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頭巾【ずきん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

頭巾
ずきん
頭にかぶる一般に袋状の布帛 (ふはく) 製かぶりものの総称。日本では中世までの男子は,冠や烏帽子をかぶっていたが,江戸時代初期になると露頂の風習が起り,それ以後防寒や防塵のため,頭巾をかぶるようになった。この風習はやがて女性にも及ぶようになって大正の末頃まで,また男性では明治初期になって洋風の帽子へと移行するまでかぶられた。喜多川守貞の『守貞漫稿』には,頭巾について次のようなさまざまの種類が述べられている。 (1) きぬ頭巾 宝永・正徳年間 (1704~16) に流行した表が黒縮緬 (ちりめん) ,裏が紅絹の頭巾。 (2) 苧屑 (おくそ) 頭巾 織田信長をはじめ元文年間 (36~41) 頃までかぶられたカラムシ (苧麻) 製の頭巾。鷹匠なども好んで用いた。 (3) 錣 (しころ) 頭巾 錣とは日よけ帽などにみられる後頭部に垂れる布のことで,それのついた絹頭巾のこと。 (4) 角 (かく) 頭巾 布を縦長の屋根形に2つ折りにした若者向きの頭巾。 (5) 丸頭巾 供え餅形の老人や年輩者向きの頭巾。 (6) 気儘 (きまま) 頭巾 寛保年間 (41~44) 頃かぶられた目だけ出して顔を垂れ布でおおった頭巾。女性用はやや小型で奇特 (きとく) 頭巾と呼んだ。 (7) 御高祖頭巾 (おこそずきん)  大明頭巾,小袖頭巾などともいった。 (8) 竹田頭巾 黒縮緬の上方風頭巾で,浄瑠璃人形芝居で用いたことからこの名がある。今日では1枚の黒麻布が使われる。 (9) 宗十郎頭巾 寛延年間 (48~51) 頃から芝居の沢村宗十郎が用いた黒縮緬の錣つき角形頭巾。 (10) 山岡頭巾 八丈絹でつくった黒や茶の屋根形頭巾で,江戸の武士たちがかぶった。 (11) 船底頭巾 上方では帽子と呼ぶ。独特な裁断の男性専用の覆面式の頭巾。 (12) 焙烙 (ほうろく) 頭巾 僧侶などがかぶるベレー帽に似た丸頭巾の一種。黒縮緬の綿入れ仕立てが多いところから,慶長年間 (1596~1615) 頃は綿帽子とも呼んだ。 (13) 猫頭巾 江戸の防火夫などがかぶる兜形頭巾で,紺木綿の刺し子がほとんどである。 (14) 抛 (なげ) 頭巾 緋縮緬を,3分の1に厚紙を入れて長さ約 1.2mの円筒状に仕立ててつくる。かぶった残りの部分を背に垂らすのでこの名がある。 (15) 韮 (にら) 山頭巾 伊豆の韮山で西洋砲術を学んだ人たちがかぶった黒ビロード製の兜形頭巾。江川太郎左衛門の案出で,講武所頭巾とも呼んだ。 (16) 突かい (とっかい) 頭巾 かいとは鉢や兜などの意で,烏帽子のようにとがっているのでこの名がある。安政年間 (1854~60) 頃から用いられ,黒木綿製で錣があり,紙芯入りのはちまきがついている。巴御前などの女武者もこれをかぶった。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

ず‐きん〔ヅ‐〕【頭巾】
頭や顔を覆う布製のかぶりもの。御高祖(おこそ)頭巾大黒頭巾宗匠頭巾苧屑(ほくそ)頭巾幞頭(ぼくとう)など日用のもののほか、職業・儀式などによって多くの種類がある。 冬》「みどり子の―眉(ま)深きいとほしみ/蕪村

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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と‐きん【頭巾/×兜巾/頭襟】
修験道の山伏がかぶる小さな布製のずきん。ひもで下あごに結びとめる。

