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風疹【ふうしん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

風疹
ふうしん
rubella; german measles
ウイルスによる発疹性の急性感染症潜伏期は約 20日間で,発(→皮疹),リンパ節腫張,発熱が三大症状。かゆみを伴う赤い発疹が見られるが 1~2日で消失し数も少ない。麻疹はしか)患者の 80~90%に見られるコプリック斑は普通現れない。妊娠初期に母体が風疹にかかると,子供が先天性心疾患や白内障をもって生まれたりする先天性風疹症候群になる可能性がある。治療薬(抗ウイルス薬)はなく対症療法のみとなるため,予防接種により,なるべく多くの人が免疫をもつ状態とし,感染が急激に拡大しないようにする社会防衛が最善の対策とされてきた。だが,予防接種にはわずかながら副作用があり,そのを問題視する意見がある。また個人の意思を尊重する観点から社会防衛の価値を強く否定する声もあり,特に日本では予防接種を受けない人が多い。日本でしばしば風疹が流行することに対し,欧米先進国からは「風疹輸出国」との批判的な見方もある。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵

風疹
ウイルスが引き起こす感染症の一つ。感染すると2~3週間の潜伏期間を経て、発熱、全身の発疹、耳たぶの後ろのリンパ節が腫れるなどの症状が現れる。熱も発疹も3日ほどでおさまることが多いため、「三日ばしか」ともいう。一度かかると体内に免疫ができるが、年数が経つにつれて免疫力が弱まり再感染することもある。また、感染しても発熱や発疹がなく、気づかないまま治るケースも最大3割ぐらいあるとみられる。麻疹(はしか)と似た症状を示すが、一般的に風疹のほうが症状は軽く、感染力も弱い。関節炎や血小板減少性紫斑病などが合併することもあるがだいたいは一過性である。
ただし、妊娠初期の妊婦が感染すると、胎児に先天性風疹症候群(CRS)といわれる障害が現れることがあるため、感染症法では5類感染症に指定され、2008年から発症数の全数把握が始まった。
発症後の特別な治療法はなく、熱が高い場合に解熱剤を用いるなどの対症療法が行われる。感染を防ぐためには予防ワクチンの接種が不可欠だが、日本では乳幼児の予防接種が任意だった時期(1989年4月~93年4月)や、定期接種が女子のみを対象としていた時期(77年8月~95年3月)があったことなどから、予防ワクチンによる免疫を持っている人と持っていない人が混在しているのが現状である。報告されている発症数は11年が378人、12年が2392人と増加。13年は5月19日までで前年1年間の3倍を超える7540人となっており、大都市を中心に大きな流行となっている。国内での感染者が増えているのは、11年から始まったアジアでの大流行で国外で感染し帰国した男性を介して拡大していったことが原因ではないかと推測されている。
なお、先天性風疹症候群は難聴、先天性心疾患、白内障、など様々な形で現れる。その発生頻度は妊娠1カ月までに風疹を発症した場合で50%以上、以下妊娠2カ月35%、3カ月18%、4カ月8%と下がっていき、妊娠21週以降であればほぼ影響はないとされている。ただし、妊婦に風疹の症状が出なかった場合でも、その時期に感染すれば胎児に障害が現れることもある。妊娠を予定している女性とそのパートナーには特に、予防ワクチンの接種が勧められる。
(石川れい子  ライター / 2013年)

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

朝日新聞掲載「キーワード」

風疹
ウイルス性の感染症で、くしゃみせきなどのしぶきでうつる。予防にはワクチンが有効だが、妊娠の2カ月前までに受ける必要がある。2018年に報告された風疹患者数は2917人。前年の30倍以上に増えた。今年1月、先天性風疹症候群の赤ちゃんが5年ぶりに埼玉県で確認された。
(2019-02-09 朝日新聞 夕刊 2社会)

出典:朝日新聞掲載「キーワード」

デジタル大辞泉

ふう‐しん【風×疹】
小児に多い発疹(ほっしん)性の感染症。学校感染症の一。感染症予防法の5類感染症の一。風疹ウイルスに感染して、全身に細かい発疹が出るが2、3日で消える。発熱・リンパ節腫脹(しゅちょう)などの症状も呈する。妊娠初期にかかると、胎児に奇形や障害の起こるが高くなる。三日ばしか。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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栄養・生化学辞典

風疹
 ウイルス性疾患の一つ.発疹があるが,三日ばしかといわれるように,短期で消失し,あとを残さない.

