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電子音楽【でんしおんがく】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

電子音楽
でんしおんがく
electronic music
各種の電気回路を利用して得られる発振音を素材とし,電子工学の技術を応用して作曲される音楽純音,楽音,雑音など,さまざまな性質の発振音を一定の計画のもとに加工,構成して1本のテープにまとめる方法をとる。理論的にはどんな音でもつくれるし,音の性質はすべて客観的絶対的に規定できるので,自由な作曲が可能である。また音楽を数理的に制御することも可能である。電子音楽という言葉は 1951年ドイツのケルン放送局の H.アイメルトらが発表した実験作品に初めて用いられた。その後アメリカで盛んに研究され,日本でも 55年に最初の制作,放送がなされた。なお,今日では,上記の狭義の電子音楽のほか,なまの演奏をそので電子音響機器によって制御するライブ・エレクトロニック・ミュージックの方法など,電子音楽はさまざまに発展している。

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デジタル大辞泉

でんし‐おんがく【電子音楽】
シンセサイザーなど電子回路によって作り出された音を素材とする音楽。狭義には、第二次大戦後にドイツのシュトックハウゼンらが創始した、電子音の変形・編集などによって作られた音楽をさす。

出典:小学館
監修:松村明
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世界大百科事典 第2版

でんしおんがく【電子音楽 electronic music】
素材音の生成,変形,合成,構成など,音楽作品の成立に至る諸段階に電子音響機器を用いる音楽。ただし,電子オルガンなどの電子楽器による音楽は含まず,また,シンセサイザーを用いる音楽も原理的には完全な〈電子音楽〉であるにもかかわらず,こう呼ばない場合もある(たとえば冨田勲喜多郎の作品)。一方,欧米ではまったく異なる出発点をもつミュジック・コンクレートもこれに含める傾向が強い。つまり,電子音楽はまぎれもなく20世紀のテクノロジーが生んだ新種の音楽であるが,その後のテクノロジーの急速な発展(たとえばシンセサイザーの誕生)と音楽の多様化によってその概念はきわめてあいまいになってしまったのである。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

電子音楽
でんしおんがく
electronische Musik ドイツ語
electronic music 英語

広義には電子的手段を用いたすべての音楽、狭義には1950年代ごろ電子発振器を用いて構成された音楽をさす。ドイツのケルンのスタジオで働いていたアイメルトHerbert Eimert(1897―1972)、シュトックハウゼンらがその創始者である。彼らは、フランスのシェフェールPierre Schaeffer(1910―1995)らによる、具体音を素材とする「ミュージック・コンクレート」と区別するために、この「電子音楽」という名前を採用した。シュトックハウゼンの『習作Ⅰ、Ⅱ』(1953~1954)では、発振器で、ある比率をもった高さの音を音列のように用い、ミュージック・セリエルの理論を拡張した。

 これに刺激され、ミュンヘン、ブリュッセル、ミラノ、ユトレヒト、グラベザーノ、プリンストン大学、イリノイ大学、東京のNHKスタジオなどに、次々と電子音楽スタジオが設立された。NHKでは黛敏郎(まゆずみとしろう)の『素数の比系列による正弦波の音楽』(1955)を皮切りに、諸井誠(もろいまこと)(1930―2013)と黛の共作『七のヴァリエーション』(1956)、松下真一(1923―1990)の『黒い僧院』(1959)、諸井の『ピュタゴラスの星』(1959)などがつくられた。最後の2曲は、電子音のほかに合唱、室内楽、語り手が加わっているが、純粋に電子的な音楽よりも、こうした混成作品のほうがやがて主流を占めるようになる。その最初の例は、シュトックハウゼンが少年の歌声を電子的に変調し、純電子音と重ね合わせた『少年の歌』(1955~1956)にみることができる。

 そして1950年代後半には、テープと生(なま)楽器の同時演奏が、シュトックハウゼンの『コンタクテ』(1959~1960)や、クセナキスの『類比A+B』(1958~1959)などで試みられるようになる。さらに舞台上で実際に電子機器やテープを操作するライブ・エレクトロニック音楽が生まれた。これにはシュトックハウゼンの『混合』(1960)や『ミクロフォニーⅠ、Ⅱ』(1964~1965)のように楽器音を電子的に変形するもの、ケージの『カートリッジ・ミュージック』(1960)のように楽器音以外の音を電子的に利用するもの、ケージの『ローツァルト・ミックス』(1965)のように録音されたテープをその場で操作するもの、シュトックハウゼンの『ソロ』(1965~1966)のようにフィードバック回路を用いるもの、などがある。

 その後の電子音楽は、一方でシュトックハウゼン、クセナキスに代表されるような巨大な装置を用いたもの、もう一方でアメリカのデビッド・テュードア、小杉武久ら卓上の簡単な装置を用いたものに両極化していった。テュードアと小杉はケージとともに、舞踏家マース・カニンガムのパフォーマンスにも長く加わっていた。

 このような純粋な音響発生装置を用いた系譜のほかに、コンピュータ音楽(コンピュータ・ミュージック)の流れも見逃すことができない。ニューマン・グートマンの『銀の音階』(1957)以来、コンピュータによる合成音は複雑化の一途をたどっている。1970年代以降はコンピュータ内蔵の電子機器、パーソナルコンピュータなどが広く普及したため、コンピュータを介入させない「純粋な」電子音楽はむしろ稀(まれ)になっている。さらに、1970年代なかばのドラム・マシーン、リズム・ボックスの発明は、電子音楽とダンス・ミュージックを近づけることになり、1980年代のヒップ・ホップ、ハウスを経て、1990年代にはエレクトロニカ、テクノと総称される大きな動きに発展した。そのため、音響制作者としてのDJ(ディスク・ジョッキー)は、通常の楽器演奏家や作曲家よりも、かつての電子音楽作曲家に親近感を抱くようになった。

[細川周平]

『田中雄二著『電子音楽イン・ジャパン 1955~1981』(1998・アスキー)』『長嶋洋一著『コンピュータサウンドの世界』(1999・CQ出版)』『柴俊一著『アヴァン・ミュージック・ガイド』(1999・作品社)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

でんし‐おんがく【電子音楽】
〘名〙 (electronic music の訳語) 電子的発振音をテープに録音し、それを合成して作った音楽。一九五〇年代にドイツで開拓され、アイメルト、シュトックハウゼンらにより推進された。
※セキストラ(1957)〈星新一〉「音楽でいえば電子音楽に当る人工的波長発生器が発明され」

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