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pH調節(ピーエイチちょうせつ)【ぴーえいちちょうせつ】

日本大百科全書(ニッポニカ)

pH調節(ピーエイチちょうせつ)
ぴーえいちちょうせつ
pH regulation

動物の体液中の水素イオン濃度(pH)はきわめて低いが、その値はごく狭い範囲内に一定に保たれている。これをpH調節という。ピーエイチと読むのは英語であり、ドイツ語ではペーハーとなる。ヒトの場合、血液pHの正常値は7.4で、7以下あるいは7.6以上では長く生存できない。ヒトの血液pHは弱アルカリ性であるが、これは、細胞内で絶えず産生される酸の中和にあたることと、ほぼ中性に保たれている細胞内pHの下では、物質代謝による細胞の小分子の中間代謝産物が完全に電離しているため、弱アルカリ性であれば細胞膜を通って外に失われずにすむ、という二つの理由によるものと考えられている。

 pHの変化を防ぐ作用を緩衝作用buffering actionとよぶが、この緩衝作用には、「物理化学的な緩衝作用」と生体の活動に由来する「生理学的な緩衝作用」とがある。

(1)物理化学的緩衝作用 この作用は弱酸と強塩基の塩からなる緩衝系である。体液中では二酸化炭素と炭酸水素イオン(CO2-HCO3-系)、タンパク(Hpr-pr-系)、ヘモグロビン(HHb-Hb-系)などがおもなものとなる。こうした緩衝作用の強さは、体液に加えられた強酸または強塩基の量と、それによって変化したpHの比で表される。生物学的な溶液では一般に1リットルの溶液に1ミリモルの強酸または強塩基が加わってpHが1単位変化した場合、その緩衝価を1スライクSlyke(Slと略す)として表す。血液内における上述の緩衝系の総緩衝価は約30スライクである。また、緩衝塩基Buffer Base (BB)の総量は1リットル中に約48ミリモルである。

(2)生理学的緩衝作用 この作用の第一は呼吸による。肺からは安静状態でも毎分約200ミリリットルの二酸化炭素(CO2)が排出される。これは一規定の酸にして、およそ1日に15リットルにも達する量である。二酸化炭素以外の酸(固定酸)が生体に加わったときも、体液中の炭酸水素イオン(HCO3-)が分解されて二酸化炭素となり、速やかに肺から排出され、pH調節が行われる。しかもこの過程では血液が酸性になるため呼吸が刺激され、血液中の二酸化炭素分圧が通常以下に低下するため、血液pHの回復はいっそう促進される。このような呼吸の働きを考慮に入れると、生体の呼吸による緩衝作用は約200スライク近くにも達し、pH調節のうえではもっとも重要なものといえる。

 第二の生理学的緩衝作用は腎臓(じんぞう)の働きによる。腎臓の尿細管細胞は二酸化炭素から炭酸をつくり、その解離によってできたH+イオン(水素陽イオン)を積極的に尿中に排泄(はいせつ)する。H+イオン濃度の高まりは血液の約1000倍が限界である。それ以上のH+イオンは同じく尿細管細胞において主としてグルタミンから産生されるアンモニア(NH3)と結合し、アンモニアイオン(NH4+)の形で排泄される。このような腎臓の働きによって、生体内での二酸化炭素以外の酸は完全に排泄され、pHが正常値に回復することとなる。

[本田良行]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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