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B型肝炎ウイルス【ビーガタカンエンウイルス】

デジタル大辞泉

ビーがたかんえん‐ウイルス【B型肝炎ウイルス】
B型肝炎の原因となる肝炎ウイルスDNAゲノムとするDNAウイルスで、血液・体液を介して感染する。思春期以降に感染した場合は一過性で終わることが多いが、免疫機能が未熟な乳幼児期に感染すると持続感染となることがある。HBV(hepatitis B virus)。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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栄養・生化学辞典

B型肝炎ウイルス
 ヘパドナウイルス科のDNAウイルスで,B型肝炎の原因ウイルス.

出典:朝倉書店
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内科学 第10版

B型肝炎ウイルス(肝炎ウイルス)
(2)B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus:HBV)
1)形態と構造:
HBVは,へパドナウイルス科に分類されている.HBV本体は直径42 nmの球状粒子で発見者の名を冠しDane粒子ともよばれる.直径27 nmのコア(core)粒子と,それを取り巻く厚さ7 nmのエンベロープ(envelope)の二重構造をとる.エンベロープは糖蛋白質と脂質からなり,HBs抗原とpre-S抗原からなる.コア粒子は表面にHBc抗原活性を有し,内部にゲノムDNAやDNAポリメラーゼ/逆転写酵素などが包まれている.
 HBVゲノムは,約3.2 kbpの環状2本鎖構造のDNAであるが,15~20%が1本鎖の不完全なものである(岡本ら,1991)(図9-2-1). マイナス鎖は,メッセンジャーRNAと相補的な塩基配列を有し,ゲノム全長をカバーし,翻訳可能な4つの読み取り枠が存在する.すなわち,エンベロープ蛋白をコードするpre-S領域/S遺伝子,コア蛋白と血中HBc抗原をコードするpre-C領域/C遺伝子,DNAポリメラーゼ/逆転写酵素をコードするP遺伝子,蛋白質リン酸化活性を有する蛋白をコードするX遺伝子である.X遺伝子を導入した遺伝子移入マウスに肝癌が高率に観察され,X遺伝子と肝発癌との関連が示唆されているがその詳細は不明である.
2)ゲノム産物:
HBV粒子のエンベロープ蛋白をコードするのがS遺伝子であり,S遺伝子の上流にpre-S1とpre-S2の領域がある.pre-S1にはヒト肝細胞への特異的な結合部位が,pre-S2にはポリアルブミン受容体が存在するがその意義は不明である. HBVのヌクレオカプシド(nucleocapsid)であるコア粒子を構築するコア蛋白の遺伝子がC遺伝子である.C遺伝子のすぐ上流にプレコア(precore:pre-C)領域が存在する.pre-C領域とC遺伝子より翻訳されてできる長いペプチドはHBe抗原の前駆体であり,プロセシングの過程で,可溶性のHBe抗原として血中に分泌される.pre-Cを欠くHBc抗原は細胞質内にとどまる.
3)ウイルスの複製:
HBVはDNAウイルスであるが,その複製に際し逆転写の過程を介するのが大きな特徴である.すなわち,環状2本鎖DNAからプレゲノムRNAが合成され,それを鋳型にして(-)鎖DNAが逆転写される.ついで,(-)鎖DNAを鋳型として(+)鎖DNAが合成され,環状2本鎖DNAになる.
4)HBs抗原のサブタイプとHBVのゲノタイプ:
HBs抗原に多様な抗原基が存在するが,共通抗原基はaとよばれる.亜型(サブタイプ)特異抗原基としてはd,y,w,rが知られている.これらはdとy,wとrは相互排他的に存在し,HBs抗原はadw,adr,ayw,ayrの少なくとも4つの主要な亜型に分類されるが臨床的意義は少ないため,最近ではHBVすべての遺伝子配列を分子進化学的に解析した遺伝子型(ゲノタイプ)に分けられている.現在世界的に10のゲノタイプが同定され,欧米ではA型とD型,東アジアではB型とC型,西アジアではA型とD型,アフリカではA型とD型,西アフリカではE型,中南米ではF型とH型が存在している.日本ではC型が85%,B型が12%と報告されている.臨床的に重要なことは,一般的にC型とD型は予後が不良,A型とB型は良好で,抗ウイルス療法に対する反応も,C型とD型は不良,A型とB型は良好であることがわかっている.
5)ゲノムの組み込み:
HBVゲノムの肝細胞内での存在様式は2種類ある.1つは宿主遺伝子とは独立して増殖する様式,もう1つは宿主遺伝子へ組み込まれた(integrated)存在様式である.肝細胞癌では,肝癌細胞遺伝子へのHBVゲノムの組み込みが高率にみられる.
6)病原性(感染様式):
わが国でのHBVの蔓延は,ほとんどの場合が母児感染によるもので,成人期での水平感染では,急性肝炎あるいは劇症肝炎などの一過性感染を起こし,慢性化する例はまれであったが,近年欧米に存在しているゲノタイプA型が性行為感染症として増加してきており,約8%前後慢性化してきているので,注意が必要である.
 日常の臨床の場において同じHBV持続感染者であっても,トランスアミナーゼの変動が激しく,早期に肝硬変に進行し,さらには肝細胞癌までに至る例と,トランスアミナーゼが正常を維持し病態がほとんど進行しない例が存在する.このように病態に大きく差が生じる原因は,いまだ明解な解答は得られていないが,ウイルス側の要因とそれに対する宿主の要因が大きく関与していると考えられる.近年そのウイルス側の要因として注目されているのがHBV遺伝子型であり,遺伝子型により異なった臨床病態が引き起こされることが明らかになってきている.宿主要因としてはHLA-DPやHLA-DQの関与が明らかになってきた.
7)ゲノムの変異と病態:
通常のDNAウイルスではDNA分子を複製するポリメラーゼ反応での誤りを修正する機構があるため,1塩基あたり年間変異率はきわめて低く,109個と想定されている.これに対し複製にRNAポリメラーゼや逆転写酵素が関与するHIVなどはそのような修正機構を欠き,核酸配列の変異率が高い.HBVはRNA複製中間体を介し,増殖するため,ゲノムDNAの変異率はかなり高く,HBV DNAの1塩基,1年間あたりの変異率は約10-5個と算定されている. 一般的に,HBV感染者が血清中にHBe抗原が認められるときは肝細胞内でHBVの増殖が活発に起こっていることを示し,慢性肝炎時には病態が進行することが多い.一方,HBe抗原陰性でHBe抗体陽性のときは肝細胞内でのHBVの増殖は抑えられており病態も安定していると考えられているが,HBe 抗体陽性慢性肝炎患者の約10~15% の症例でHBVの増殖が活発に起こっており,このような症例では病態は進行することに注意する必要がある.その原因として,HBe抗原産生に関与しているプレコア領域とコアプロモーター領域の遺伝子変異が関与しているが,それらの変異は各遺伝子型ごとに変異箇所やその頻度が異なっている.さらに,HBs領域の遺伝子変異によりHBワクチンが効かなくなるHBV escape変異株の存在も明らかにされている.このように,B型肝炎ではHBVの遺伝子変異が遺伝子型やそれに関与する病態に関与していることに注意する必要がある.[溝上雅史]
■文献
Hollinger FB, Ticehurst J: Hepatitis A virus. In: Virology, 2nd ed(Fields DM ed),pp631-670, Raven Press, New York, 1990.
加藤宣之,土方誠也:ウイルス複製と遺伝子発現,C型肝炎ウイルス.蛋白質核酸酵素,37(10月増刊号):2626-2632, 1992.
岡本宏明,真弓 忠:肝炎ウイルスと肝炎の発症機序,B型.最新内科学大系 48,ウイルス肝炎—肝感染症(井村裕夫,尾形悦郎,他編),pp12-39,中山書店,東京,1991.

出典:内科学 第10版
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