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高血圧【コウケツアツ】

デジタル大辞泉

こう‐けつあつ〔カウ‐〕【高血圧】
血圧が持続的に異常に高くなっている状態。一般に、最大血圧140ミリメートル水銀柱、最小血圧90ミリメートル水銀柱以上をいう。高血圧症血圧亢進症。→低血圧

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
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とっさの日本語便利帳

高血圧
収縮期血圧(最高血圧)/拡張期血圧(最低血圧)が、一四〇/九〇mmHg以上をいう。

出典:(株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」

栄養・生化学辞典

高血圧
 血圧が高い状態.脳卒中心疾患,血管障害などを起こす原因となることが多いので,治療される.

出典:朝倉書店
Copyright (C) 2009 Asakura Publishing Co., Ltd. All rights reserved.
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生活習慣病用語辞典

高血圧
最高血圧 140mmHg 以上または最低血圧 90mmHg 以上の場合を高血圧といいます。遺伝的要素に加え、食生活やストレスなどが引き金となって発症します。また、さまざまな病気によって引き起こされる場合があります。

出典:あなたの健康をサポート QUPiO(クピオ)
Copyright (c) 2008-2010 Healthcare Committee, Inc. all rights reserved
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世界大百科事典 第2版

こうけつあつ【高血圧 hypertension】
血圧の高い状態が続き,これに特有な心臓血管系の障害(高血圧性血管障害)を伴う病気を,高血圧または高血圧症という。正常な人でも時には血圧の上昇することがあるが,それは一時的な血圧上昇であって高血圧とはいわない。一つの人口集団について血圧を測定し,その分布をみるとだいたい正規分布を示す。このような連続的分布を示す血圧について,どのをもって異常とすべきかは難しいことであるし,どのように決めても結局は人為的なものである。

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

大辞林 第三版

こうけつあつ【高血圧】
血圧が正常の状態より高い状態。一般に最高血圧が水銀柱160ミリメートル 以上か最低血圧が95ミリメートル 以上の場合をいう。 ⇔ 低血圧境界高血圧

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

精選版 日本国語大辞典

こう‐けつあつ カウ‥【高血圧】
〘名〙 =こうけつあつしょう(高血圧症)〔大増補改訂や、は便利だ(1936)〕

出典:精選版 日本国語大辞典
(C)Shogakukan Inc.
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六訂版 家庭医学大全科

高血圧
こうけつあつ
Hypertension
(お年寄りの病気)

高齢者での特殊事情

 血圧は一般に年齢とともに高くなるといわれていますが、高齢者においても140/90㎜Hg以上を高血圧としています。この定義によると、高齢者の3分の2以上が高血圧であり、ありふれた病気といえますが、脳卒中(のうそっちゅう)認知症(にんちしょう)、さらに寝たきりの原因となっているため、高齢者においてもその予防、治療、管理は極めて重要です。

 高齢者の高血圧動脈硬化の進展、とくに血管の弾力性の低下が基盤にあり、若壮年期の本態性(ほんたいせい)高血圧とは異なる特徴があります。

①収縮期高血圧と脈圧の開大

 加齢とともに収縮期(しゅうしゅくき)血圧(最高血圧)が上昇し、血管が硬くなるので拡張期(かくちょうき)血圧(最低血圧)が低くなり、脈圧(収縮期血圧と拡張期血圧の差)が大きくなります。これら収縮期血圧と脈圧の上昇は心血管病の危険因子として重要であることが知られています。

②血圧が動揺性で起立性低血圧を起しやすい

 血圧の調節機構のはたらきが悪くなり、血圧が変化しやすく、とくに立ち上がり時に血圧が下がったり、食後血圧が低下することがあります。1日のなかでも血圧は変化しやすく、早朝高血圧の頻度も高いといえます。一方、夜間就寝中の血圧は一般には低下しますが、高齢者では非降圧型が増え、この場合、脳、心臓、腎臓の合併症を伴いやすくなります。家庭で測定した血圧は低いのに、診察時には著しく上昇する白衣高血圧(はくいこうけつあつ)も多くみられます。

