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HIVウイルスの寛解【えいちあいぶいういるすのかんかい】

知恵蔵

HIVウイルスの寛解
ヒト免疫不全ウイルス(HIV:Human Immunodeficiency Virus)に感染した患者から、ウイルスが長期間検出されなくなること。
HIVは、後天性免疫不全症候群(AIDS:Acquired Immunodeficiency Syndrome)の原因となるウイルス。HIV感染症は、治療薬や治療法の進歩により感染者の予後が飛躍的に向上している。HIV感染症と早期に診断され、標準的な治療を継続していくことができれば、ウイルスの増殖を抑えAIDSの発症を遅らせることが可能となり、平均余命は非感染者と大きく変わることはなくなってきている。
しかし、治療を中断するとウイルスの活性化が起こり、AIDS発症に至る。HIV感染者は治療薬を飲み続けなければならず、治療薬により完全にHIVウイルスを駆逐することはいまだ難しい状況にある。
2019年3月、HIVに感染している男性が、造血幹細胞を含む骨髄移植後にウイルスが体内から検出されない「持続的寛解」となったという報告が、科学誌「Nature」に掲載された。
この男性は、12年に悪性リンパ腫の一種、ホジキンリンパ腫と診断され、その治療のために16年に骨髄移植を受けた。その後、患者からはHIVが検出されなくなり、17年9月からは抗HIV薬の服用を中止した。この患者の寛解は、18カ月に達しているという。
骨髄移植を受けてHIV感染が寛解した事例は、世界で2例目である。1例目は10年ほど前に報告された患者で、白血病で骨髄移植を受けたところ、体内からHIVが消えたという。
この2例に共通するのが、骨髄を提供したドナーのCD4陽性リンパ球細胞の中にある受容体CCR5が変異していたことだ。
HIVは免疫の中心的な役割を担うリンパ球などに感染し、免疫系を徐々に破壊することでAIDSを発症し、日和見感染症などを引き起こす。HIVがリンパ球などに感染するためには、まずリンパ球の表面にあるCD4という第1の受容体と結合し、次にCCR5という第2の受容体と結合する。これらはHIVの表面の分子と、鍵と鍵穴の関係にあるため、CCR5が変異しているとHIVは感染することができない。
男性同性愛者や性産業従事者といったHIV感染リスクが高い人の中でHIV感染を免れている人々が存在することや、HIVに感染しているにもかかわらず、長期間にわたってAIDSの発症を免れている人の存在は以前から知られており、CCR5の変異など遺伝的な要因の関わりが強く示唆されていた。
(星野美穂 フリーライター/2019年)

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

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