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IgA腎症【アイジーエーじんしょう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

IgA腎症
アイジーエーじんしょう
膜性腎炎一種。以前から膜性腎炎の一部として慢性腎炎と呼ばれていたものが,はっきり認知されるようになったもの。膜性腎炎は蛋白尿が主症状だが,IgA腎症では血尿がみられる。 40歳以上に多く現れる膜性腎炎に比べて若い人に多いが,進行がゆるやかなため早期発見がされにくく,見つかったときには症状が悪化している場合が多い。予防および早期発見には定期的に尿検査を受けることが大切である。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

アイジーエー‐じんしょう〔‐ジンシヤウ〕【IgA腎症】
IgA Nephropathy腎臓糸球体にIgAという免疫グロブリン抗体)が沈着することで起こる慢性腎炎

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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家庭医学館

あいじーえーじんしょう【IgA腎症 IgA Nephropathy】
[どんな病気か]
 IgA腎症は、日本では、糸球体(しきゅうたい)そのものの病変が原因(原発性(げんぱつせい))である糸球体の病気のなかで、もっとも多いものです。
 以前は、この病気の経過はよく、腎臓(じんぞう)のはたらきが低下することは少ないと考えられていました。
 しかし現在では、かならずしもそうではなく、末期的な腎不全(じんふぜん)におちいる場合もかなりあることがわかってきました。
[原因]
 IgA腎症がどのようにしておこるのか、よくわかってはいません。
 しかし、糸球体に免疫(めんえき)グロブリン(抗体(こうたい)や抗体に類似したたんぱく質)の一種であるIgAが沈着していること、また血液中のIgAの値が約半数の患者さんで高くなっていることから、なんらかの原因で、からだの中で産生されたIgAが糸球体に沈着して、糸球体腎炎をおこすと考えられます。
[症状]
 「IgA腎症の診断基準」は、IgA腎症と診断するときの基準になるものです。大部分の場合、無症候性(自覚症状がない)で、偶然、たんぱく尿または血尿(けつにょう)、あるいはその両方が見つかって発見されます。
 また、かぜの後、突然に肉眼的血尿(真っ赤な尿)がみられることもありますが、それもたいていは数日でみられなくなります。
 まれに、たんぱく尿や血尿とともに高血圧やむくみ、腎臓の機能低下をともない、急性に発病することもあります(急性腎炎症候群(きゅうせいじんえんしょうこうぐん)として現われる)。
[治療]
 たんぱく尿の量、血圧の測定、腎臓の機能の検査を行ない、病状が安定している場合は、一般的には特別な治療は必要ありません。
 臨床症状は、無症候性(むしょうこうせい)たんぱく尿(にょう)・血尿症候群(けつにょうしょうこうぐん)(「無症候性たんぱく尿/血尿症候群」)、急速進行性腎炎症候群(きゅうそくしんこうせいじんえんしょうこうぐん)(「急速進行性腎炎症候群」)、急性腎炎症候群(「急性腎炎症候群」)、慢性腎炎症候群(まんせいじんえんしょうこうぐん)(「慢性腎炎症候群」)、ネフローゼ症候群(「ネフローゼ症候群」)のどれかとして現われます。ですから、その状態に応じて治療、対処することが必要です。
 IgA腎症の長期的な経過をみると、約50%の人が、無症候性たんぱく尿・血尿症候群のままですが、残りの50%は病状が進行します。
 そのうちの25%は、たんぱく尿の悪化をともないながら、徐々に腎臓の機能が低下し、10~20年後には末期腎不全(まっきじんふぜん)におちいります。
 残りの25%は、徐々に腎臓のはたらきが悪くはなりますが、10~20年たっても慢性腎炎症候群の病像のままで、ある程度腎臓の機能に障害が出たとしても、末期的な腎不全にはなりません。

出典:小学館
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日本大百科全書(ニッポニカ)