出典:朝倉書店
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世界大百科事典 第2版

ふうしん【風疹 rubella】
俗に〈三日ばしか〉とも呼ばれる。風疹ウイルスの感染によって起こる軽い発疹性伝染病であるが,妊娠初期の婦人罹患すると,白内障,先天性心疾患,小頭症など各種の奇形や病変(先天性風疹症候群)をもったいわゆる〈先天性風疹児〉が高率に生まれることが知られてから,重要な伝染病としてクローズアップされた。流行は3~10年の間隔でみられ,春に発生の山があり,患者は小学生が多い。伝播飛沫感染で,伝染期間は,発疹出現4~5日前から,その後1週間ほどである。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

ふうしん【風疹】
風疹ウイルスの感染により起こる急性の感染症。症状は軽症の麻疹はしかに似る。発熱と前後して発疹が現れ、二、三日で治る。妊娠早期に罹患りかんすると胎児に異常の生じる確率が高い。三日ばしか。

出典:三省堂
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知恵蔵mini

風疹
風疹ウイルスによる急性の発疹性感染症。患者の飛まつなどによって伝染し、2~3週間の潜伏期間を経て、発疹や発熱、リンパ節の腫れといった症状が現れる。主に春先から初夏にかけて流行し、幼少時に感染するケースが多い。日本国内では1994年以降、大流行はしていないが、小規模な流行や地域流行は見られており、特に2011年以降は増加傾向にある。近年冬場にも流行が見られるほか、1994年まで風疹の予防接種が中学生の女子に限られていたことから、成人男性が感染するケースも増えている。2013年2月現在、男女とも1歳と小学校入学前1年間の計2回、無料の定期接種が行われており、2012年度中は中学1年生と高校3年生も無料接種の対象とされている。免疫のない女性が妊娠初期に風疹に感染すると、出生児に障害を引き起こす危険性もあるため、国は妊婦の夫や妊娠希望者など、成人への予防接種も呼びかけている。
(2013-2-12)

出典:朝日新聞出版
(C)Asahi Shimbun Publications Inc
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日本大百科全書(ニッポニカ)

風疹
ふうしん
rubella
麻疹(はしか)に似た発疹(ほっしん)ができる急性伝染病で、ドイツの医師により初めて記載されたので「ドイツはしか」ともいい、また症状が軽くて2~3日で発疹が消えるところから「三日はしか」ともよばれる。病原体はウイルスの一種で、飛沫(ひまつ)感染するが伝染力は麻疹ほど強くない。罹患(りかん)すれば終生免疫が得られる。冬から春にかけ主として小児の間に流行するが、成人では重症化傾向がみられ、とくに妊娠初期の女性が罹患すると、先天性風疹症候群の子供を出産する危険性があるので、臨床上では小児よりもむしろ成人に問題点がある疾患といえる。
 風疹は3~10年の間隔で周期的に流行し、潜伏期間は2~3週である。軽度の発熱とともに、小さい斑(はん)状の発疹が顔をはじめ全身にかなり密に現れるが、麻疹よりは小さく、3日くらいで皮もむけずに消えて色素沈着も残さない。熱は38~39℃にもなるがすぐ下がり、2~3日微熱が続くことが多い。咳(せき)や目やになどのカタル症状もごく軽い。全身のリンパ節が腫脹(しゅちょう)するが、とくに後頭部および耳後部や頸(けい)部の腫脹が特徴的で、軽い圧痛がある。血液像としては白血球の減少、異型リンパ球ないし形質細胞の増加がみられる。成人の場合には合併症として脳炎や血小板減少性紫斑(しはん)病などがみられるが、一般に予後はよい。また、成人女子の場合は発赤腫脹を伴う関節炎をしばしばおこす。
 なお、風疹患者の病原体排出期間は発疹の発現前後それぞれ約1週間とみなされ、この間は感染の可能性があるので留意する。
 風疹は軽症で特別な治療をしなくても全治するため、通常は安静と対症療法しか行われないが、他の疾患の感染予防の目的で抗生物質が使われることもある。予防には風疹ウイルスの生(なま)ワクチン接種が行われる。日本では1977年(昭和52)以来、先天性異常の発生防止を主目的として、妊娠前に免疫をつけるため、女子が13~15歳に達したとき風疹ワクチンの接種を受けることに決められていた。その後、89年(平成1)4月からは、生後12~72か月までの間の麻疹ワクチン定期接種時に、麻疹、風疹、おたふくかぜ混合ワクチン(MMRワクチン)の接種が選択できるようになったが、副反応として無菌性髄膜炎が多発したため、93年4月にはMMRワクチンは中止され、それぞれのワクチンの単独接種となった。95年4月からは、風疹の流行自体を防ぐために、生後12~90か月未満の男女に風疹ワクチンが接種されることとなっている。[柳下徳雄]

