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風姿花伝【ふうしかでん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

風姿花伝
ふうしかでん
世阿弥著。通称花伝書』。能楽芸術論を述べた秘伝書で,応永7 (1400) 年から同9年頃に,亡父観阿弥の教えを述したもの。第一年来稽古条々,第二物学条々,第三問答条々,第四神儀云,第五奥義云,第六花修云,第七別紙口伝,の7ヵ条から成る。7歳より 50歳頃までを7期に分けて稽古の仕方じ,物まねとして女,直面,物狂,法師修羅,神鬼,事に分けて述べ,演の注意,芸の花の工夫を追求。能の歴史と家芸の尊厳などから,能作論,幽玄論に及ぶ。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

ふうしかでん〔フウシクワデン〕【風姿花伝】
能楽論書。7編。世阿弥著。応永7年(1400)から同25年ごろにかけて、亡父観阿弥の教えをもとに著したもの。略称花伝」。通称「花伝書」。

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

ふうしかでん【風姿花伝】
能楽の大成者世阿弥が父観阿弥の遺訓に基づいて著した最初の能楽論書。略称を《花伝》ともいう。一般には《花伝書》の名で知られているが,著者自身,書名の由来を〈その風を得て,心より心に伝ふる花なれば,風姿花伝と名付く〉と言明している。 7編から成るが,当初から全体が構想され,順次に書き進められたというものではない。まず,第3編までが1400年(応永7,著者38歳)にまとめられ,以後,第7編(第2次相伝本)が成立するまでには20年近くを要しており,しかもその間に著者自身による増補改訂が行われた可能性も強く,本書の成立過程には複雑な経過が想定されている。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

ふうしかでん【風姿花伝】
能楽論書。世阿弥の最初の著書。応永年間(1394~1428)に成立。父観阿弥の口述した能楽論を中心に、世阿弥自身の思想を展開したもの。能の修業・演出など幅広い内容を含む。年来稽古条々・物学ものまね条々・問答条々・神儀・奥義・花修・別紙口伝の七編より成る。花伝書。

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日本大百科全書(ニッポニカ)

風姿花伝
ふうしかでん
能の大成者世阿弥(ぜあみ)の能楽論で、日本を代表する芸術論。1400年(応永7)に三編までがまとめられ、父観阿弥(かんあみ)の教えに基づいて著したものである。ただ1人の真実の後継者に能の真髄を伝えようとして書かれた秘伝であるが、汎(はん)演劇論として、芸術論として、教育論、人生論、魅力の美学として、不滅の価値をもつ。書名については世阿弥自身「風姿花伝と名づく」といっており、略する場合は「花伝」であるから、「花伝書」という俗称を用いるのは正しくない。「花伝書」は、室町後期からの能の伝書の全体、そして立花の教えをさすことばであり、1909年(明治42)に吉田東伍(とうご)が初めて翻刻するときに用いた名称であり、また室町末期の能の指導書『(八帖(はちじょう)本)花伝書』の固有名詞であった。
 構成は七段である。まず能の役者の心構えを説く「序」。年齢別カリキュラムである「第一年来稽古(ねんらいけいこ)条々」では、7歳から稽古を始めよと説き、17、8歳のスランプの時期の乗り切り方、デビューのころの注意から、花の盛りの年代、40歳以降の撤退作戦など、七期に分けられている。「第二物学(ものまね)条々」は、演技総論に続くジャンル別の演技論(扮装(ふんそう)論が主軸)であり、女、老人、直面(ひためん)、物狂(ものぐるい)、法師、修羅(しゅら)、神、鬼、唐事(からごと)の9分類となっている。「第三問答条々」は、世阿弥の質問に観阿弥が答えた形とも考えられ、演出論、芸位論、能の美学論などを内容とする。「第四神儀云(しんぎにいわく)」は、内容も文体も違っており、座に伝わる能の発生、歴史、伝説が書かれている。能の始祖の秦河勝(はたのかわかつ)を、秦(しん)の始皇帝の生まれ変わりとするなどの説も語られるが、能の役者の伝承意識を知るうえで貴重である。
 後編は、別の「序」をもち、「奥儀云」は、世阿弥の属した大和申楽(やまとさるがく)と、近江(おうみ)申楽、あるいは田楽(でんがく)との芸風の違いを説くが、観客の好みはまちまちだから、どの芸でも演じうる幅広さをもつべきだとする。あらゆる観客層へのアピールこそ、観阿弥の主張であった。「第六花修(かしゅう)云」は、能作論であり、演技論であり、観客論であり、演技者の比較論である。「第七別紙口伝(くでん)」は、目標として追求してきた魅力の美学「花」の解明であり、なぜ植物の花に例えたのか、花は面白(おもしろ)さであり、それは珍しさにほかならないと、明快な論が展開される。観客との相対関係のなかでしか成立することのない舞台芸術の本質が語られ、物真似(ものまね)論、十体と年々去来の花による無限の変化を実現するくふう、「秘すれば花」の真実、「男時女時(おどきめどき)」の理論が語られる。
 この『風姿花伝』は世阿弥40歳前後からの、彼の初の理論書であるが、観阿弥理論からの脱皮の意図ともされる。60歳代の『花鏡(かきょう)』はそれ以後の理論と世阿弥自身述べているが、世阿弥後年の能楽論の大綱はこの『風姿花伝』にあるといってよい。[増田正造]
『『風姿花伝』(岩波文庫) ▽能勢朝次著『世阿弥十六部集』(1940・岩波書店) ▽西尾実他校注『日本古典文学大系65 歌論集 能楽論集』(1961・岩波書店) ▽表章他校注『日本古典文学全集51 連歌論集 能楽論集 俳論集』(1973・小学館) ▽表章・加藤周一校注『日本思想大系24 世阿弥 禅竹』(1974・岩波書店) ▽田中裕校注『新潮日本古典集成 世阿弥芸術論集』(1976・新潮社) ▽馬場あき子著『古典を読む17 風姿花伝』(1984・岩波書店)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

ふうしかでん フウシクヮデン【風姿花伝】
室町前期の能楽論書。七編。世阿彌著。応永七~九年(一四〇〇‐〇二)頃成立。世阿彌の現存する二一種の伝書のうち最古のもの。父観阿彌の教訓を受け、能に関して、修業、演出などの心得、歴史、本質などについて述べる。能の生命たる「花」への考察は有名。略して「花伝」ともいう。俗称「花伝書」。

出典:精選版 日本国語大辞典
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旺文社日本史事典 三訂版

風姿花伝
ふうしかでん
室町中期,世阿弥元清の能楽書
『花伝書』ともいう。1400〜02年ころ完成。年来稽古条々・物学 (ものまね) 条々・問答条々・神儀・奥儀・花修・別紙口伝の7編からなり,能における「花」「幽玄」について述べ,能作論・演出法などを記した。亡父観阿弥の意見に自己の思索体験を加えたもので,能楽研究の根本資料。日本の代表的芸術論。

出典:旺文社日本史事典 三訂版
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