IgA腎症
あいじーえーじんしょう

糸球体腎炎のうち、免疫グロブリンの一つであるIgA(免疫グロブリンA)の糸球体への沈着により起こるとされる慢性病。糸球体自体から発生する原発性糸球体腎炎のなかではもっとも頻度の高い疾患で、最初に報告したフランスの病理学者の名を冠してベルジェ病ともよばれる。IgAは、体外から侵入する抗原をとらえて攻撃する抗体で、攻撃対象の抗原として細菌やウイルスあるいはタンパクなどが指摘されているが、詳しくはまだ明らかになっていない。自覚症状のないまま経過しゆるやかに腎不全に移行していくことが多いが、一方で血尿がみいだされたとしてもそのまま自然に治ってしまうことも珍しくない。発症原因は不明な点が多く、腎臓にとどまらない全身性疾患も示唆されており、またこの疾患が多い家系も報告され、家族性素因も指摘されている。確立された治療法もないが、炎症に対しては薬物治療が有効とされる場合がある。日本では新たに指定難病に加えられ2015年(平成27)から助成対象となった。

[編集部]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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内科学 第10版

IgA腎症(原発性糸球体疾患)
定義・概念
 IgA腎症は1968年,Bergerにより提唱された疾患概念である.糸球体メサンギウム領域へのIgAの優位な沈着を特徴とするメサンギウム増殖性腎炎である.臨床的には緩慢な経過をとる典型的な慢性糸球体腎炎の1つである.
原因・病因
 本症は従来,何らかの抗原(細菌・ウイルス,食物,自己抗原など)とIgA抗体で形成される免疫複合体が腎に沈着して発症すると考えられてきた.しかし,沈着IgAが特定の抗原に対する抗体であるという確証はえられていない.
 IgA1サブタイプのヒンジ部は血清蛋白としてきわめてまれなO結合型糖鎖をもつが,近年,この糖鎖構造の異常によるIgA凝集や異常糖鎖に対する抗体産生などが糸球体IgA沈着に関与する機序が示唆されている.
 近年の自然免疫の概念から非特異的な免疫刺激が本症の発症進展に関与する可能性も検討されている.
疫学
 わが国では慢性糸球体腎炎のうち成人で30%以上,小児で20%以上を占めている.2009年施行の全国アンケートでは腎生検症例の32(±5)%を本症が占めると推測された.わが国では明らかな男女差はないが,海外でやや男性が多い.すべての年齢層にわたって発症するが,腎生検時の年齢分布は10歳代が最も多く,40歳代前半にもう1つ小ピークを認める.
 本症の発症頻度は地域差があり,わが国を含めアジア太平洋地域や南欧諸国では本症が多発し,北米・北欧では比較的少ないといわれてきた.本症は自覚症状が少なく,各国の健診制度の整備状況や腎生検の適応などによっても発症頻度は左右される.一方,米国ではアフリカ系人種ではまれだが,白人ではまれでなく,先住民族では高頻度であることが判明した.これら人種間の差異とともに,家族内発生例や関連する遺伝子の報告もあり,遺伝的素因の存在が想定されている.
病理
 光顕上,メサンギウム領域の基質の増加と細胞増殖が主体のメサンギウム増殖性腎炎を呈する.またパラメンサンギウム領域の半球状の沈着物をみることがあるが,本症に特異性が高い.その他半月体,分節性・全節性糸球体硬化像などがみられる(図11-3-16).本症は進行過程で個々の糸球体で正常・軽症から重症病変が同一症例でみられ(空間的多彩),さらに細胞増生などの急性病変から硬化像などの慢性病変まで時間的にも多彩な病変をみることが特徴である.蛍光または酵素抗体法所見では光顕所見と対照的にびまん性にメサンギウム領域にIgA(特にIgA1サブタイプ)の顆粒状沈着が観察され(図11-3-16,右下),確定診断の根拠となる.また90%以上に補体C3が陽性である.IgMは約半数,IgGは約20%の陽性率でIgAに較べ沈着強度も弱い.補体C1q,C4は通常陰性である.