治療とケアのポイント

 血圧は動揺性のため、診断にあたっては日を変えて何回か測定(通常3回)する必要があります。家庭での血圧の測定は大変参考となるので、医師に報告してください。難治性の場合、動脈硬化による腎血管性高血圧(じんけっかんせいこうけつあつ)の疑いがあります。

 治療は非薬物療法と降圧療法からなります。とくに150㎜Hgまでは減塩、運動など非薬物療法が中心です。しかし、これのみで140㎜Hgに下がらない場合は降圧薬療法を行います。降圧目標は最終的には140/90㎜Hg未満としますが、高齢者の場合、脳血流、冠血流など主要臓器の血流が障害されている場合が多いので、ゆっくり降圧を図ることが重要です。70代後半以上では中間的な降圧目標として150㎜Hg未満とし、しばらく様子をみた後、めまいや、立ちくらみなど障害がみられなければ最終的に140㎜Hgを目指します。

 降圧薬はカルシウム(Ca)拮抗薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、および少量の利尿薬を第一選択薬とし、降圧効果が不十分な場合は併用療法(図9)を行います。高齢者では合併症をもっている場合が多く、合併症に応じて患者さん個々に最適な薬剤が選択されます(表6)。

荻原 俊男

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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高血圧
こうけつあつ
Hypertension
(循環器の病気)

どんな病気か

 複数回の各来院時に座位で測定された血圧が、常に最高血圧140㎜Hg以上、あるいは最低血圧90㎜Hg以上である状態を高血圧と定義しています。現在の基準(表1)では、正常血圧は最高血圧が120㎜Hg未満、かつ最低血圧が80㎜Hg未満とされています。120~139/80~89㎜Hgは高血圧前状態と定義されています。降圧薬の投与を受けている人は、血圧が正常範囲にあっても高血圧という診断になります。

 日本人の高血圧の患者さんは3000万人以上にも及ぶとされ、代表的な生活習慣病(成人病)のひとつになっています。全体では成人男性の約45%、成人女性の約35%が高血圧になっており、年齢とともにその罹患率は上昇しています。高血圧は心血管病の主たる危険因子であり、生命予後に大きな影響を与えることが明らかになっています。

原因は何か

 高血圧には、大きく分けて2つあります。本態性高血圧(ほんたいせいこうけつあつ)二次性高血圧(にじせいこうけつあつ)といわれるタイプです。90%程度が原因不明の本態性高血圧で、残りの約10%が何らかの原因で高血圧になっている二次性高血圧です。

 二次性高血圧には、腎血管性(じんけっかんせい)高血圧腎実質性(じんじっしつせい)高血圧原発性アルドステロン症褐色細胞腫(かっしょくさいぼうしゅ)クッシング症候群大動脈炎症候群大動脈縮窄症(しゅくさくしょう)などによるものがあります。

 本態性高血圧は、生活習慣の乱れや遺伝素因、加齢などが相互に関連し合って発症すると考えられています。

症状の現れ方

 一般に、高血圧自体が何らかの症状を引き起こすことはないと考えられていますが、軽度の頭痛、頭重感や倦怠感(けんたいかん)などを訴えることがよくあります。これらの症状と血圧の因果関係は明らかではありません。

 ただし、放置すると致命的になる状態の高血圧(高血圧緊急症(こうけつあつきんきゅうしょう))では、激しい頭痛、意識障害、けいれん発作、呼吸困難など重い症状を示します。このような状態では、通常、最低血圧が120㎜Hgを超えています。

 二次性高血圧では、原因により特徴的な症状を示すものもあります。

検査と診断

 正確な血圧測定のためには、水銀血圧計を用いて聴診法で測定します。最低5分間、座位安静にして足を床におき、腕を心臓の高さに保って測定します。少なくとも2回の測定を行います。

 大規模臨床試験の結果に基づいて、何度か高血圧診断治療のための指針(ガイドライン)が改訂されています。2003年に改定された米国合同委員会の報告(表1)では、高血圧を、最高血圧で140㎜Hg以上また最低血圧で90㎜Hg以上と定義しています。そのほか、世界保健機関の国際高血圧学会やヨーロッパ高血圧学会のガイドラインがあります。日本においても、2000年に高血圧治療ガイドラインが示されています。

