@niftyトップ

辞書、事典、用語解説などを検索できる無料サービスです。

RNA干渉【RNAかんしょう/あーるえぬえーかんしょう】

知恵蔵

RNA干渉
二本鎖RNAが、特定の遺伝子の発現を抑制する現象。1998年に発見された。標的とする遺伝子と塩基配列が同じ二本鎖RNAを細胞内に導入すると、ダイサーと呼ばれる酵素によって分解され、低分子の二本鎖RNAとなる。この小さな二本鎖RNAが、標的遺伝子から合成されたmRNA(リボソーム)に結合し、mRNAが特異的に分解されて、遺伝子の発現が抑制される。RNA干渉の技術を用いると、特定の遺伝子の機能が未知の場合に、その遺伝子の機能を調べることができる。これは遺伝子ノックアウト法(トランスジェニックマウス/ノックアウトマウス)の簡便な手法となる。遺伝病やウイルス病などの治療では、病因遺伝子の発現を抑制する遺伝子治療の手法としても用いることができる。
(川口啓明 科学ジャーナリスト / 菊地昌子 科学ジャーナリスト / 2007年)

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

朝日新聞掲載「キーワード」

RNA干渉
人工合成した短い2本鎖RNA(siRNA)を利用し、遺伝子の働きを抑える技術。遺伝子を構成する核のDNAからは遺伝情報が伝令RNA(mRNA)として写し取られ、これをもとに細胞質でたんぱく質などが合成される。狙った遺伝情報とかみ合う配列を持たせたsiRNAを細胞内へ入れると、1本鎖になって対応するmRNAを捕らえて壊し、たんぱく質を作れなくする。98年、こうした仕組みが線虫で発見され、01年に哺乳(ほにゅう)類でも活用できるとわかった。
(2006-09-29 朝日新聞 夕刊 科学1)

出典:朝日新聞掲載「キーワード」

デジタル大辞泉

アールエヌエー‐かんしょう〔‐カンセフ〕【RNA干渉】
伝令RNAと相補的なRNAが細胞内に導入することにより、伝令RNAが遺伝情報を翻訳してたんぱく質を合成する過程を阻害し、遺伝子の発現を抑制すること。この現象を薬剤に応用するRNA干渉薬の研究が進められている。米国の生物学者A=ファイアーとC=メローが同現象を発見し、2006年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。RNAi

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)

RNA干渉
あーるえぬえーかんしょう
RNA interference
mRNA(メッセンジャーRNA)と相補的なRNA(アンチセンスRNA、antisense RNA)を細胞内に導入し、mRNAと相補的な2本鎖をつくらせ、翻訳(RNAの塩基配列をタンパク質のアミノ酸配列に変換する操作)を阻害する現象。RNAiと略記される。
 1984年にアメリカのワイントラウブHarold Weintraub(1945―1995)によって、培養細胞に導入したアンチセンスRNAの効果を示した論文が発表され、その後、広く行われるようになった。実際、細胞内で転写されたアンチセンスRNAが、プラスミドDNAの複製を調節する例は富沢純一(1924―2017)らにより発見され、また、水野猛(みずのたけし)(1949― )と井上正順(いのうえまさより)(1934― )の研究グループによって低分子RNA(マイクロRNA)によりmRNAの翻訳が調節される例も示された。その後、大腸菌では17種類ほどこのような活性を示すRNAが発見されている。技術的に使われるRNAiは、おもにマイクロRNAと同様の原理によるものが多く、抑制したいと思う遺伝子と相補的な20~30ヌクレオチドのRNAを人為的に合成し、細胞に取り込ませて、その遺伝子の翻訳を阻害するものである。ここで使われるRNAをsiRNA(small interfering RNA)とよぶ。siRNAは細胞に取り込まれると標的とした遺伝子から転写されたmRNAと2本鎖を形成し、ダイサーdicer(RNA分解酵素)によりmRNAが分解される場合と、マイクロRNAと同様にRISC(リスク)(RNA induced silencing complex、RNAタンパク複合体)を形成し、mRNAからの翻訳を抑制する場合がある。siRNAにより遺伝子産物の合成を抑えることを遺伝子ノックダウンknock downとよび、ゲノム上で遺伝子を欠失させる遺伝子ノックアウトknock outと区別する。RNA干渉の発見により2006年、A・ファイアーとC・メローがノーベル医学生理学賞を受賞した。
 siRNAは、新しいタイプの医薬としての可能性が注目されている。[菊池韶彦]
『中村義一編『RNAがわかる――多彩な生命現象を司るRNAの機能からRNAi、創薬への応用まで』(2003・羊土社) ▽グレゴリー・ハノン編、中村義一監修『RNAi』(2004・メディカル・サイエンス・インターナショナル) ▽菊池洋編『RNAが拓く新世界』(2009・講談社サイエンティフィック) ▽L・ハートウェル他著、菊池韶彦監訳『ハートウェル遺伝学』第3版(2010・MEDSI)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

RNA干渉」の用語解説はコトバンクが提供しています。

RNA干渉の関連情報

関連キーワード

核酸リボ核酸マイクロRNARNAポリメラーゼメロー遺伝暗号ファイアー逆転写酵素核酸

他サービスで検索

(C)The Asahi Shimbun Company /VOYAGE MARKETING, Inc. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.

アット・ニフティトップページへ アット・ニフティ会員に登録

ウェブサイトの利用について | 個人情報保護ポリシー
©NIFTY Corporation