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世界大百科事典 第2版

ずきん【頭巾】
被り物(かぶりもの)の一種。おもに布を用いて袋形につくり,あるいは平面の布を折り畳み,頭や顔をおおい包む。頭部を寒暑風雨,土ぼこり,あるいは外部から受ける傷害を防ぐために用いるが,古くは人目を避けるためにも使った。歴史的にみると,帽子が女子用を中心としてきたのに対し,頭巾は男子用の被り物として工夫されてきたものであった。頭巾が広く流行したのは江戸時代で,武士,侶,町人,芸人などが用い,さまざまな形が見られた。

出典:株式会社平凡社
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とうきん【頭巾】

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大辞林 第三版

ずきん【頭巾】
防寒のために用いる、頭部を覆う布製袋状のかぶりもの。丸頭巾・角すみ頭巾・焙烙ほうろく頭巾・御高祖おこそ頭巾などのほか、防災用のものもある。 [季] 冬。 赤-人甘んじて老いけらし /正岡子規
山伏のかぶりもの。 → ときん
家紋の一。を図案化したもの。

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)

頭巾
ずきん
頭部または顔面を布帛(ふはく)で包んで、寒さを防ぎ、ほこりをよけ、あるいは人目を避けるために用いられる、被(かぶ)り物の一種。長方形の布を二つ折りにして、筒形、袖(そで)形にし、あるいは襠(まち)を入れ、また錣(しころ)をつけたりする。丸形のものは、周囲をつまんでひだをとり、これに錣をつけて用いる場合もある。錣をつけた場合は、左右の2枚を前から回して背後で結び合わせたり、あごの下で結び留めて、まったく覆面的な役割を果たす場合も多い。「頭巾」の語は、古代の服飾にも用いられているが、これは「ときん」と読み、中国服装文化の流入によってできた服制に用いられた(ぼくとう)とのつながりをもつもので、ここでいう頭巾(ずきん)とは関係ない。
 頭巾は室町時代、僧侶(そうりょ)の被り物として発達を始めるが、その流行は江戸時代に入ってからのことである。江戸初期に多く用いられた男性のものには、丸頭巾、角(すみ)頭巾、苧屑(おくそ)頭巾がある。丸頭巾は後世になると、福の神の大黒天の像から大黒頭巾といわれるが、現存する最古のものは、徳川美術館(名古屋)にある徳川家康所用の縮緬(ちりめん)製の丸頭巾と思われる。角(すみ)頭巾は角(つの)頭巾ともいい、長方形の布を二つ折り矩形(くけい)にしたもので、左右の角(すみ)を折ると角(つの)となるところからそうよばれ、下僕などの下級の者が浅葱(あさぎ)や茶褐色に染めて用いた。長方形の後ろに、長く折り曲げたものが投(なげ)頭巾である。苧屑頭巾はその文字のように、麻を使ってつくられた頭巾である。
 錣というのは、頭巾の後頭部に下げた、頭巾と同布の細長い布帛(ふはく)のことである。天和(てんな)、貞享(じょうきょう)(1681~88)ごろ僧侶の丸頭巾につけることがおこり、これがのちに角頭巾の前額部に下げて顔を覆うようになり、人形浄瑠璃(じょうるり)の人形遣いに用いられて竹田頭巾といった。寛延(かんえん)年間(1748~51)から、歌舞伎(かぶき)役者初世沢村宗十郎の名をとった宗十郎頭巾が、非常な勢いで流行した。また宝暦(ほうれき)(1751~64)のころ、大坂の女方役者初世中村富十郎が、大坂から江戸へ下るときに、寒さを防ぐために用いた紫縮緬でつくった頭巾は大明(だいみん)頭巾といわれて、当時の若い女性の間に大流行した。木こりなどがかぶった苧屑頭巾を、黒い布帛でつくったものが山岡頭巾で、武士や町人の外出や防寒用として用いられた。江戸では山岡頭巾が多く用いられたのに対して、上方(かみがた)では宗十郎頭巾が武士の被り物として流行した。
 一方、丸頭巾は江戸末期になると、年寄りの被り物となり、その名称もゴマなどを焙(い)る焙烙(ほうろく)に似ているところから、焙烙頭巾といわれた。火事の多い江戸で、火消人足たちがかぶる紺木綿の刺子頭巾を猫頭巾といった。幕末になって刀や槍(やり)よりも西洋の鉄砲が重要視され、西洋式調練が盛んとなり、伊豆・韮山(にらやま)の代官江川太郎左衛門が農兵たちに用いた頭巾は韮山頭巾といわれた。また山岡頭巾の変形として船底頭巾ができた。猿頭巾というものもある。
 女性が用いる目計(めばかり)頭巾は、黒豆が焙ってはぜたような形をした覆面で、これは奇特頭巾ともよばれた。江戸時代も中期になると、着物の袖(そで)形をした袖頭巾が盛んとなり、鈴木春信(はるのぶ)の浮世絵にはこの姿がよくみられる。明治になってから盛んに用いられたのは、薄紫縮緬仕立ての、日蓮上人(にちれんしょうにん)の名にあやかって名づけられた御高祖(おこそ)頭巾である。この系統のものは、農山漁村では「風呂敷(ふろしき)ぼっち」といわれて用いられた。[遠藤 武]