 高血圧と診断されれば、生活習慣のチェック、脂質異常症(ししついじょうしょう)糖尿病などの他の心血管危険因子の合併確認、二次性高血圧の精密検査、心臓・脳・腎臓・眼(網膜(もうまく))といった高血圧の影響を強く受ける臓器の障害の程度を評価するための検査が行われます。これらの評価は、治療方針を決めるうえで非常に重要です。

治療の方法

 本態性高血圧二次性高血圧とでは、治療法が大きく異なります。

 前者では、重症度に応じて、生活習慣を改善して経過観察するものから、降圧薬を中心とした薬物療法に生活習慣の改善を加えたものになります。

 後者では、高血圧の原因を除去することが主体になります。

病気に気づいたらどうする

 最近は、簡便な自動血圧測定器が市販されており、家庭でも血圧測定が可能になっています。検診などで高血圧の指摘を受ける、あるいは自己測定した血圧値がガイドラインの高血圧の範囲に入るなら、循環器専門医の診察を受け、高血圧の重症度判定、鑑別診断、治療方針決定などについて相談することが重要です。

 なお、自己測定する場合は、測定精度の面から上腕にカフを巻いて測定できる血圧計がすすめられます。自己の測定値は、診察室での測定より低めになる傾向があります。広く合意された家庭血圧の基準はありませんが、135/85㎜Hg以上は高いと考えるべきです。

東 幸仁, 吉栖 正生

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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高血圧
こうけつあつ
Hypertension
(遺伝的要因による疾患)

高血圧とは

 高血圧の診断は、原因を問わず、血圧が基準よりも高いことに基づいています。1999年2月、世界保健機関(WHO)と国際高血圧学会により、新しい高血圧の基準が発表されました。これによると収縮期血圧140㎜Hg以上、拡張期血圧90㎜Hg以上の両方あるいは一方のみでも該当すれば、高血圧と診断します。

 高血圧は、原因がわからない本態性(ほんたいせい)高血圧と、何らかの病気が原因で起こる二次性高血圧に分類します。二次性高血圧の原因として、腎性(じんせい)高血圧(腎臓の病気による)、内分泌性(ないぶんぴつせい)高血圧(ホルモン異常)、血管性高血圧(血管の狭窄などによる)などがありますが、95%程度は本態性高血圧です。

本態性高血圧とその要因

 本態性高血圧は「血圧が高い」ことのみで診断されるので原因はさまざまで、異なった遺伝要因と環境要因により引き起こされる多因子遺伝病であると考えられます。2005年の調査では患者推定数が781万人と、日本で最も患者数の多い疾患でした。

 遺伝要因が関与することは、以下の事実より明らかです。まず、片親あるいは両親が高血圧であった場合、子どもが高血圧になる確率は、両親とも正常血圧である場合と比べて、約2倍です。また、血縁者と非血縁者を比較した研究で、遺伝要因は拡張期(かくちょうき)血圧で42%、収縮期(しゅうしゅくき)血圧で30%と推定しています。

 他の双生児を対象とした研究や家系の解析でも、遺伝要因の関与は30~40%と推定しています。したがって、残りの60~70%は生活習慣などの環境要因によるということになります。

 これまでの疫学的研究から、環境要因として肥満、過剰な塩分摂取、過度の飲酒、運動不足、ストレス、たばこなどが明らかになっています。とくに肥満と飲酒はその程度と血圧上昇の関連がはっきりしています。

本態性高血圧と遺伝子

 糖尿病と同様、高血圧でも全ゲノムを対象とした研究が進められましたが、糖尿病とは異なり、高血圧では原因となる遺伝子がなかなか見つかりません。これも、高血圧がさまざまな疾患の集まりであることが原因だと思われます。

