●霊魂【れいこん】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
霊魂
れいこん
soul
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デジタル大辞泉
れい‐こん【霊魂】
2 人間の身体内に宿り、精神的活動の根源・原動力として考えられる存在。
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監修:松村明
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世界大百科事典 第2版
れいこん【霊魂 soul】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
霊魂
れいこん
soul 英語
spirit 英語
âme フランス語
esprit フランス語
人間を生かし、精神的な働きをつかさどる原理として想定されるもの。単に「霊」ないし「魂」ともよばれる。人間だけでなく、動植物をはじめとする全存在に潜むとされることもある。肉体や事物から独立した原理としての霊魂の観念は、近代以降の実証科学では否定されてきた。しかし多くの宗教体系は、独立した実体としての霊魂の存在を認めており、教えの基本としている。また科学者の一部にも、その存在を実証しようとする試みがある。
霊魂の観念はきわめて包括的かつ流動的なものであるが、一般に次の二つに分化する傾向がある。一つは、生命体を維持し、動かす原理としての霊魂の考え方であり、「生命霊」と称することができる。これは無個性、非個別的なものであり、人間においてはとくに息や血、影などに結び付けられている。ヘブライ語ruah、サンスクリット語ātman、ギリシア語psyche、ラテン語anima, spiritusなど、霊魂を表す語が「風」や「息」を語源としていることも、この考え方が背景にある。わが国では「気」の観念がそれに近い。
もう一つは、肉体のうちに潜み、その精神活動を引き起こす原理としての霊魂の考え方であり、「個体霊」とよぶことができる。これは、感情、意志、認識を支配する主体とされるがゆえに個別的、個性的なものであり、肉体から独立した原理として、肉体を離れたり、肉体の滅亡後も存続する力をもつと信じられている。他者や生者に影響する霊としての生霊(いきりょう)、死霊(しりょう)、祖霊(それい)、精霊(せいれい)などの観念は、この考え方によるものである。人間は、憑依(ひょうい)その他の理由によりこれらの霊の影響下に置かれるが、逆に儀礼や職能者を通じて霊を操作することで、他者や事物に働きかけたり、未来や神意を知ることができるとする信念は広くみられる。このような霊の考え方は、わが国では古くから「たま」「もの」と称せられてきた。
[竹沢尚一郎]
事例
霊魂の観念は、地域や時代によって大きく異なっており、それぞれの文化の特徴をなしている。アフリカの諸社会では、霊魂が万物に潜むとするアニミズムの考え方が有力であるが、霊魂は一般に単体としてはとらえられていない。たとえば西アフリカのドゴン人では、霊魂は生命霊と魂という二つの要素を含み、それぞれ複数の要素からなるとされる。生者においては、知性や意志をつかさどる魂が生命霊を支配しているが、死とともに両者は四散し、不浄をもたらす。仮面を伴う葬送儀礼の目的は、魂と生命霊を集め直すことで世界を再浄化し、死者の国へ送り届けることにある。
古代エジプトでは、霊魂は肉体に宿る不可視の実体とされ、好んでアオサギや人間の顔をした鳥の姿で表象された。これは人間と神に潜むものであり、その力と勇気の源泉である。人間の死後霊魂は肉体を離れ、地下の世界や砂漠をさまようが、危険にあうと肉体のところへ戻ってくると信じられ、ここから、ミイラなどにして肉体を保存する方法がとられるようになった。
ホメロス期のギリシアでは、霊魂の観念は存在したが、きわめて漠然としたものでしかなく、思考や欲望は肉体の作用とされた。のちオルフェウス教の影響下に、ソクラテスやプラトンとともに霊魂こそが真の自己であり、知と善の主体であるとの考えが生じた。それによると、霊魂は神によって創造されたものであり、神のように不滅なものである。
キリスト教においては、ギリシア文化の影響下に霊魂の信仰が説かれたが、霊と肉は分離されるものではなく、復活には両者が伴うという信仰が保持された。また仏教においても、無我説の立場から、霊魂と肉体とを区別する二元論の立場は否定された。しかしいずれの教えにおいても、中世以降霊魂の不滅の信仰が強調され、今日に至っている。
[竹沢尚一郎]
『ファン・デル・レーウ著、田丸徳善・大竹みよ子訳『宗教現象学入門』(1979・東京大学出版会)』▽『山折哲雄著『霊と肉』(1979・東京大学出版会)』▽『マルセル・グリオール著、坂井信三・竹沢尚一郎訳『水の神』(1981・せりか書房)』
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精選版 日本国語大辞典
れい‐こん【霊魂】
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