臨床症状
 本症の多くが無症候性で持続的な顕微鏡的血尿と蛋白尿(無症候性血尿・蛋白尿)を呈する.ときに急性腎炎様の症状やネフローゼ症候群を呈するが,特に大人はまれである.上気道炎などの感染症状直後(3日以内)に肉眼的血尿を観る例があるがこれは本症に特徴的である.
 わが国では,健診時の検尿で偶然に発見される血尿・蛋白尿(chance hematuria and/or proteinuria)が多く,発見の約70%を占める.肉眼的血尿やネフローゼ症候群などの症候による発見率はそれぞれ約10%と3%である.
検査成績
 本症では持続的顕微鏡的血尿が唯一の必発所見である.蛋白尿は軽症では陰性~間欠的,中~高度だと持続的蛋白尿となる.1 g/日以上の持続は進行性で腎機能低下をきたす.血液検査上,血清IgA値が約半数で有意な高値(315 mg/dL以上)をとる.
診断
 本疾患の確定診断には腎生検が必須である.生検所見からは診断(IgA優位の沈着)に加え,組織障害度・活動性から予後判定,治療方針の決定もなされきわめて有用である.臨床的には,健診などでの持続的血尿・蛋白尿の病歴,上気道感染直後のコカコーラ様の尿(肉眼的血尿)の有無が重要である.
 本症で①必発所見はメサンギウム領域のIgA沈着と持続性顕微鏡的血尿,②頻発所見は蛋白尿と血清IgA値増加,③偶発所見は肉眼的血尿である.
鑑別診断
 紫斑病性腎炎(Henoch-Schönlein purpura:HSP)腎炎),MRSA関連腎炎,慢性肝疾患,ループス腎炎なども糸球体にIgA沈着をみ,鑑別診断を必要とする.特にHSP腎炎は優位なIgA沈着を伴うメサンギウム増殖性腎炎を呈し,組織学的な鑑別は困難である.小児に好発し,全身症状(下肢紫斑,関節炎,腹痛・消化管出血)の有無が鑑別に重要だが,腎炎が全身症状より先行する場合もある.腎炎の経過は一般にIgA腎症より急峻である.MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)関連腎炎は多くはMRSA菌血症/敗血症罹患後10週以内に発症する.しばしば紫斑を伴うので,IgA腎症とともにHSP腎炎との鑑別も重要である.鑑別点として多くは重大な基礎疾患をもつ高齢者に多く,MRSAの日和見感染が契機となる.慢性肝疾患も二次的にIgA沈着をみるが腎障害に先行する肝機能障害の存在が鑑別点となる.ループス腎炎の診断は全身性エリテマトーデスの診断基準(他項参照)に準ずる.腎組織はIgG沈着がより優位で補体はC3に加えC1q,C4も沈着する.
 肉眼的血尿をみた場合,急性腎炎,急速進行性腎炎,泌尿器系疾患などの鑑別が必要となる.代表的な急性腎炎である溶連菌感染後急性糸球体腎炎では上気道炎などの感染後1~2週の潜伏期を経て発症し,低補体とASO上昇をみる.急速進行性腎炎のpauci-immune型では抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)陽性で発熱,関節痛,紫斑,末梢神経症状などを伴うことが多い.泌尿器系疾患では尿沈渣上非糸球体性赤血球をみる.
経過・予後
 本症は10年で15%,20年で約40%が末期腎不全に陥る.予後規定因子は①組織重症度,②高度蛋白尿(1 g/日以上持続)③高血圧,④腎機能低下,⑤高年齢などである.
 近年,わが国で,半月体と硬化性病変をもつ糸球体の全糸球体に占める割合(%)から組織学的重症度 (histological grade)が分類された.また蛋白尿と腎機能(eGFR)から臨床的重症度 (clinical grade)も分類され,この2つの重症度分類から本症の透析導入リスクが層別化された(表11-3-6)(IgA腎症診療指針第3版).一方,オックスフォード国際分類では,①メサンギウム細胞増殖,②分節性糸球体硬化,③管内細胞増殖,④間質線維化と尿細管萎縮が予後関連因子として呈示された.