 これまでの研究で、関与が証明された遺伝子にアンジオテンシノーゲンがあります。この遺伝子は、血圧値に大きな影響のあるレニン・アンジオテンシン系の重要な部分を担っていて、塩分による血圧の上昇に関与していると考えられています。高血圧になりやすい遺伝子型をもつ人が、塩分をとりすぎると発症すると考えられるのです。

 もともと人類は、その生活環境から1日3g以下の塩分で生活してきたと考えられています。その状況では、少ない塩分で血圧を維持することが生き残るために重要だったと考えると、現在の日本のように、お金さえ出せば何でも食べることができる飽食の時代になって初めて、病気の遺伝子とされてしまったとも考えられるのです。

 実際、ゴリラやチンパンジーのアンジオテンシノーゲン遺伝子型はすべて高血圧になりやすいタイプでしたので、こちらが祖先型であったことは間違いないでしょう。このような考え方を倹約遺伝子(けんやくいでんし)仮説といい、糖尿病でもあてはまるかもしれません。

羽田 明

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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EBM 正しい治療がわかる本

高血圧
どんな病気でしょうか?

●おもな症状と経過
 血圧とは、心臓から送りだされた血液が動脈の血管内壁を押す圧力のことです。この血管にかかる圧力があるレベルより強くなった状態が続くことを高血圧といいます。たまたま測った血圧が高かったとしても、血圧が高いとはいえますが、一過性であれば高血圧ではありません。
 心臓は、収縮と拡張をくり返して血液を送りだしているため、血圧もそれに応じて上がったり下がったりします。血圧が心臓の収縮によりもっとも高くなったときの値が「収縮期血圧(最高血圧)」、心臓が拡張してもっとも低くなったときの値が「拡張期血圧(最低血圧)」です。
 病院受診時の血圧測定で最高血圧が140mmHg以上、あるいは最低血圧が90mmHg以上のとき、また、家庭で血圧を測定した場合、最高血圧が135mmHg以上、あるいは最低血圧が85mmHg以上のときに高血圧と診断されます。
 高血圧そのものにはほとんど症状がないため、自分が高血圧であるという自覚のないまま放置される場合も少なくありません。しかし、高血圧の状態が続くと、血管の壁は常に張りつめた状態になり、だんだん厚く、しかも硬くなっていきます。これが高血圧による動脈硬化(どうみゃくこうか)という状態です。これは大きい血管にも小さい血管にもおこり、脳出血や脳梗塞(のうこうそく)、大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)、腎硬化症(じんこうかしょう)、心筋梗塞(しんきんこうそく)眼底出血(がんていしゅっけつ)などを引きおこす原因になります。
 また、心臓は高い血圧を維持することを強いられるため、心臓の筋肉(心筋)が厚くなる心肥大となり、最終的には心臓の機能を損なう危険性もあります。
 こうした合併症を予防するため、血圧を適正な値に戻すことが重要です。高血圧は自覚症状を伴わないので、定期的な健康診断などによって早期に発見することが大切です。

●病気の原因や症状がおこってくるしくみ
 高血圧には、ホルモンの異常など、何らかの病気が基礎にあっておこる「二次性高血圧」と、原因を特定できない「本態性(ほんたいせい)高血圧」の2種類があり、わが国では高血圧の9割以上が本態性高血圧です。
 二次性高血圧では、「腎実質性(じんじっしつせい)高血圧」「腎血管性(じんけっかんせい)高血圧」など腎臓に関連した高血圧と、「原発性アルドステロン症」「クッシング症候群」「褐色細胞腫」など、内分泌系(ないぶんぴつけい)の病気によるものの頻度が高くなっています。これらのように原因のはっきりした高血圧は、まず、その病気自体の治療を行います。
 本態性高血圧は原因を特定できないものですが、体質(遺伝)や肥満をはじめ、塩分のとりすぎ、お酒ののみすぎ、運動不足といった生活習慣が大きくかかわっていると考えられています。そのため、治療においては生活習慣の改善が重要な位置を占めます。

●病気の特徴
 2010年に厚生労働省が発表した「国民健康・栄養調査」によると、30歳以上の日本人男性の60パーセント、女性の45パーセントが高血圧(収縮期血圧140mmHg以上、または拡張期血圧90mmHg以上、または降圧薬服用中)と判定されており、高血圧の有病率はおよそ4300万人と推計されています。

