語大辞典
いん‐ご【隠語】
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