治療
1)生活・食事指導:
本症は慢性腎臓病(CKD)の主要疾患の1つで原則,各CKDステージ分類に従い指導する【⇨11-2】.本症での透析導入リスク(表11-3-6)に従い,運動量,蛋白(1.0→0.6 g/kg)・食塩摂取(過剰摂取禁→6 g/日未満)の制限を厳しくする.各リスク群で共通することは禁煙,適正な飲酒量指導と体重管理で,特に重要なことは定期的(1回/1〜3カ月)な専門医への受診を習慣づけることで尿所見,血圧,腎機能などの経過観察で他のリスク群への移行がないか確認する.
2)扁桃摘出術:
本症で扁桃炎などの上気道炎後に尿所見悪化や肉眼的血尿をみるため,古くから扁桃摘出術が行われてきた.近年,長期予後でその効果がわが国より報告されたが,海外から否定論文もあり世界的には普及していない.
3)薬物療法:
a)抗血小板薬,抗凝固薬:抗血小板薬は軽症例から本症に広く用いられている.半月体やBowman嚢との癒着,細胞増生が目立つ場合,ワルファリンやヘパリンによる抗凝固療法も考慮される.
b)レニン-アンジオテンシン(RA)系阻害薬【⇨11-2】:腎保護効果(糸球体内圧低下作用)のあるRA系阻害薬はIgA腎症にも第一選択薬である.ただし急激なCr上昇や高カリウム血症に注意する.血圧目標はCKDに準じ130/80 mmHg未満とし(蛋白尿が1 g/日以上なら125/75未満),降圧不十分ならば降圧利尿薬,Ca拮抗薬などを併用する.
c)経口ステロイドと免疫抑制薬:ステロイド,シクロホスファミド,アザチオプリン,ミゾリビンなどが試みられ,一定の効果が報告されている.
4)扁桃摘出術とステロイド大量療法(ステロイドパルス):
本治療で尿所見の正常化例が多数報告され,寛解導入可能な治療法としてわが国で定着してきた.ステロイドパルス(メチルプレドニゾロン0.5〜1 g/日)は一般に扁摘後1カ月以内に開始される.1クール3日間で,施設により1~4クール行われ,後療法として半年~1年経口ステロイドが投与される.[比企能之]
■文献
IgA腎症研究会編:IgA腎症の基礎と臨床.東京医学社,東京,2007.
富野康日己,川村哲也編:IgA腎症診療ガイド Q&A. 診断と治療社,東京,2011.

出典:内科学 第10版
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六訂版 家庭医学大全科

IgA腎症
(子どもの病気)

 IgA腎症は学校検尿で発見される腎炎やネフローゼ症候群のなかで最も多くみられ、小児における慢性糸球体腎炎(しきゅうたいじんえん)の半数を占めます。臨床症状はほとんどなく、学校検尿で偶然に発見されることが多いのですが、ネフローゼ症候群や慢性腎不全として見つかることもあります。

 小児では小学校高学年に発症のピークがあり、6歳以下ではまれです。扁桃腺炎(へんとうせんえん)などの感染を契機に肉眼的血尿(コーラ色の尿)がみられることがありますが、このような肉眼的血尿の80%はIgA腎症が原因です。

 腎生検による病理組織で確定診断します。以前は小児期のうちに、10~15%が腎不全に移行しましたが、近年は副腎皮質ステロイド薬やACE阻害薬などを用いる治療の進歩により、小児期に腎不全に至る例はかなり減少しました。しかし、依然として小児期IgA腎症の50~80%は成人してからも症状が持続します(キャリーオーバー)。

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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