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E型肝炎【イーがたかんえん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

E型肝炎
イーがたかんえん
hepatitis E
飲み水などを介する経口感染型の肝炎亜熱帯から熱帯地域にかけての風土病で,衛生状態の悪い発展途上国で流行している。経口感染する肝炎としてはA型肝炎ウイルスを原因とするものがあるが,これとは異なるE型肝炎ウイルスが原因である。 1990年,アメリカ疾病管理センター CDCなどが原因ウイルスを特定することに成功し,その後の研究で球状粒子であることがわかった。発症後約1ヵ月で治癒するが,死亡率が1~2%とA型肝炎に比べ高い。特に妊婦では 20%にも及ぶとされており,ワクチンの開発が急務となっている。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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朝日新聞掲載「キーワード」

E型肝炎
HEVに汚染された水や食べ物から経口感染し、吐き気食欲不振などの症状が出る。通常は一過性で慢性化しないが、まれに劇症化し死亡することがある。約100年前に英国から輸入されたと一緒に国内に入ってきた可能性があるとの研究結果があり、シカ肉や豚レバーによる感染例や、輸血で感染した例も報告されている。加熱すると感染性を失う。
(2008-04-07 朝日新聞 夕刊 1総合)

出典:朝日新聞掲載「キーワード」

デジタル大辞泉

イーがた‐かんえん【E型肝炎】
E型肝炎ウイルスHEV)の感染によって引き起こされる急性ウイルス性肝炎。主として経口感染し、一過性で慢性化はしないが、まれに劇症化する。A型肝炎と同様に、感染者の糞便で汚染された水や食べ物を介して感染し、主に開発途上国で流行するが、日本や欧米などでもブタイノシシ・シカなどの生肉を介して感染することがある。A型肝炎とともに感染症法の4類感染症に指定されている。

出典:小学館
監修:松村明
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日本大百科全書(ニッポニカ)

E型肝炎
いーがたかんえん
hepatitis E
E型肝炎ウイルス(HEV:hepatitis E virus)に感染して発症する急性肝炎。A型肝炎に類似する肝炎で、A型肝炎ウイルス(HAV:hepatitis A virus)と同様に、糞便(ふんべん)や汚染された食物、飲料水などから経口感染する。2~10週間程度あるいはそれ以上の潜伏期間(平均6週間)を経て肝炎として発症し、流行性を示すことが多い。日本では50歳前後の中高年男性の発症が多く、高齢になるにつれて重症化する傾向がある。東南アジアや南アジア、中央アジア、中近東、中南米、アフリカなどの開発途上国に多く流行がみられる。日本ではほとんどがこれら地域への旅行者による輸入感染症とみられてきたが、近年になって野生のシカやイノシシの生肉を食べて感染した事例や、豚の生レバーからHEV遺伝子が検出されたという報告がある。症状としては黄疸(おうだん)のほか、発熱、倦怠(けんたい)感、悪心(おしん)・嘔吐(おうと)、腹痛、食欲不振、肝腫大(かんしゅだい)などが多くみられる。一般に4~8週で治癒し、慢性化することはない。ただし妊娠後期(第3期以降)の妊婦が罹患(りかん)すると重症化しやすく、劇症肝炎や肝不全を引き起こして死に至ることもある。感染の診断はE型肝炎ウイルス抗体の検出によるが、核酸増幅検査により血中E型肝炎ウイルスRNA(リボ核酸)を検出する方法が確実である。ほとんどは安静にすることにより治癒するが、急性期には対症療法しかない。[編集部]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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内科学 第10版