西洋

英語のフードhood、ときにはコイフcoif、ベールveil、フランス語のボネbonnetなど、頭や顔を包む布製の被り物をいい、布帽子などともいう。古代エジプトの王はしばしば縞柄(しまがら)の布頭巾を、また古代ペルシアの貴族も巻き布形式のターバン状の頭巾を、また古代ギリシアの女性も袋状の布頭巾をかぶっている。中世ロマネスク期の男性はコイフという耳まで覆うぴったりした布帽子をかぶり、女性はウィンプルwimpleという一種のベールをかぶるのが一般であった。
 ゴシック期になると、男性はシャプロンchaperonという羅紗(らしゃ)製の頭巾をかぶるようになる。髪形をこぢんまりと整えたルネサンス期の女性は、ダッチ・コイフという一種の詰め物を施した布帽子をかぶり、あるいはさまざまな形式のフードをかぶった。バロック期にはモスリンやタフタのフードがみられるが、例としては少ない。これに対し、優美さを好んだロココ期にはモブキャップmobcapという布帽子状の室内帽やボネbonnetが女性間に全盛を極めたほか、末期には巨大化したかつらを覆う幌(ほろ)形の頭巾、カラッシュcalashが流行した。ボネは19世紀に入ってからもさまざまな婦人帽に混じって用いられ、とくにクェーカー教徒や子供にかぶられた。しかし、20世紀に入るにつれてこの種の頭巾形の被り物は減少の一途をたどり、とりわけ第二次世界大戦以後の無帽主義の普及とともに、しだいにみられなくなってきている。[石山 彰]
『遠藤武「近世姿態冊子」(『被服文化』18号所収・1952・文化出版局) ▽喜田川守貞著『類聚近世風俗志』(1934・更生閣)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

ず‐きん ヅ‥【頭巾】
〘名〙
① 頭や顔を包む布製のかぶりもの。寒さ、ほこりを防ぎ、ときには人目を避けるためにも使用される。《季・冬》
※玉塵抄(1563)三四「田夫野人は黄なづきんそさうなきる者ぞ」 〔後漢書‐列女伝・董祀妻〕
② 僧のかぶりもの。また、山伏のかぶりもの。→ときん。〔十巻本和名抄(934頃)〕
※義経記(室町中か)二「生絹の直垂に緋威の腹巻著て、金剛履いて、づきん耳の際まで引っこうで」
③ 朝服に用いたかぶりもの。幞頭(ぼくとう)
※令義解(718)衣服「一品以下。五位以上。並羅頭巾。衣色同礼服
④ 紋所の名。①を図案化したもの。

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