先天性風疹症候群

風疹ウイルスの垂直感染によって母親から胎盤を通じて胎芽にウイルスが伝播(でんぱ)し、胎児の各器官が形成される胎芽期の細胞分裂が妨げられて、白内障をはじめ、動脈管開存症などの心疾患や難聴など多彩な先天異常が新生児に残るものをいい、CRS(congenital rubella syndrome)と略称される。1941年にオーストラリアの眼科医グレッグNorman M. Gregg(1892―1966)によって発見・記載された。先天異常の発生頻度は妊婦の風疹初感染の時期によって異なり、だいたい妊娠第4か月以降には低下し、初期ほど高くなっているが、着床以前の妊娠第1か月前半(最終月経後14日間)の頻度は少ない。妊娠第2か月間に罹患すると白内障や心疾患、妊娠第3か月以降では聴力障害や網膜症がみられ、白内障や心疾患には難聴などを高率に合併し、発育・発達障害も伴いやすい。障害の頻度としては、難聴がもっとも多くみられる。
 なお、生後1週間に低出生体重、血小板減少性紫斑、肝脾腫(ひしゅ)、肝炎、溶血性貧血、泉門膨隆など多彩な症状がみられ、先天異常の永久的障害に合併することが多い。これらの多彩な症状をまとめて新生児急性先天性風疹とよび、先天異常を主にまとめたCRSと区別することもある。多彩な症状は多くの場合、2週間から2か月で回復するが、血小板減少性紫斑病に先天異常が合併した場合の予後は悪い。
 CRSに対する治療としては特別なものはなく、手術の適応のある先天異常には手術を行うほか、難聴には補聴器を用い、難聴教育を必要とする。予後としては生後6か月以内に死亡するものが多く、大部分の死亡は生後1年以内であり、心不全、敗血症、全身衰弱などが死因となる。なお、妊婦の風疹罹患は流産、早産、死産をおこしやすいことでも知られる。
 日本では1965年(昭和40)から4~5年間、風疹の全国的な流行があり、とくに沖縄ではCRSが多発して注目されたが、その後しばらく流行がなく、75~77年にふたたび大流行があったものの、このときはCRSの発生がきわめて少なかった。[山口規容子]

風疹ウイルス

トガウイルス科Togavirusルベラウイルス属Rubellavirusに属する1本鎖RNA(リボ核酸)ウイルスで、エンベロープ(外被)をもつ。球形で直径50~70ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)、ヌクレオカプシド(カプシドに直接取り込まれているウイルスの核酸)の直径は約30ナノメートル、エーテル感受性。ヒトが唯一の自然宿主(しゅくしゅ)(ウイルスの寄生対象となる生物)である。細胞培養で増殖が可能となった。宿主域はヒトの羊膜細胞、ウサギの腎(じん)細胞などで、この部位で発育する。他の細胞培養では細胞変性を示さないことが多い。
 風疹ウイルスの証明はウイルスの干渉作用を利用して行われる。すなわち、ミドリザルの腎細胞に風疹ウイルスを接種し、その後7~11日経過してからエコーウイルスを接種すると、エコーウイルスによる細胞変性が阻止される。[曽根田正己]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

ふう‐しん【風疹】
〘名〙 学童や幼児に起こる良性発疹性伝染病。潜伏期二~三週間。身体各部のリンパ腺がはれ、微熱を伴い発疹する。発疹は淡紅色の点状で、後に暗褐色になり、最後は褪色する。妊娠初期に母体が感染すると出生児に障害のある子どもが生まれやすいことが知られている。三日ばしか。
※吾妻鏡‐安貞元年(1227)八月三〇日「将軍家御身風疹出給云々」 〔北史‐張彝伝〕

出典:精選版 日本国語大辞典
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六訂版 家庭医学大全科

風疹(三日ばしか)
ふうしん(みっかばしか)
RBella
(子どもの病気)