E型肝炎(急性ウイルス性肝炎)
(2)E型肝炎
概念
 約7400塩基の単鎖RNAをゲノムとしてもつ直径27~34 nmの無エンベロープ性で球状のE型肝炎ウイルス(科名Hepeviridae;属名Hepevirus;種名hepatitis E virus:HEV)によって惹起される肝炎がE型肝炎である.既知肝炎ウイルス中では唯一の人畜共通感染症である.
病態
 本ウイルスは,宿主の肝臓から糞便中に排出された後,食物・飲料水・手指などに混入ないし付着して他人の口中に入るという糞口感染様式(A型肝炎と同様)を取るため,E型肝炎はもっぱら衛生環境未整備の発展途上国の病気であると見なされてきた.特に熱帯・亜熱帯地方において,雨期の洪水により河川が氾濫を起こした後にその流域で集団発生することが頻発したので,本病はかつて「water-borne hepatitis」とよばれたこともある(感染経路については【⇨9-2-1)】). ヒトから分離されるHEVの遺伝子型は大別して4種あり,日本に土着しているのはHEV-3とHEV-4であるが,後者の方が明らかに病原性が高い.すなわち,急性肝炎重症型や劇症肝炎にはHEV-4が多く,不顕性感染にはHEV-3が多い.ヒト以外では,ブタ,イノシシ,シカ,マングース,ウサギ,ラットが感染宿主として知られている.
臨床症状
 男女比約4:1,平均年齢約50歳.典型的な場合には,発熱,倦怠感,黄疸を訴えて来院する.臨床症状や一般検査値からはA型肝炎と鑑別できない.劇症肝炎もある(インドなどでは妊婦に多いとされるが,わが国ではほとんどは男性で,高齢でかつHEV-4である).
診断
 急性期血清中にHEV RNAを証明することが最も確実な診断法である.抗体のみで確定診断するには,2ポイントで抗体力価の変動(すなわち「IgMは下がり,IgGは上がる」)をみるのが望ましいが,それには時間を要するので,現在の日本では簡便法としてIgA-HEV抗体(2011年に保険収載された)を初診時に測定することが一般に行われている.
治療・予防
 重症例にはインターフェロンやステロイドが使用されることもあるが,本症に対する特異的な治療法は未確立である.予防策としてのワクチンは,唯一2012年に中国で製造承認されたものがあるのみである.[三代俊治]

出典:内科学 第10版
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六訂版 家庭医学大全科

E型肝炎
イーがたかんえん
Hepatitis E
(感染症)

どんな感染症か

 E型肝炎ウイルス感染によって肝臓に炎症が生じ、肝細胞の破壊、肝機能の低下を示す病気です。通常、急性肝炎として発症・治癒し、慢性化することはありませんが、近年、臓器移植後のレシピエント(臓器受領者)という限られた症例において慢性化し肝硬変へ進展する場合があることが報告されています。

 主には、ウイルスに汚染された水や食品を飲食することにより感染します。本疾患は、アジアやアフリカなどの衛生環境不良な発展途上国で流行する急性肝炎であり、先進国では、発展途上国への旅行者が持ち帰る感染症と考えられてきました。

 しかし、渡航歴のないE型肝炎症例の解析などから、日本にすみ着いたウイルスが存在すること、ブタ、イノシシ、シカなどの肉やレバーを生で食べることにより感染すること、輸血による感染も存在することなどが近年明らかにされてきています。

 感染症法上、届け出対象となっており、年間40~70例の発症が報告されています。

症状の現れ方

 感染後、2~9週間(平均6週間)の潜伏期間をおいて、発熱、倦怠感(けんたいかん)、食欲低下、吐き気、腹痛などの消化器症状を示し、血液検査上、肝細胞の破壊を示す肝酵素の上昇、肝機能低下による黄疸(おうだん)が出現します。

 通常、1~2カ月の経過で完治しますが、まれに重症化、劇症化することがあり、1~2%の死亡率を示します。また、妊娠後期に感染すると劇症化率が高いという特徴をもち、死亡率が20%に達します。

検査と診断

 急性肝炎の診断は、血液検査において肝酵素が急激に上昇することによります。ウイルス感染初期にのみ出現するIgM型やIgA型のE型肝炎ウイルス抗体ないしE型肝炎ウイルスの遺伝子が検出されれば、E型急性肝炎と診断されます。

治療の方法

 E型肝炎特有の治療法はなく、急性期には入院、安静臥床を原則とし、自然治癒を待ちます。劇症化した場合は、それに応じた治療が行われます。食欲がなく経口摂取不能な場合は、ブドウ糖、ビタミンなどの輸液が行われます。なお、感染予防のためのワクチンはいまだ開発されていません。

病気に気づいたらどうする

 発症前後の糞便にはウイルスが排出されるため、家庭内では手洗いを念入りにして排便後の衛生管理に注意を払う必要があります。

新井 雅裕, 三代 俊治

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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