●診断と分類
 日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2014」では、高血圧は血圧の値によって軽症のものから「Ⅰ度高血圧」「Ⅱ度高血圧」「Ⅲ度高血圧」に分類しています。また、収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg未満は収縮期高血圧と分類し、正常値血圧は理想的な血圧である「至適血圧」と、高血圧に近い「正常高値血圧」、その中間の「正常血圧」の3段階に分類しています。


よく行われている治療とケアをEBMでチェック

[治療とケア]高血圧の原因を探す
[評価]☆☆
[評価のポイント] 腎臓や内分泌系の病気、薬剤などが原因で高血圧になっている場合は、その原因への対応が優先されます。原因がはっきりしない本態性高血圧との鑑別は重要です。臨床研究は見あたりませんが、専門家の意見や経験から支持されています。

[治療とケア]高血圧をひきおこす病気を見つけた場合はそれを治療する
[評価]☆☆
[評価のポイント] 高血圧の原因になっている病気の治療を行うことは、専門家の意見や経験から支持されています。

[治療とケア]本態性高血圧の場合は高血圧以外の動脈硬化を促進する要因がないかを検討する
[評価]☆☆
[評価のポイント] 動脈硬化を促進する要因には、喫煙や脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病などがあります。これらの危険因子がある場合は、軽症の高血圧であっても動脈硬化が進行する危険性が高くなるため、経過観察や薬物療法が早期に必要になる場合があります。これらのことは専門家の意見や経験から支持されています。

■本態性高血圧の場合は軽症、重症にかかわらず生活習慣の改善を行う
[治療とケア]塩分を制限する
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 食塩の過剰摂取は血圧を上昇させ、減塩すると血圧は低下します。これは非常に信頼性の高い臨床研究によって確認されています。「高血圧治療ガイドライン2014」では、食塩摂取量の目標値を1日6グラム未満としています。(1)(2)

[治療とケア]肥満の場合は減量する
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 肥満は血圧を上昇させます。このため、BMI25(BMI:体重(キログラム)÷身長(メートル)の2乗)を目標に減量します。肥満を解消すると血圧が低下することは、非常に信頼性の高い臨床研究によって確認されています。目標の減量ができなくても、4キログラム前後の減量で血圧は明らかに低下することが確認されています。(3)

[治療とケア]お酒は適量に節酒する
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 少量の飲酒は心血管を保護するというデータはありますが、過剰な飲酒は血圧を上昇させます。男性の1日あたりの適切な飲酒量は、ビール中瓶1本、日本酒約1合くらいであると考えられ、女性はその半量が目安です。このことは非常に信頼性の高い臨床研究によって確認されています。(4)(5)

[治療とケア]脂肪(とくに動物性)のとりすぎに注意する
[評価]☆☆
[評価のポイント] 動物性脂肪に含まれるコレステロールや飽和脂肪酸は、動脈硬化を促進する危険因子なので、とりすぎないよう注意が必要です。高血圧に脂質異常症を合併している場合は、コレステロール値を適正に保つようにします。このことは専門家の意見や経験によって支持されています。

[治療とケア]適度な運動をする
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 適度な運動を続けると血圧が低下することは非常に信頼性の高い臨床研究によって確認されています。適度な運動によって体重は適正にコントロールされ、健康状態はよりよい状態に保たれます。ウォーキングなどの有酸素運動を1回10分以上、合計1日30分以上行うことが推奨されています。ただしⅡ度以上の高血圧の患者さんでは、過剰な運動により血圧が上昇する危険があるので、事前に医療従事者による安全の確認が必要です。(6)

[治療とケア]禁煙する
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] 喫煙は動脈硬化を促進する危険因子なので、禁煙が推奨されています。(7)

 



[治療とケア]生活改善で効果がみられない場合は薬物療法を行う
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 「高血圧治療ガイドライン2014」に沿った食事の改善や運動の習慣化によっても血圧が目標値まで下がらなかった場合や、動脈硬化が進行している可能性が高い場合は、薬物療法を開始します。これは非常に信頼性の高い臨床研究によって効果が確認されています。(1)