どんな病気か

 発疹、リンパ節腫脹(しゅちょう)、発熱を3つの主要な徴候とする急性ウイルス性疾患です。妊婦がかかると胎児に感染することがあり、子どもに奇形を生じた場合には先天性風疹症候群(せんてんせいふうしんしょうこうぐん)と呼ばれます。

原因は何か

 風疹ウイルスの飛沫感染により発病し、好発年齢は5~15歳ですが、成人になってからかかることもあります。3~10年の間隔で流行し、春から初夏によくみられます。1999年以降、流行はなくなり季節性もなくなってきました。不顕性(ふけんせい)感染(感染しても発病しない)の割合が高く、25~50%程度といわれています。一度自然にかかれば一生免疫が続くと考えられています。

症状の現れ方

 潜伏期は14~21日(16~18日間が多い)です。経過を図44に示します。初発症状は発疹で、その性状は桃紅色の小斑状丘疹(しょうはんじょうきゅうしん)のものが多く、融合することは少ないようです(図45)。初めは顔面に現れ、すみやかに全身に広がります。皮がむけたり色素沈着を残したりすることはなく、3~5日で消えます。熱はあまり高くなることはなく、発疹とともに現れて2~3日で解熱します。

 風疹ではリンパ節がはれるのが有名ですが、とくに耳介(じかい)後部や頸部(けいぶ)に目立ちます。リンパ節のはれは発疹の前から認められ、発疹が消えてからも数週間にわたって続くことがあります。

 合併症としては関節炎があり、発疹が消えてから発生し、小児より成人、しかも女性に多いといわれています。脳炎(のうえん)になることもあり、その発生頻度は6000人に1人といわれています。そのほか紫斑病(しはんびょう)を合併することもあります。

検査と診断

 末梢血の白血球数は減る傾向があります。抗体検査で診断を確定します。麻疹(ましん)水痘(すいとう)と違い、症状や所見だけで診断することの難しい病気のひとつです。

治療、予防の方法

 風疹ウイルスに効く薬はありません。症状に応じた対症療法になります。予防には風疹生ワクチンを用い、予防接種法の定期接種第一類として1歳以降に接種を受けます。

 現在、風疹ワクチンは麻疹・風疹混合(MR)ワクチンとして接種、第1期(1歳児)と第2期(小学校入学前年度の1年間にあたる子)に計2回接種します。これは1回の接種では免疫が長く続かないため、2回目を接種し免疫を強め、成人になってから麻疹や風疹にかからないようにするためです。

 2008年4月1日から5年間の期限付きで、麻疹と風疹の予防接種対象が、第3期(中学1年生相当世代)、第4期(高校3年生相当世代)にも拡大され、接種機会を逸し1回しか接種されていない子も2回接種が可能になります。

 風疹ワクチンは風疹の罹患や流行防止を目的としていますが、妊婦が先天性風疹症候群の子を産まないようにすることを最大目標にしています。妊婦が風疹ワクチンの接種を受けてはならないことはいうまでもありませんが、成人女性が風疹ワクチンの接種を受ける場合には、接種後2カ月間は確実に避妊することが大切です。

病気に気づいたらどうする

 幼稚園や学校を休む必要があります。発疹がなくなることが登園、登校の目安になります。

浅野 喜造

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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風疹(三日ばしか)
ふうしん(みっかばしか)
RBella
(感染症)

どんな感染症か

 トガウイルス科に属する風疹ウイルスによる急性感染症で、通常は軽症ですが、まれに血小板減少性紫斑病(しはんびょう)や脳炎を合併することがあります。妊娠初期の女性がかかると、先天性風疹症候群(CRS)の赤ちゃんが生まれる可能性が高いといわれています。

 発疹が現れる前後約1週間の患者さんの飛沫(ひまつ)を介して感染しますが、伝染力は麻疹(ましん)水痘(すいとう)より弱いといわれています。

症状の現れ方

 風疹ウイルスに感染後、14~21日の潜伏期ののち、発熱とともに全身に淡い発疹が現れます。通常3日程度で消失し、麻疹はしか)のように発疹のあとが長く残ることはありません。一般に「三日ばしか」とも呼ばれています。

 発熱は麻疹のように高熱が続くことは少なく、微熱程度で終わることも多くあります。また耳後部、頸部(けいぶ)あるいは後頭下部のリンパ節がはれることも特徴です。

 通常は数日で治る病気ですが、まれに血小板減少性紫斑病(3~5千人に1人)、急性脳炎(4~6千人に1人)といった合併症を併発することがあります。また、感染しても症状を現さない人が約15%存在し、発熱、発疹、リンパ節腫脹(しゅちょう)がすべてそろわない場合もあります。成人では、関節炎を伴うことがあります(5~30%)が、ほとんどは一過性です。

