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風俗画【ふうぞくが】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

風俗画
ふうぞくが
genre painting
社会の各階層の日常生活を主題とした絵画。ヨーロッパでは中世後期まで明確な風俗画は発達しなかったが,16世紀の P.ブリューゲルが農民風俗を描き,17世紀のオランダ,フランドルで絵画の独立した一分野となった。 J.ステーン,P.デ・ホーホ,J.フェルメール,A.ファン・オスターデ,A.ブラウエルらがその代表的画家。フランスのアンティミスト派やマチスの室内作品を風俗画の分野に含める場合もある。中国では晋代の 愷之の『女史箴図巻』が当時の女性風俗を伝えるものとして名高い。日本でも絵巻のなかに風俗,習慣を伝えるものがみられ,特に江戸時代の浮世絵は,版画形式を用いて日本独自の風俗画として発達した。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

ふうぞく‐が〔‐グワ〕【風俗画】
さまざまな階層の風俗や日常生活を描いた絵画。

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世界大百科事典 第2版

ふうぞくが【風俗画】
英語でgenre painting,フランス語でpeinture de genre,ドイツ語でGenremalerei,Sittenbildという。近代の美術批評で一般に定義する風俗画とは,いかなる社会階層,職業であれ,また人間の年齢にも関係なく,彼らの現実の日常生活(家庭生活,労働やレクリエーション)を主題とする絵画,しかも特定個人ではなく無名の人々の生活を表した絵画である。したがって神話的主題,宗教的主題,聖人伝や英雄伝,君主の栄光化のアレゴリー,歴史物語,国家的儀式(皇帝戴冠式など),公共生活に関する主題などは風俗画の対象外とされよう。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

風俗画
ふうぞくが
genre painting 英語
peinture de genre フランス語
Genremalerei ドイツ語

日常の現実生活に取材した絵画。17世紀末、歴史画、神話画、宗教画などの「大テーマ」を扱う作品に対して、日常風俗や静物、動物などを題材とする絵画を「小さな部門」genre mineureと批評家たちが区分したことに語源をもつ。18世紀フランスの家庭的・教訓的題材を描いた画家グルーズが、アカデミーに「ジャンルの画家」として受け入れられたときこの用語は定着し、19世紀に、市民生活が印象派の画家たちによって数多く取り上げられたとき一般化した。西洋では単に「ジャンル」ともよばれている。

 しかし歴史的には、宗教、象徴主義、寓意(ぐうい)的表現などと複合しつつ、古くから風俗画の展開がみられる。古代エジプト墳墓の壁画や浮彫りなどに描かれた、農耕・狩猟など日常生活や労働を表す作品、古代ギリシアの壺絵(つぼえ)や墓碑浮彫りの生活情景、ローマの壁画やモザイクのそれなど、いずれも、風俗的情景の描写への関心が絵画的描写の重要な部分であったことを示している。中世後期、フランドルでもイタリアでも、宗教画は同時代の室内・服装・風俗の設定で描かれることがしばしばあり、大聖堂の「月暦(つきごよみ)の労働」を表す彫刻も風俗描写をみせている。なかでも手写本装飾画は、月暦の表現でほとんど純粋な風俗図をみせてくれる。ランブール兄弟による『ベリー公のいとも豪華なる時祷書(じとうしょ)』などがその代表例である。

 16世紀は、宗教画の風俗的設定の傾向をいっそう進めるとともに、「五感」「虚栄」などの寓意的表現を風俗描写に託し始める。

 しかし、17世紀に、イタリアのカラバッジョ、オランダのレンブラント、フェルメール、ピーテル・デ・ホーホ、フランスのルイ・ル・ナンなどの多くの画家たちが、日常生活の現実性を高い絵画的表現にもたらし、真の意味での風俗画が生まれる。「高貴で偉大」な宗教画や神話画、あるいは壮大な装飾画に並んで、日常性の描写が新教・旧教のいずれの国々にも多くみられるが、このことは、この時期における市民生活の充実とその自覚を示すものと考えられる。18世紀においても、この傾向は、ワトーのなかば夢想的表現、シャルダンの静かな現実直視、ホガースの風刺的表現など、多様な幅をもって展開し、19世紀以降の市民生活の確立、日常性の賛美のなかで生まれる写実主義、印象主義によって、もっとも主要な絵画ジャンルの一つとなる。

 日本においても、年中行事絵巻、縁起絵などの形で平安時代から風俗描写がみられるが、独立したものとしては、洛中(らくちゅう)洛外図、祭礼図、遊楽図などが中世末から行われ、この流行は江戸時代の浮世絵の隆盛へとつながってゆく。

[中山公男]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

ふうぞく‐が ‥グヮ【風俗画】
〘名〙 社会の中におけるある階層の風俗や日常生活を主題として描いた絵画。風俗絵。〔現代日用新語辞典(1920)〕

出典:精選版 日本国語大辞典
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旺文社日本史事典 三訂版

風俗画
ふうぞくが
衣食住などの日常生活を主題とした絵画
平安末期扇面古写経の下絵にすでにみられたが,安土桃山時代武家町衆の趣味をうけて装飾画の新しい分野として盛んになった。江戸時代の浮世絵にも風俗画が多い。

出典:旺文社日本史事典 三訂版
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