[治療とケア]定期的な血圧測定を行う
[評価]☆☆
[評価のポイント] 血圧は家庭および医療機関で定期的に測定し、その状態に合わせて、食事や運動の方法、薬物療法の開始時期などの修正を行います。このことは専門家の意見や経験によって支持されています。

[治療とケア]血圧を上昇させる作用のある薬を服用していないかチェックする
[評価]☆☆
[評価のポイント] 糖質コルチコイド、グリチルリチン、一部の漢方薬、エストロゲン、非ステロイド抗炎症薬などは血圧を上昇させることがあります。服薬によって血圧が上昇している可能性がないかをチェックします。このことは専門家の意見や経験によって支持されています。


よく使われている薬をEBMでチェック

カルシウム拮抗薬
[薬名]アムロジン/ノルバスク(アムロジピンベシル酸塩)(1)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]アダラート(ニフェジピン)(1)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]コニール(ベニジピン塩酸塩)(1)
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] カルシウム拮抗薬の血圧を下げる効果は、非常に信頼性の高い臨床研究で確認されています。血圧を下げる効果にすぐれ、適応範囲が広く、日本ではもっとも使われている薬です。カルシウム拮抗薬には数種類あり、効果の程度と効果が持続している時間に差があり、症状に応じて使い分けられます。心不全の患者さんには慎重に投与すべきとされています。

ACE阻害薬
[薬名]タナトリル(イミダプリル塩酸塩)(8)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]コバシル(ペリンドプリルエルブミン)(8)
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] ACE阻害薬の血圧を下げる効果は、非常に信頼性の高い臨床研究で確認されています。心筋梗塞の二次予防や糖尿病を合併した慢性腎臓病の患者さんの血圧管理に対しては、もっとも推奨されている薬剤です。20~30パーセントの人に咳がでるのが難点です。

AⅡ受容体拮抗薬(ARB)
[薬名]ニューロタン(ロサルタンカリウム)(8)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]ブロプレス(カンデサルタンシレキシチル)(8)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]アジルバ(アジルサルタン)(8)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]オルメテック(オルメサルタンメドキソミル)(8)
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] AⅡ受容体拮抗薬の血圧を下げる効果は、非常に信頼性の高い臨床研究で確認されています。ACE阻害薬と同様に糖尿病を合併した慢性腎臓病の患者さんに推奨されています。咳の副作用がないのが特徴です。

サイアザイド系利尿薬
[薬名]フルイトラン(トリクロルメチアジド)(9)(10)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]ナトリックス(インダパミド)(9)(10)
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 「高血圧治療ガイドライン2014」によれば、高血圧の薬物療法では、利尿薬は第一選択薬の一つに位置づけられています。心不全の改善、脳梗塞や脳出血などの予防効果も明らかになっています。しかし、利尿薬は低カリウム血症、高尿酸血症、脂質異常症の危険性や糖尿病の悪化といった副作用があり、日本ではそれほど頻繁には使われていません。

β遮断薬
[薬名]テノーミン(アテノロール)(1)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]アーチスト(カルベジロール)(1)
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] β遮断薬の血圧を下げる効果は、非常に信頼性の高い臨床研究で確認されています。心筋梗塞や狭心症や頻脈がある患者さんの高血圧に使われます。「高血圧治療ガイドライン2014」では、こうした病気をもたない患者さんの高血圧に対しては第一選択薬ではなくなりました。副作用としては徐脈(脈が遅くなる)、心ブロック(心臓のリズム障害)、ぜんそくの悪化などが挙げられます。


総合的に見て現在もっとも確かな治療法
生命を左右する危険な病気を招く高血圧
 高血圧は、血圧が高いことそれ自体より、長年血圧が高い状態が続いてしまうと動脈の壁に動脈硬化による変化が現れ、血管がつまったり、破れたりすることで深刻な病気を招く危険性が高まることがより重要な問題です。すなわち、動脈硬化によって引きおこされ得る病気を防ぐためにも、血圧をあるレベルまで下げる必要があるのです。したがって、高血圧の患者さんでは、高血圧以外の動脈硬化を促進する要因(喫煙、脂質異常症、糖尿病、肥満など)があるかどうかに配慮することが、非常に重要になります。