 妊娠初期の女性が風疹にかかると、出生児が先天性風疹症候群(CRS)になることがあります。妊娠2カ月以内の女性が風疹にかかると、白内障(はくないしょう)、先天性の心臓病(動脈管開存症(かいぞんしょう)肺動脈狭窄(きょうさく)心室中隔欠損(しんしつちゅうかくけっそん)心房中隔欠損など)、難聴の2つ以上をもって生まれてくることが多いとされています。

 妊娠3~5カ月に感染した場合でも難聴が多くみられます。その他、子宮内での発育が遅い、網膜(もうまく)の病気、緑内障(りょくないしょう)小頭症(しょうとうしょう)髄膜炎(ずいまくえん)、精神運動発達に遅れがある、肝臓や脾臓(ひぞう)がはれる、血小板減少性紫斑病などの症状が赤ちゃんに認められる場合があります。

検査と診断

 溶血性連鎖球菌(ようけつせいれんさきゅうきん)による発疹、典型的ではない場合の伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)、修飾麻疹(軽い症状の麻疹はしか〉)などとの区別が必要になり、確定診断のためには検査室診断を要することが少なくありません。ウイルスの分離が基本ですが通常は行われず、血清診断が中心です。急性期と回復期の抗体価で4倍以上の上昇がみられる、または急性期に風疹に特異的なIgM抗体を検出する方法がよく用いられます。

 2008年1月1日から風疹は、CRSとともに全数報告の感染症となり、診断したすべての医師が最寄りの保健所に1週間以内に届け出ることが義務づけられました。

治療・予防の方法

 特異的な治療法はなく、対症的に治療します。発熱、関節炎などに対しては解熱鎮痛薬を用います。

 予防として弱毒生ワクチンが実用化され、広く使われていますが、先進国ではMMR(麻疹おたふくかぜ・風疹混合)ワクチンとして使用している国がほとんどです。日本では、2006年からMR(麻疹・風疹混合)ワクチンが広く使用されるようになり、2006年6月からは、1歳児と小学校入学前1年間の幼児を対象とした2回接種制度が始まっています。

 CRSに対するウイルス特異的な治療法はなく、女性は妊娠する前にワクチンによって風疹に対する免疫を獲得すること、社会全体で風疹ワクチンの接種率を上げることで風疹の流行そのものを抑制し、妊婦が風疹ウイルスに曝露(ばくろ)されないようにすることが重要です。風疹が流行すると人工妊娠中絶が増加することもすでに報告されており、ワクチン接種率を上げることが急務です。

 2008年度から5年間の時限措置として、10代の者への免疫強化を目的に、中学1年生と高校3年生相当年齢の者に対する2回目の予防接種が、予防接種法に基づく定期接種に導入されました。

病気に気づいたらどうする

 かかりつけの小児科、成人の場合は内科あるいは皮膚科を受診します。学校保健安全法では第二種感染症に定められていて、紅斑性の発疹が消えるまで登校・登園停止となっています。まわりにいる妊娠している女性をCRSから守るために、可能な限り接触しないよう努力が必要です。

多屋 馨子

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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EBM 正しい治療がわかる本

風疹
どんな病気でしょうか?

●おもな症状と経過
 風疹(ふうしん)ウイルスによって引きおこされる病気です。バラ色の比較的小さな発疹(ほっしん)(丘疹(きゅうしん))や、リンパ節の腫張(しゅちょう)(腫(は)れること)、微熱などがおもな症状となります。
 発疹は顔面・耳後部から現れて全身に広がりますが、3日程度で治ります。症状がはしかに似ていて、かつ3日間で治ることから、俗に「3日ばしか」とも呼ばれます。ただし、病気の原因となるウイルスは、はしかとは別のものです。
 潜伏期間は14~21日間ですが、潜伏期の後半から他人にうつす可能性があり、発疹が現われてから5~7日目までは本人が感染源となる危険性があります。
 妊娠初期に感染すると、難聴(なんちょう)、白内障(はくないしょう)、心臓病などの先天異常の子どもが生まれる場合があり、この時期の感染には注意が必要です。風疹ワクチンによる感染予防を行うことが重要となります。

●病気の原因や症状がおこってくるしくみ
 感染経路は鼻や咽喉(いんこう)の分泌液(ぶんぴつえき)の飛沫(ひまつ)感染、つまりくしゃみやせきによるものです。感染力は、はしかよりも弱いものですが、大人になってから感染することもあります。

●病気の特徴
 およそ5年の周期で、1~6月までの冬から初夏にかけてしばしば流行します。感染しても25~50パーセントの人は症状が表に現れません(不顕性(ふけんせい)感染)。
 風疹の抗体をもたない人が妊娠3カ月以内で風疹にかかった場合、先天性風疹症候群(白内障や難聴、先天性心疾患、小頭症(しょうとうしょう)、小眼球症(しょうがんきゅうしょう)などの奇形や、精神遅滞(せいしんちたい)を生じる)の子どもが、20~25パーセントの割合で生まれるとされています。なお、妊娠5カ月を過ぎると、風疹に感染しても先天性風疹症候群の子どもが生まれることはほとんどありません。


よく行われている治療とケアをEBMでチェック

[治療とケア]風疹そのものに対する治療ではなく、対症療法を行う
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] アメリカの医師向けデータベースや教科書では、風疹そのものに対しての治療法は見あたりません。ただし、風疹が原因でおこる、発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛などの症状に対して、それらの症状をやわらげる対症療法(たとえば解熱鎮痛薬などを用いる)が有効であるという臨床研究があります。(1)(2)

[治療とケア]予防として風疹ワクチンを接種する
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] ワクチンを接種することで、妊娠可能年齢の女性の風疹の発生率を減らせるほか、先天性風疹症候群を減らせるという、非常に信頼性の高い臨床研究があります。(3)


よく使われている薬をEBMでチェック

発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛などに対して
[薬名]アセトアミノフェン/カロナール(アセトアミノフェン)(1)(2)
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] 直接、風疹を治す薬ではありませんが、発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛などの症状をやわらげる効果があるという臨床研究があります。


総合的に見て現在もっとも確かな治療法
症状を軽くする治療
 風疹ウイルス自体を排除ないし抑制する薬は、現在のところ開発されていません。
 したがって、治療としては発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛などの不快な症状を軽減する目的で行われる対症療法を行うことになります。
 たとえば、発熱時には安静にして水分を多く摂取し、必要に応じて解熱薬を使用するといった治療です。
 これらは、臨床研究や医学の論理からいって、十分理にかなった治療法と考えられます。

先天性風疹症候群を予防するために
 ワクチンの効果は非常に信頼性の高い臨床研究によって確認されていますから、ワクチン接種を徹底することで、風疹や先天性風疹症候群の発生をゼロにすることが理想的です。
 現在、わが国では生後12~90カ月の乳児・幼児を対象に、風疹のワクチン接種が公費によって行われています。

一部の年齢層はワクチン接種率が極端に低い
 ただし、これは1995年から始まったもので、それ以前については、ワクチン接種の制度に紆余曲折(うよきょくせつ)がありました。とくに1979年から1987年の間に生まれた人のワクチン接種率は約50パーセント程度と、きわめて低くなっているのが現状です。

抗体の有無は血液検査でわかる
 ワクチンを接種した人や一度風疹にかかったことのある人には抗体ができます。抗体の有無は血液検査で調べることができるので、はっきりした記録や記憶のない人は、検査を受けるとよいでしょう。また、ワクチンの接種については、市区町村の予防接種担当課に問い合わせると、医療機関を紹介してくれるはずです。風疹ワクチン接種の副作用はとくに心配いりません。

妊婦はワクチン接種ができない
 なお、妊婦にはワクチンの接種が認められていません。したがって、風疹の抗体をもたない人は、妊娠前にワクチンを接種しておくことが大切です。
 また、妊娠してから風疹の抗体をもっていないことがわかった人は、出産後、次の妊娠までの間に風疹のワクチンを接種しておくとよいでしょう。

(1)Christine M Hay, MD. Rubella. UpToDate 10.3 https://www.uptodate.com
(2)Anne Gershon. RUBELLA (GERMAN MEASLES). Harrison's Principles of Internal Medicine 15th Ed. McGraw-Hill.
(3)Cheffins T, Chan A, Keane RJ, et al. The impact of rubella immunisation on the incidence of rubella, congenital rubella syndrome and rubella-related terminations of pregnancy in South Australia. Br J ObstetGynaecol. 1998;105:998-1004.

出典:法研「EBM 正しい治療がわかる本」
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