生活習慣の改善から治療を開始する
 わが国を含め、先進諸国にとって高血圧は重大な問題であり、長年にわたって非常に多くの信頼性の高い研究が行われてきました。そのため、高血圧はもっとも信頼できる根拠に基づいて治療ができる病気の一つです。
 治療は、生活習慣の改善から開始されます。塩分をひかえる、肥満を解消する、アルコールをひかえる、禁煙するといったことを、一定期間実行しても血圧が目標値まで下がらなかった場合や、高血圧以外の動脈硬化を促進する要因を複数もっている患者さんには、薬物療法が開始されます。

血圧を下げる薬はどれも効果が確認されている
 現在、医療現場ではたくさんの種類の降圧薬が使用されています。
 日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2014」ではカルシウム拮抗薬、AⅡ受容体拮抗薬(ARB)、ACE阻害薬、少量の利尿薬、β遮断薬を主要な降圧薬と位置づけ、患者さんの年齢や合併症に応じた使用を推奨しています。
 動脈硬化の予防を徹底するためには、血圧のコントロール以外にも、脂質異常症の改善(LDLコレステロールを上げない食事、薬物療法)、糖尿病のコントロール(適切なエネルギー量の食事、運動、薬物療法)、禁煙や体重の管理などの生活習慣の改善が治療として推奨されています。

(1)日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会編. 高血圧治療ガイドライン2014. 東京, 日本高血圧学会, 2014.
(2)Espeland MA, Whelton PK, Kostis JB, et al. TONE Cooperative Research Group. Predictors and mediators of successful long term withdrawal from antihypertensive medications. Arch Fam Med. 1999;8:228-236.
(3)Siebenhofer A, Jeitler K, Berghold A, et al. Long term effects of weight reducing diets in hypertensive patients. Cochrane Database Syst Rev. 2011;CD008274.
(4)Nakamura K, Okamura T, Hayakawa T,et al. NIPPON DATA90 Research Group. The proportion of individuals with alcohol induced hypertension among total hypertensives in a generalJapanese population: NIPPON DATA90. Hypertens Res. 2007;30:663-668.
(5)Xin X, He J, Frontini MG, et al. Effects of alcohol reduction on bloodpressure: a meta analysis of randomized controlled trials. Hypertension. 2001;38:1112-1117.
(6)Dickinson HO, Mason JM, Nicolson DJ, et al. Lifestyle interventions to reduce raised blood pressure: a systematic review of randomized controlled trials. J Hypertens. 2006;24:215-233.
(7)Krijnen P, van Jaarsveld BC, Steyerberg EW, et al. A clinical prediction rule for renal artery stenosis. Ann Intern Med. 1998;129:705-711.
(8)Turnbull F, Neal B, Pfeffer M, et al. Blood Pressure Lowering Treatment Trialists' Collaboration. Blood pressure dependent and independent effects of agents that inhibit the renin angiotensin system. J Hypertens. 2007;25:951-958.
(9)ALLHAT Officers and Coordinators for the ALL HAT Collaborative Research Group. The Antihypertensive and Lipid Lowering Treatment to Prevent Heart Attack Trial. Major outcomes in high risk hypertensive patients randomized to angiotensin converting enzyme inhibitor or calcium channel blocker vs diuretic: The Antihypertensive and Lipid Lowering Treatment to Prevent Heart Attack Trial (ALLHAT). JAMA. 2002;288:2981-2997.
(10)Sciarretta S, Palano F, Tocci G, et al. Volpe M.Antihypertensive treatment and development ofheart failure in hypertension: a Bayesian networkmeta analysis of studies in patients with hypertension and high cardiovascular risk. Arch Intern Med.2011;71:384-394.

出典:法研「EBM 正しい治療がわかる本」
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